● 15年06月30日 県議会報告
2015年6月30日 6月定例会 高瀬菜穂子議員一般質問・答弁(大要)「川内原発再稼働に反対せよ」「子どもの医療費に対する助成制度の拡充を」「子どもの眼鏡、コンタクトへの助成を」
≪2015年6月定例会・本会議一般質問≫
2015年6月30日
高瀬菜穂子議員
日本共産党の高瀬菜穂子でございます。通告に従い一般質問を行います。
まず、川内原発再稼働についてお尋ねします。福島第一原発の事故が全く収束していない中で、九州電力川内原発の再稼働が進められており、全国からも世界からも注目されています。口永良部を初め火山活動が活発化し、地震もふえる中での再稼働は許さないと、六月七日には舞鶴公園に一万五千人が集いました。ロイター通信によると、学者と民間機関が行った世論調査で、原発再稼働に反対が七〇・八%、事故の懸念があるが七三・八%に上りました。また、避難計画については八七・七%、実に九割が評価しないと答えています。この県庁も、玄海原発から五十キロ圏内にあり、百五十万福岡市民が暮らします。先日、規制基準に適合と判断された伊方原発から、北九州地域は百五十キロ圏です。事故の際の避難経路の確保、防災計画の責任は県が担っています。
私は、原子力規制庁に直接尋ねましたが、百五十万人の避難は困難との認識を示されました。五百万県民の命を預かる知事として、どのような事故に対しても防災計画は万全と言えますか、お答えください。
新規制基準が火山の影響に備えるとしているのは、半径百六十キロ圏ですが、川内原発の周囲には、口永良部を含む三十九もの活火山があります。巨大噴火の可能性は十分に小さいという九電の判断を、規制委員会も妥当としていますが、これらの判断に火山の専門家は誰も関与していないことがわかりました。県民の安全と命に責任を持つ知事として、川内原発再稼働をやめるよう表明すべきではありませんか、知事の御所見を伺います。
次に、子育て支援策についてお尋ねします。子供の医療費に対する助成制度の拡充は、ふくおか子ども・子育て応援総合プランにも位置づけられ、先日、小学六年生までの通院、入院について平成二十八年度中に実施する方向が示されました。子育て世代の最も強い要求である子供の医療費助成の拡充の方向を歓迎いたします。しかしながら、全国では既に五都県で、通院、入院を含めた中学生までの医療費助成が行われているほか、県内でもみやこ町で高校生まで、行橋など三市六町で中学生までの入院、通院を含めた助成が実現をしています。入院のみ中学生まで助成している自治体は県内で実に二十四市町に上ります。本県でも義務教育が終わる中学生まで拡充するよう強く求めるものです。
県がどのくらいの拡充を行うのか、市町村が注目しています。現行制度で小学六年まで拡充した場合、中学卒業まで拡充した場合に必要になる予算について明らかにするとともに、知事の見解をお聞かせください。
次に、子供の眼鏡、コンタクトへの助成について教育長にお伺いします。医療費の助成が拡充されても、保険適用されていない眼鏡については、基本的に全額自己負担です。子供の貧困が社会問題となっていますが、子供の貧困率は過去最高の一六・三%、六人に一人と発表されました。本県は子育て世帯の五十世帯に一世帯、四万三千世帯がひとり親家庭で、これは全国で九番目に高く、公立小中学校に通う子供の五人に一人が就学援助の対象になる要保護、準要保護の子供で、その数は約九万三千人、全国五位という深刻な実態であります。
このことは、子供の健やかな成長に影を落としています。眼科で眼鏡の買いかえを言われたが買ってやれない、親に心配をかけるからと学校での視力検査の結果を家に持ち帰らないなど、親も子も苦しんでいます。ひとり親家庭のある母親は、子供が見えるふりをしていたことにショックを受け、相談に来られました。進行性のため、眼鏡を買っても三カ月で合わなくなってしまう、コンタクトにするよう医者には言われたが、とても高くて買ってやれない、子供も気にして見えると言い張っていたが、星の観察をしているとき見えていないとわかったというのです。眼鏡、コンタクトに補助制度をつくってほしいとの切実な訴えです。
私は、子供の眼鏡について、保険適用にならないかと厚生労働省にも尋ねましたが、現行の制度では、九歳までの弱視などの特別な病気の場合だけが適用されるのみです。目が見えないままでは、学力にも大きな影響があります。難聴児については、昨年、本県でも補聴器購入の助成制度が軽度、中等度まで拡大されました。
そこで教育長に伺います。このような実態についてどのようにお考えになられますか。学校現場で、養護教諭から聞き取りを行うなどの実態調査を行うべきだと考えますが、この点について見解を伺います。
神奈川県藤沢市や大和市など幾つかの自治体では、眼鏡を就学援助の対象にして補助を行っています。生活保護では、眼鏡は最低生活に必要な物と認められており、眼鏡の費用に苦労しているのは、生活保護を受けずぎりぎりで頑張っているひとり親家庭など低所得層です。子供の貧困が深刻な本県において、眼鏡に対する補助制度は学力を保障する上でも必要だと考えます。あわせて御所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
