● 15年07月06日 県議会報告

2015年7月6日 2015年予算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁(大要)「ブラック企業、パワハラ・セクハラ等について」



≪2015年予算特別委員会≫

2015年7月6日

 

高瀬菜穂子委員 

 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。
 通告に従いまして質問をさせていただきます。
 ブラック企業が社会問題となっておりますけれども、私どものところにも深刻な相談が相次いでおります。パワハラ、セクハラ、マタハラ、残業代の不払い、就業規則、労働契約書がない、有休がとれないなどです。
 県の労働者支援事務所にも、二〇〇九年から連続六年間、一万件を超える労働相談が寄せられているとお聞きしております。その特徴と、どのような解決がなされたかについて、まず伺います。

 

古長労働政策課長 

 平成二十六年度の相談内容の上位三つは、労働契約に関すること、賃金・退職金に関すること、職場の人間関係に関することでした。最近の特徴としましては、従来からの労働契約や賃金などに加え、近年はパワハラなどの職場の人間関係に関する相談が増加しています。
 県労働者支援事務所の労働相談では、労働基準法などの労働関係法令に関して助言することで、相談者による自主解決がなされる場合のほか、相談だけでは自主的解決が困難な場合は、職員が労働者と使用者の間に立って早期解決を促進する、あっせんを行うことにより解決を図っています。

 

高瀬菜穂子委員 

 あっせん数はどのくらいで、あっせんによる解決は何件ぐらいありますでしょうか。

 

古長労働政策課長

 平成二十六年度のあっせんの実施件数は、五十四件でございました。解決に至ったものは、三十二件でございました。

 

高瀬菜穂子委員 

 一万件を超える相談をされているということで、本当に日々苦労されていると思います。しかしながら、あっせんによる解決数というのは、一万件を超える相談に対してはかなり少ないのではないかなという印象を持ちます。労働相談に来られる例は氷山の一角であり、違法行為は広くはびこっていると考えられます。
 このような実態が改善されず、毎年一万件以上という相談が寄せられる、その背景にあるものというのはどういうことだとお考えでしょうか。
 また、改善のためには、どのような施策が必要だとお考えでしょうか。

 

古長労働政策課長

 労働者支援事務所には、違法な時間外労働や賃金不払い、マタニティー・ハラスメントといった問題について労働相談が寄せられておりますが、労使それぞれが関係法令などを理解していないことが、これらの問題発生の一因となっていることがございます。このため、県では労働相談に加え、労働者を対象とした労働教育講座、企業経営者を対象とした労働経営セミナーなどを通じて、雇用ルールの周知を図っているところです。

 

高瀬菜穂子委員 

 私も、労働者、使用者双方に労働法制の基礎知識が不足していることが問題の解決をおくらせ、問題を広げる土壌になっていると感じております。その点で、県に、この労働法制についてきっちりと知らせていく、啓発していくということを本当に責任を持ってやっていただきたいなと思うわけです。
 今、県は、労働者の権利などをまとめたパンフレット、一番新しいものをいただいたんですけれども、こういうパンフレットをつくっておられます。この数はどのぐらいで、どの程度活用されているのでしょうか。
 また、高校などへの出前研修も前からされていると思います。年間何回で、何人ぐらいが対象になっているのでしょうか。使用者、労働者への研修の規模もあわせてお答えください。

 

古長労働政策課長

 労働関係法令について解説した「働く人のハンドブック」を三千部作成し、労働者支援事務所の相談者に配布するとともに、ホームページでの掲載を行っております。
 また、高校生などを対象に、労働関係法令について説明する就業前労働講座を実施しています。県内全ての高校に開催案内を送付し、希望があった学校に講師を派遣しています。昨年度は、二十三校で延べ二十六回開催し、二千三百六十四人が受講しています。
 労働者向けの労働教育講座は、二十六年度は八回開催し、二百四十名が受講、使用者向けの労働経営セミナー等については二十六年度は十二回開催し、四百八十名が受講しています。
 このような県の取り組みだけでなく、県内では福岡労働局や各種団体により、学生などに対する労働関係法令の周知がなされているものと理解しております。

 

