● 15年10月27日 県議会報告
2015年10月26日 2015年決算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁 (大要)「地域公共交通、コミュニティバスなどへの県の支援について」
≪2015年決算特別委員会≫
2015年10月27日
高瀬菜穂子委員
日本共産党の高瀬菜穂子でございます。
きょうは、地域公共交通、コミュニティーバスなどへの県の支援について質問させていただきます。
二〇〇二年に乗り合いバス事業の規制緩和が行われまして、不採算のバス路線が廃止されるなど、県内の公共交通に大きな影響を与えています。規制緩和以降、県内で幾つの路線が廃止され、どのくらいの市町村に影響があったのか、また、その総延長をお答えください。
岩佐交通政策課長
お答えします。平成二十六年度までの廃止路線数は二百二十路線であります。影響市町村数は五十五市町村、廃止総延長は千五百七十一キロメートルでございます。
高瀬菜穂子委員
すごい廃止数ですよね。五十五の市町村に影響があったということは、ほとんどの市町村で影響を受けているということです。千五百キロといえば、福岡から東京をはるかに超えて東北まで行ける距離になるかと思います。わずか十年と少しで地域の足は本当に劇的に失われたということを示していると思います。
廃止されたバス路線で市町村が運行するなど、生活交通を確保している路線はどれくらいあるでしょうか。また、その負担額もお答えください。
岩佐交通政策課長
廃止後に、市町村によるコミュニティーバスの運行などによりまして生活交通確保対策を行っているのは八十三路線になります。また、平成二十六年度のコミュニティーバスの運行に関する市町村負担額は九億三千万円余となっております。
高瀬菜穂子委員
市町村も、地域と地域の足を守るために十億円近い財政支出をしながら頑張っているということです。それでも、失われた二百二十路線のうちの八十三路線しかカバーできていません。三分の一程度です。移動の手段がなければ、買い物や病院に行くことができない高齢者が引きこもりがちになる、高校生がバス通学できないとなると子育て世代も住めなくなるなど、地域存続の危機でもあると思います。コミュニティーバス事業は言うまでもなく大変重要な事業で、必要に迫られているとも言えると思います。もっとふやしていかなければならないと考えます。
そうした観点からも、県の今つくっている助成制度は大変喜ばれている制度だと考えます。県が行っている生活交通確保対策補助制度について、その概要と実績についてお答えください。
岩佐交通政策課長
生活交通確保対策補助制度は、市町村のコミュニティーバスの運行経費でありますとか、路線バスの維持補助、あるいはコミュニティーバスの車両等の購入に係る経費に対する補助制度として、平成二十三年度に創設いたしました。
補助金の交付実績は、平成二十三年度が二十八市町村に五千五百万円余、二十四年度は三十市町村に九千万円余、平成二十五年度は三十市町村に七千六百万円余、平成二十六年度は二十六市町村に三千四百万円余となっております。ただし、この二十六年度は補助対象期間を変更した関係上、九月までの半年分の実績となっております。
高瀬菜穂子委員
確認ですけれども、県は市町村が行っている赤字補填に対して補助率を決めているということだと思います。収支率が五〇%を超えていれば赤字補填の二〇%、五〇%未満であれば赤字補填の八%を補助するということで制度が開始されたということで間違いなかったでしょうか。
岩佐交通政策課長
間違いありません。
高瀬菜穂子委員
そうしましたら、収支率が五〇%以上の路線というのはかなり優秀なところだと思いますが、どのくらいあるでしょうか。
岩佐交通政策課長
収支率が五〇%以上の路線は、平成二十三年度が九路線、二十四年度が七路線、二十五年度が六路線、二十六年度が六路線でありまして、全補助路線の一二%ということになります。
高瀬菜穂子委員
ほとんどが五〇%以下であるということだと思います。もともと不採算の路線で、それが原因で廃止されたのであって、その路線で収益を上げるというのは大変困難です。
私の地元でも、西鉄が撤退した後、おでかけ交通という形でコミュニティーバスが、ジャンボタクシーと今はなっていますが、運行されています。対象地区は市街化調整区域であり、人口も少なく、収支率を上げるのに本当に苦労されています。運行している業者さんに先日お話を伺いましたけれども、地元の皆さんのためということで引き受けていますと。どうしても赤字になるから人件費をなるべく下げて対応して、どうにか続けているとおっしゃっていました。ジャンボタクシーを走らせているこのおでかけ交通は、一日当たりの利用者は現在十数人なんです。それでも収支率は三五%ということでした。つまり、人件費をカットしてボランティアに近いような形で運行しているということなんですよ。
収支率の低いところは努力が足りないということではなくて、苦難の中で無理に無理を重ねて事業を継続していただいている、こういうところが県下にもたくさんあるのではないかと思います。市町村による赤字の穴埋めも、全額ではなく一部です。この収支率が低いところへの補助が市町村の補填分の八%というのは、やはり低いのではないかと思うんですね。この収支率が低いところに対して補助率を底上げする検討が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
岩佐交通政策課長
