● 15年10月06日 県議会報告

2015年10月6日 建築都市常任委員会 山口律子委員質疑・答弁(大要)「福岡県都市計画基本方針の策定について」



≪2015年建築都市常任委員会≫

2015年10月6日

 

「福岡県都市計画基本方針の策定について」

 

松本建築都市部長

 それでは、第一五二号議案、福岡県都市計画基本方針の策定について御説明申し上げます。議案その二の四十九ページ及び別冊の骨子でございますが、説明は委員会資料により行わせていただきます。
 委員会資料の十三ページをお願いいたします。
 なお、参考資料といたしまして、基本方針の別冊をお配りさせていただいております。
 一の提案理由でございます。福岡県都市計画基本方針の策定に当たり、基本構想等計画の骨子について、福岡県行政に係る基本的な計画を議会の議決事件として定める条例、第三条第一項の規定により県議会の議決を求めるものでございます。
 二の計画についてでございます。まず、基本構想について御説明いたします。
 (一)の基本方針策定の趣旨でございます。平成十五年に福岡県都市計画基本方針を策定して以降、少子高齢化のさらなる進展や人口減少社会への対応、環境負荷が小さい災害に強い都市づくりや、世界遺産などの個性を生かした都市づくりへの要請等、都市を取り巻く環境が大きく変化していることを踏まえまして、集約型の都市づくりを効果的に進めることを目的として、新たに福岡県都市計画基本方針を策定するものでございます。
 (二)の基本方針の役割でございます。本方針は、本県における都市づくりの目標を示すとともに、都市計画法に基づく都市計画区域の整備、開発及び保全の方針、いわゆる都市計画区域マスタープランを定める上での基本的な考え方を示すものでございます。
 (三)都市づくりの目標と基本理念でございます。1)の都市づくりの目標といたしまして、「拠点と公共交通軸が紡ぎだす豊かで暮らしやすい都市を目指して」としております。
 2)の基本理念といたしましては、四つをお示ししております。一つ目は「広域・連携」でございます。都市と農山漁村との調和を基調とした都市間連携による広域的な都市づくりを目指します。二つ目は、「個性・再生」でございます。都市の個性を生かしながら、活力の再生を図り、新しい時代に適応する都市づくりを目指します。三つ目は、「安全・安心」でございます。災害被害の軽減、日常生活における安全が守られた、安全・安心の都市づくりを目指します。四つ目は、「パートナーシップ」でございます。多様な主体の協働による都市づくりを目指します。
 次に、計画期間でございます。平成二十七年度からおおむね二十年後の都市の姿を展望して定めることとしております。
 次のページをお願いいたします。基本的な政策・施策でございます。基本的な政策・施策といたしまして、五つの方針で構成をしております。
一つ目の方針は、集約型の都市づくりの方針でございます。ここでは、集約型の都市づくりに向けて五つの考え方を示しております。便利で魅力ある拠点の形成、生活の質を高める公共交通軸の設定、拠点・公共交通軸沿線以外での低密度化への対応、広域的な枠組みによる都市づくり、都市情報一元化による戦略的な施策展開でございます。
 二つ目の方針は、土地利用に関する方針でございます。都市計画区域等の指定方針、区域区分の決定方針、土地利用の方針でございます。
 三つ目の方針は、都市施設・市街地整備に関する方針でございます。市街地整備の方針、交通網整備の方針、自然環境や緑の整備・保全の方針でございます。
 四つ目の方針は、安全で個性ある都市づくりに関する方針でございます。ここでは、美しい都市づくりの方針、防災都市づくりの方針でございます。
 五つ目の方針は、都市づくりの仕組みに関する方針でございます。パートナーシップの仕組みづくりの方針、集約型の都市づくりのマネジメントでございます。
 説明は以上でございます。よろしく御審議のほどお願いいたします。

 

山口律子委員

 それでは、この基本方針について何点か質問させていただきます。私自身、ちょっとまだ理解が不十分なので、この骨子計画、基本方針が決定されると、これに沿って今後の福岡県のいろいろな方向が決まってくると思うんですが、これは関係の団体とか組織とか県民とか、いろんなところの生活がかかってきますが、事前にこの意見を聞くというようなことはされるんですか。今までどうだったんですか。

 

赤星都市計画課長

 基本方針について事前に県民の意見を聞くのかという御質問でございました。この基本方針につきましては、昨年十二月にパブリックコメントを行っております。その結果、二件の意見をいただきまして、それを反映してこの原案とさせていただいております。

 