高瀬菜穂子委員

 県としても、この活動に頑張っておられると私も思っているんです。しかしながら、五百万県民の、そして労働者以外にも学生さんも含めてたくさんの人が労働にかかわっていることを考えたときに、ホームページにも掲載されているとはいえ、このハンドブックも三千部ということで、相談者にお渡ししていると先ほどお答えになられましたが、相談者が一万人を超えている中ではその規模がですね、少ないのではないかと。経営者や労働者に対する教育講座が二百四十名、四百八十名という規模だというのも、もっと抜本的に広げていただかないと、今の、労働基準法違反がはびこっている、ブラック企業が大問題になっているという中では追いつかないという印象を持つわけなんです。
 次に行きます。今、大学生のブラックバイトというのが社会問題になっています。大学生は権利意識が比較的希薄だということもあって、労働組合などへの直接の相談も大学生からは少ないと聞いております。インターネットでの調査や、私ども、街頭宣伝などでこの問題を取り上げて訴えたりしていますと、直接そこでお話を聞いたりいたします。シフトをどんどん入れられると。学生だから暇だろうということで、どんどん入れられるために授業を受けられないとか、残業代がもらえない、やめたいんだけどやめさせてくれないなどの深刻な問題が寄せられることもあります。これは、若者の暮らしも学習権も壊してしまう、ひどい場合には鬱になるなど心までも壊してしまう大問題だと考えます。
 教育委員会とも連携をしまして、今も高校に出前講座をしていただいているわけですけれども、全ての生徒、就職する生徒も大学に進学する生徒も、この労働問題についての基礎知識を持つことが、今、本当に重要だと、暮らしを守るためにも重要だと考えております。
 先ほど、二十三校二千三百六十四人とのお答えがありましたけれども、公立、私立を合わせますと百校をはるかに超える学校数がありますし、さらに専門学校なども入れますと、もっとふえます。そういったところにも拡大をすべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

 

古長労働政策課長

 先ほどお答えいたしましたとおり、高校につきましては、全ての高校に開催案内のほうを出させていただいております。また、県のほうで持っております高等技術専門校等にも出させていただいておりまして、まずはこのような形でしっかりと開催案内を出して、参加を促してまいりたいと考えております。

 

高瀬菜穂子委員

 案内は出していただいているんだけれども、その重要性について県のほうからもっと発信をしていただきたいと。高校側にもいろいろ事情もあると思いますから、教育委員会との連携をしっかりしていただき、大学生がこういう状況になっているということの深刻さを共有していただいて、もっと拡充をしてほしいと思っております。 
 また、一般向けにもパンフレットもつくっていただいていますが、三千部ということです。ほかにも、チラシだとかカードだとか、「残業代未払いは労働基準法違反です」とか、わかりやすいポスター、それから県が行っている研修についてももっと広げる、相談の窓口の案内も含めて、さまざまな形で知らせていくことが必要だと思います。啓発活動を抜本的に強化してほしいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

古長労働政策課長

 広報については、労働者支援事務所の相談内容を紹介するパンフレットやポスターを作成し、県内の関係機関に配布、掲示を依頼しております。
 さらに、通常の相談に加え、市町村と連携して行う出張労働相談会や日曜街かど労働相談会などの特別労働相談会の開催前には、ポスター約七百枚の掲示や、チラシ約四千四百枚の配布、街頭でのポケットティッシュ約五千枚の配布などの広報に取り組んでいます。
 また、労働者や使用者向けの研修を実施する際には、市町村や経営者団体、労働組合を通じて、幅広く周知を行っているところでございます。

 