この生活交通確保対策補助制度につきましては、コミュニティーバスの運行支援を強化するという観点から、平成二十六年度に制度の見直しを行っております。具体的に言いますと、収支率が低いために補助対象とならなかったような路線に対しまして、収支率改善に一定の努力がなされたものについて補助を行うようにしたこと、また、補助率八%の路線のうち一部の路線につきまして、一四%に補助率を底上げする制度も導入しているところであります。当面、現行制度を活用いたしまして市町村を支援していきたいと考えております。
高瀬菜穂子委員
二十六年度に改善がされて、少し収支率の高いところでは八%の補助率を一四%に引き上げているということで努力されているとは思いますけれども、やはり他県の取り組みなどと比べて、例えば九州各県も同様の制度に取り組んでいますけれども、予算規模は、例えば熊本県では二億一千万、鹿児島県では一億四千万、大体市町村負担の二分の一とか三分の一で補助しているところが多いんですよね。ぜひとも、この八%というのは、苦労して存続させているところの事業者、市町村なので、もう少し引き上げができるように検討していただきたいと思います。
それから、北九州市が県の補助制度を現在活用していないんですね。せっかくの制度が周知されていないということはないでしょうか。県の制度も活用し、できるだけ業者の負担を軽くすることが必要だと考えております。県は中小企業振興条例をつくったばかりですが、赤字を引き受けてまでも地域振興に寄与している中小業者支援という点でも、補助制度の充実と市町村との連携が欠かせないと考えます。この点について見解を伺います。
岩佐交通政策課長
生活交通確保対策補助金につきましては、先ほど述べましたとおり、二十六年度に制度の充実を図ったところであります。市町村への周知につきましては、毎年九月から十月にかけまして、翌年度の事業予定調査に合わせまして、補助制度を文書で通知し、徹底を図っているところであります。
市町村との連携につきましては、地域の生活交通の課題につきまして、市町村が住民代表や交通事業者などと協議する地域公共交通会議の場において必要な助言等を行うとともに、今年度からは各市町村長を訪問いたしまして、地域公共交通の活性化に向けた取り組みを説明しているところであります。また、市町村担当者に対し、交通政策に必要となる専門知識の習得や地域の課題解決についての研修なども行っているところであります。
高瀬菜穂子委員
地域との連携もしているということですが、どんどん路線が廃止される中、市町村も苦労しながら財政支出をしていると思いますし、また、それにかかわる業者さんも苦労されていると思います。そうした声をしっかり聞き取っていただいて、重ね重ねですけれども、この支援の制度の充実と予算の確保をぜひともしていただきたいということをお願いしたいと思います。
最後ですけれども、コミュニティーバスの利便性を高める点から、西鉄の既存路線への乗り入れについて改善をお願いしたいと思います。
今お話をした地域ですけれども、小倉南区の合馬・道原地域、農村地帯です。ここは農村地帯から国道三百二十二号線までをおでかけ交通という形で運行していますけれども、この三百二十二号線を二キロほど走りますと、モノレールの徳力嵐山口駅に着きます。この周辺に病院などがありまして、お買い物もできるということで、地域ではこのモノレールの駅まで延長してほしいという要求が大変強いです。これは十数年、これができたときからそうなんですけれども、西鉄の既存の国道三百二十二号線のバス路線があるということで、なかなか乗り入れができないということで現在まで来ております。地域の方にとっては、病院や買い物に行く利便性が高まるわけです。
逆に、この合馬・道原地域というのは合馬のタケノコで有名な場所でもありますし、道原には菅生の滝という、北九州市のパンフレットなどには観光の名所として必ず出てくる地域もあります。でも、公共交通がこのおでかけ交通しかないと。しかも、バスの出ている場所が他の地域からでは大変わかりにくいんですね。モノレールの徳力嵐山口駅からバスに乗れるということになれば、外からの観光客なども利用できるのではないかと。そしてまた、ここは西鉄バスも通っていますので、さまざまな形で利用の促進、拡充も図れるのではないかと思います。
こうした問題については、地域公共交通会議で協議される内容ですけれども、いまだにこれが進まないんですね。市議会などでも取り上げられていますけれども、実現をしておりません。交通の結節点につなぐということは双方に利点がありますから、西鉄の既得権益にこだわり過ぎることなく、利用者の利便性を図る観点で、県としても助言、指導をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
岩佐交通政策課長
コミュニティーバスの路線につきましては、市町村において決定されるものでありますけども、バス事業者との利害調整に関しましては、住民の利便性にも十分配慮してくださいと市町村にも助言しているところであります。今後とも同様に対応してまいりたいと思っております。
高瀬菜穂子委員
住民の利便性に十分配慮してほしいということで、強力にそうした観点から、どんどん路線がなくなっているわけですので、指導、助言をしていただきたいと思います。西鉄が大規模な撤退をしたことからさまざまな矛盾も生じているわけなので、公共交通確保に責任を持つ行政の立場から利便性の向上の努力をお願いしたいと思います。地域の公共交通は地方創生の鍵を握る課題でもあると思います。さらなる充実をお願いしまして、質問を終わります。(拍手)