山口律子委員

 これは都市計画で、ここの建築都市には直接関係ないのかと思いましたが、書いてあるのでちょっと聞かせていただきたいんですが、人口統計で二〇四〇年まで四百三十八万人まで減少していくという中で、そういうことはずっと書いてあるんですが、水は今からまた開発するんだという方向で書いてあったので、この点に非常に違和感を持ったんです。今現在、水は余っていますし、今三つダムをつくっているけれども、まだこれからさらにそういう方向で進めるのか、ここでお答えしていただけるかどうかさえ、ちょっと私自身わからないんですが、高度化処理もできますし、需要は十分余っているぐらいまで来ているんじゃないかと思うんです。福岡市なんかは節水がしっかり進んでいます。北九州市は余っていますし、その辺をちょっと聞かせてください。

 

赤星都市計画課長

 水資源の需要に関する御質問でした。この基本方針は、関連する県の施策をさまざまな上位計画から持ってきておりますので、不十分なお答えかもしれませんが、福岡都市圏では人口が増加いたしますのと、それから、それ以外、水道普及率の向上をこれからやっていくということで、一定の水資源の需要の増大はあるものというふうに聞いております。

 

山口律子委員

 増大するというのは、ちょっとまだ私は納得できないんですが、次に、この基本方針をまだ十分に読み込んでいないんですが、幾つかの点をお聞きします。この基本は、四十六ページの集約型の都市づくりへの転換ということが基本だと思うんですね。今までのように発展していく都市を目指すのではなくて、これから人口が減るから地域に集約していくというふうな方針だと、一応それでいいのかどうか読み込んだんですが、そうすると、その中でコンパクトシティーが必要な理由として、中小都市の中心街の空洞化対策を一つ挙げておられます。この空洞化ということについて、定義についてお聞かせください。

 

赤星都市計画課長

 空洞化の定義という御質問でございました。まちなかの人口減少でありますとか、商店街の空き店舗の増加といった問題、こういったものを空洞化というふうに呼んでおります。

 

山口律子委員

 この図などを見て、空洞化していくということなんですけど、そこに対して、そういうまちに集中していくというまちづくりというんですかね、それとこの空洞化とをどういうふうに一体的に進めようとされているのかなと。

 

赤星都市計画課長

 今回の基本方針におきましては、これまでの県の基本方針であります拠点への集約のみならず、公共交通軸、ネットワークへの集約も加えまして、実効性のあるコンパクトな都市づくりをしていきたいというふうに記述がございます。

 

山口律子委員

 今の市街地の空洞化、地元でもそういうことを感じる部分があるんですが、その空洞化の中で、そこはのけておいてということなのか、まちの中で駅とか中心的なバス停とかを中心にされると思うんですけれども、そこのところをまちとして活性させていく方法をこれから考えていかれるのだと思います。
 それから次に、今度は四十八ページです。下の段のところに、市街地の低密度化への対応ということで、「人口減少下においては厳しい財政運用が迫られるとともに、多くの公共施設が今後更新期を迎えようとしており、従来と同等の公的サービスの提供を続けていくことが困難となる場合も想定されます」と書いてあります。集約するということは、逆に過疎、今読んだようなところを全部ここに集めていきますよということだと思うんです。ですけど、そこには人々が生活し、自分のついの住みかとして現に住んでいらっしゃる、その地域が過疎になり始めたときに、皆さんこっちのまちの中に出てきてください、家も全部こっちに移さないと病院も学校もいろんな施設はもうその辺はありませんよということになると思うんですよね。実際人口減少がこれから進んでいくんですが、これをどうするか。今までのものをしっかり手当しながらお金もかけて、そこでいろんな補修や改築をして延命をしていくのか。それとも、今のこの方針のように、それは全部壊して、もう古いからといって廃棄してこっちに集約していくとなると中山間や農村は生活できない。確かに交通の便も悪いですよ、何もありませんよ、病気になったときにどうしますかということだと思うんですけど、この方針だったら、もう集約して延命はしませんよという方向だと感じるんですね。それともう一つは、中心市街地の土地利用も、これは集まってくるわけですから、いろいろな土地利用も、今までよりも規制を逆に緩和して、土地開発というか、そういうことをしていくんじゃないかと思うんです。そういうふうに読めるんですね。こういうことに対して、まずは中心市街地の規制緩和をして、そこにぐっと集めていくのかどうか。それから、農村部のインフラはこれからどうするのかというところでお聞きいたします。

 

赤星都市計画課長

 今、御質問のありました四十八ページの部分ですけれども、人口減少、厳しい財政状況の中、都市計画の分野でも工夫が求められているというようなことが書いてあるところでございます。直接、中山間地のインフラについて限定していることではございません。また、中心市街地の土地利用に関しては、近年、駅周辺への機能立地のニーズは非常に高うございますので、そういったものに対応していくというようなことも必要であるというふうに記載がございます。

 

山口律子委員

 中山間地、農村地帯のことについては特に、今ちょっと答えがはっきりわからなかったんですが、もう一度その点を。

 