高瀬菜穂子委員

 幅広く周知を行っているということですが、その数というのは、チラシが四千四百では、相談者は一万を超えているわけで、やはりもうちょっと規模を拡大していただきたいということを重ねて要望いたします。
 次に参ります。そうした県の努力がある中ですが、深刻な相談が舞い込むことがあるわけですね。先日、私のところにも、深刻なセクハラ、パワハラの相談がありました。この女性は、中学生の子供を一人で育てているひとり親の母親です。派遣社員で、やっと見つかった事務職の派遣先で、上司と二人だけの事務室での仕事が続き、犯罪まがいの事態が起こりましたけれども、生活がかかっているということで仕事をやめることをしませんでした。
 派遣元には話をして、改善を要求したんですけれども、何ら改善が行われず、脅されながらも──びくびくしながら警察にも電話をしてるんですね。先ほども性暴力、被害者支援センターとの連携の話が出ていましたけれども、警察に電話したんですが、被害者届を出せとも言ってもらえず、労働者支援センターがあるということも教えてもらえず、結局、警察に行ってもだめなんだなということだけで落ち込んでしまったと。労働基準監督署に行ったらいいと聞いて、そこにも行きましたけど、「大変でしたね」で終わってしまったと。この方は、遺書を書くなど、精神的にもかなり参っておられました。勇気を出して、一度「セクハラではないんですか」と口に出して言ったことで即解雇になって、その後、職場から離れたことで少し自分を取り戻し、このままでは死に切れないといって相談に来られたんです。今、労働組合をつくって、弁護士さんにも入ってもらって、解決に向けて動き始め、やっと尊厳を取り戻しつつあります。
 この事例からも、やはり必要な人に相談の窓口情報とか、労働法制のイロハを知らせる手だて、まだまだ届いていない、少ないと思うんです、そう痛感をしています。
 そこで、監督署や警察、あるいは男女共同参画センター、性暴力被害者支援センターなどとの連携はどうなっているのか、お伺いします。

古長労働政策課長

 県内四カ所の労働者支援事務所で行う労働相談について、各管内の労働基準監督署やハローワークからの助言指導や情報提供等が円滑に得られるよう、連絡体制を確保しているところです。
 また、男女共同参画センターなどの地域の関係機関とも日ごろから連絡をとり合っており、これらの機関から労働問題に関する相談者を紹介していただくこともございます。

 

高瀬菜穂子委員

 しかしながら、この方には届いていませんでした。連携が十分にできているとは言えない状況だと私は感じております。連携の強化を強く求めます。
 次に、ブラック企業が大問題となった二年前の参議院選挙です。我が党は、ブラック企業根絶法案を国会に提出しまして、その後も告発を行いながら改善に努めてきました。厚生労働省も相談体制をつくり、さまざまな取り組みを行ってきています。
 一昨年、厚生労働省は全国五千社を調査し、その約八割で法令違反があった、数カ月間も給与を払っていない悪質事例もあった、告発も行ったと発表しました。この調査における福岡県の実態はどうであったのか、また、その後改善されたのか、県との連携についてお伺いします。

 

古長労働政策課長

 委員御指摘の平成二十五年九月に厚生労働省が調査し、公表している若者の使い捨てが疑われる企業等への重点監督の結果によりますと、福岡労働局で監督、指導した事業所は百八十六件で、うち八七%の事業所に法令違反が認められたと承知しております。
 労働基準監督署においては、法令違反に対しては是正勧告を行い、是正がなされていない事業所については指導を継続していると聞いております。

 

高瀬菜穂子委員

 ただいま課長からお答えいただいたんですけれども、この質問を通告した際には、県は厚生労働省のこの調査結果を残念ながら承知しておられませんでした。福岡労働局との連携も十分とは言えないのではないかと感じております。八七%で法令違反があったと。福岡の事業所ですね。これは平均を超える深刻な事態だと思うんです。せっかく厚生労働省がこうして調査をした結果について、福岡労働局とともに情報を共有して、そして後追いもする、あるいはこういう事態があったということを啓発につなげていく、そうしたあらゆる努力を県のほうでぜひともしていただきたい。企業の労働環境改善を図るということで、県に責任があるわけですから、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 これほどブラック企業がはびこる背景には、非正規雇用や不安定雇用の増大があります。条件が悪くても、正規の仕事で頑張らなくてはという思いで我慢する。そのことがさらにひどい実態を生むという悪循環になっていると思います。正規雇用をふやすよう、県として取り組んでいただくことが非常に重要です。今、打ち出しておられると思いますけれどもね。
 さらに、公務の職場における非正規雇用の増大も大変な問題となっております。これに歯どめをかけていくということについても、重大な問題だということを指摘しておきたいと思います。
 労働環境改善のためには、県の役割は決定的です。労働法を知らない労働者をなくすという高い志を持って、相談や啓発活動に当たっていただきたい、必要な予算も取っていただきたいということを申し上げまして質問を終わります。

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