小川 洋知事
お答えを申し上げます。
まず初めに、原子力災害に対応する地域防災計画についてでございます。県では、玄海原子力発電所で福島と同様の事故が万が一発生した場合に備えるため、国の指針を踏まえ、発電所からおおむね三十キロ圏内を緊急時防護措置を準備する区域、いわゆるUPZといたしまして地域防災計画及び広域避難基本計画を策定しているところであります。これらの計画におきましては、実際に事故が発生した場合、UPZ内では原則として屋内退避をし、放射線量の実測値が基準を超えたときに避難をすることといたしております。また、放射性物質の拡散状況によっては、このUPZ外でも避難が必要となる場合も考えられます。このような場合、放射線量の実測値等を踏まえて柔軟に対応することとし、県であらかじめ把握をいたしております全市町村の避難所の収容可能人員や、そのときの被災状況等を参考にして避難先の調整を行うことといたしております。県としては、広域避難訓練を繰り返し実施をし、その結果を検証し、必要に応じ計画を改定するなど引き続き計画の実効性を高めてまいります。
次に、川内原子力発電所の再稼働についてお尋ねがございました。川内原子力発電所につきましては、新規制基準に基づく原子炉設置変更許可を受け、昨年十一月、立地自治体である鹿児島県及び薩摩川内市が再稼働を進める政府の方針を理解する旨、表明をされました。現在、実地における使用前検査が行われているところでございます。川内原子力発電所の再稼働に当たりましては、その安全性について国が責任を持って確認をし、国民に対し十分な説明を行って理解を得る必要があると考えております。電力事業者におかれましても、しっかり国民、住民に説明をしていただきたい、このように考えております。
次に、乳幼児医療費支給制度の対象年齢を引き上げた場合に必要となる予算についてお尋ねがございました。平成二十七年度当初予算における計上額は三十九億円余でございます。あくまで仮定の試算となりますけれども、現行の自己負担と所得制限を適用すると仮定をいたしまして試算をいたしますと、追加で必要となる予算額は、入、通院とも小学六年生まで引き上げた場合は約十九億円、中学三年生まで引き上げた場合は約二十九億円と、それぞれなります。
次に、乳幼児医療費支給制度の対象年齢の引き上げに対する考え方でございます。この制度は、県内市町村の助成制度の底上げを図り、乳幼児の健康の保持、そして子育て家庭の経済的負担の軽減を目的とするものでございます。見通しに当たりましては、こうした趣旨とともに、将来にわたって持続可能な制度とすることも踏まえて検討を進めていく必要があると考えております。こうしたことから、両政令市を含め半数以上の市町村が就学前としております通院の助成対象年齢を小学校六年生まで引き上げ、入院につきましても小学校六年生までとすることを基本に、今考えているところであります。
なお、制度改正に当たりましては、県のみならず市町村にも大きな財政負担が生じますことから、自己負担のあり方も含め総合的に制度設計を行ってまいります。
城戸秀明教育長
就学児童生徒が眼鏡、コンタクトを買えない実態についてでございます。一般に、経済的理由により児童生徒の就学に支障が生ずるような事態は極力避けなければならないと考えております。御指摘のありました実態については確認しておりませんが、小中学校の就学に関するさまざまな実態の把握は、その学校の設置者である市町村において行われることが適当であろうと考えております。
また、補助制度の必要性についてですが、市町村には、経済的理由で就学が困難な児童生徒に援助を与えることが法律で義務づけられており、どのような援助が必要であるかは、それぞれの市町村が判断することとなります。県教育委員会といたしましては、市町村が必要な就学援助を行えるよう、国に対して財政措置の充実を要望してまいります。
高瀬菜穂子議員
御答弁をいただきました。
知事に申し上げます。川内原発の再稼働ですが、九電は火山の専門家の意見も聞かず、火山に囲まれた川内原発を動かそうとしています。国民、住民にしっかり説明しているとは到底言えません。五百万県民の命を預かる長として、川内原発の再稼働をやめさせる立場に立つべきであることを強調しておきます。
子供の眼鏡の補助については、学力向上の面からも、貧困対策の面からも、何らかの措置がぜひとも必要だと考えます。教育長から、国に対して必要な就学援助を行えるよう財政措置の充実をお願いする旨の答弁がありました。国に対して、就学援助の項目に眼鏡、コンタクトを入れるよう要請していただきたいと思います。また、それが実現するまでの間、市町村とも話していただき、県としての独自補助も含めて検討していただきたいということを知事、教育長に要望し、質問を終わります。(拍手)