赤星都市計画課長

 都市計画基本方針の中では、人口減少、厳しい財政運営についての課題を直視した上で、都市計画の分野の工夫について記述しております。そういった意味で、中山間地のインフラという御質問でございましたけれども、そういったものを具体的にどのようにしていくかというようなことについては、直接的な記述はないというところでございます。

 

山口律子委員

 地元を考えても、農村部というのは交通の便が悪い、バスも通らなくなったり、バス代が上がったり、本当に住みにくいだろうなと、都市部に住んでいる者としては、そう思うんです。しかし、じゃ、こちらに出てきてください、ここに家がありますよと言っても皆さん出てこられないんですよね。やっぱり自分の住んでいるところを、どんなことがあってもそこから離れないし、そこに生活の基盤がある。農村だったら田んぼもあるし、そういうものを置いておいて、それはもう考えないでみんな集まりましょうと言っても、それはなかなか難しいんじゃないかなと。やっぱりそこで生きている、生活している人たちのことを考えたら、突然ここに集まってくださいと、これが決まったらある程度強引にやっていくのかな、本当にそれでいいのかなというふうに考えます。その辺、ちょっともう一言。

赤星都市計画課長

 基本方針の六十九ページをごらんいただければと思うんですが、グラフが載っておりまして、本県の人口流動の特徴がございます。五年間の流動ですけれども、全国では、平均すると一七・一%の方が五年間で転居されているというところでございます。対して福岡県では、二〇%の方が転居されている。こういった転居が比較的多いという特徴を捉まえまして、転居の際に緩やかな流動をしていく。決して強制的に移住をしていただくというようなことは考えておりません。

 

山口律子委員

 集約をしていく、集約化の意味は、辞書を引くと一つに集めるということで、財政が限られていると。今一番困っているのは人口が減っている、若い人が結婚し、子供を育てる、それが、特殊出生率が一・三%近くまで落ちてきているということがこれからのいろんな問題を生み出していくわけです。それはここで考えることではありませんけれども、そういう若い人たちが結婚して住み着いて、子育てをしていくまちづくりという視点をやっぱりもう少し打ち出してよかったんじゃないかなと思うんですが、中心市街地ばかり集めていくと周辺部はスクラップ化するんじゃないかと思うんです。五十ページに、時間をかけて自由な選択の結果、集約すると、時間をかけてですね、今おっしゃったように。でも、結果はやっぱり中山間地や農村地域を切り捨てていくことになるんじゃないかと思うんですが、この点、県の均衡ある発展の立場というのを今まで打ち出されてきていたんですけど、その立場は変えていくということなんでしょうか。

 

赤星都市計画課長

 基本方針は県の総合計画に基づいてつくっております。県の総合計画の中では、それぞれの地域の特色を生かし、地域の経済を活性化させ元気になるということが書いてございまして、集約型都市構造への転換、また、中山間地域における活力ある地域づくり、こういった表現もございます。こういったものを踏まえまして、集約型の都市づくりとして今回の基本方針では、一カ所に全てを集約させるのではなく、ネットワーク、こちらを打ち出しまして、都市と農山漁村の調和を図っていこうというものでございます。

 

山口律子委員

 最後に、百二十六ページの県と市町村の新たな連携体制づくりというのがありますが、この中に県と市町村の広域調整の仕組みとして、都市圏会議の設置を検討と書いてあります。「都市計画区域や準都市計画区域の指定がされている市町村を想定」とありますので、準都市計画区域の指定として、二十四ページのところにこういうふうに説明があるので、この都市圏会議の中にここのところの都市計画決定をやっていないところは入っていないということなんでしょうか、そこのところがちょっとわからないんですが。

 

赤星都市計画課長

 百二十六ページの都市圏会議についての御質問ですが、ここでは都市計画に関係する市町村を想定とありますが、続きまして、それ以外の市町村も必要に応じて参加というふうにしておりますので、広く呼びかけてまいりたいというふうに考えております。

 

山口律子委員

 五十六ページの地図を見たら、分けてあって、除外されている自治体が入っているんですが、そのところにも声をかけていくと。色がついているところは最初から入るということで、白地のような状態になっているのは入っていないということなんですか。それで、そこにはもう最初から参加してもらったらいいんじゃないかと思うんですが、その点を。

 

赤星都市計画課長

 参加を拒むものではございませんので、意向を確認したいと思います。

 

山口律子委員

 本当に住民があってこそまちができるので、ぜひ住民の皆さんの声をこの計画を進めていく上でも聞いていただきたいし、女性がやっぱり地域では中心的な役割を担っていることが多いと思うんです、特に農村部とか中山間地では。ですから、本当に女性が生活をしやすい──共働きが非常にふえてきている中で、とてもいいことだし、その中で子育てがうまくいくんだと思うので、そういう政策を進めていただきたいと思います。以上です。

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