● 15年11月06日 県議会報告
2015年11月6日 2015年決算特別委員会・知事保留質疑 高瀬菜穂子委員質疑・答弁 (大要)「メガソーラーの乱開発規制について」
≪2015年決算特別委員会≫
2015年11月6日
高瀬菜穂子委員
日本共産党の高瀬菜穂子でございます。
九月議会の一般質問に続き、太陽光発電にかかわる乱開発規制についてお伺いします。
我が党はこれまで一貫して再生可能エネルギーの推進を主張してまいりました。住民本位の市民共同発電所で太陽光発電事業が始まるなどの動きを歓迎するものです。ところが、太陽光発電にかかわって県内各地から、危険な立地ではないか、環境破壊ではないか、との声が上がり、私も現地視察を行う中で、住民の不安を肌で感じております。既に八月の豪雨災害による鬼怒川決壊の要因が太陽光パネル設置のための堤防の掘削であったことや、群馬県でソーラーパネル二千枚もが突風で飛んだこと、県内でも柳川などで太陽光パネルが家の屋根を壊す被害があり、太陽光パネル凶器にと報じられています。
そこで知事にお伺いします。再生可能エネルギーの推進に当たっては、県民の安全や環境などに配慮したものでなくてはならないと思いますが、この点について見解を伺います。
小川知事
メガソーラーなどの発電設備を新たに設置する場合には、自然環境の保全、また周辺の安全確保を図る観点から、さまざまな法律によって規制がかけられているところでございます。例えば地域森林計画の対象となっております民有林を一ヘクタールを超えて開発する場合には、森林法による林地開発許可の手続が、また地すべり防止区域内で地すべりを誘発させるおそれのある開発を行う場合には、地すべり等防止法による許可手続がそれぞれ必要となっております。また、メガソーラーの設備の安全性の確保につきましては、電気事業法により設備の強度、施工が一定の技術基準に適合するよう義務づけられているところでございます。
県といたしましては、太陽光発電などの再生可能エネルギーの推進に当たりましては、国や地元市町村と連携、協力いたしまして、法律による各種規制を事業者に周知徹底し、これを遵守させるよう取り組んでまいります。
高瀬菜穂子委員
御答弁いただきました。県民の安全や環境に配慮するということは、再生可能エネルギーの推進にかかわらず当然のことであると思います。ところが太陽光パネルについては、これに特化した規制の法律がなく、そのため、今知事が答弁で示されたような法律を遵守してもなお、住民が不安を覚えるようなパネル設置が進んでいるわけなのです。大規模開発や危険地域に隣接した区域の開発、急傾斜地、住宅地に隣接しているなど、次々と問題が起こっております。知事におかれましては、ぜひとも県民の不安に応える対応をしていただきたいと思います。
既に一般質問でも申し上げましたが、飯塚市の白旗山では三十四ヘクタールという大規模開発の計画がありますが、ここは土砂災害警戒区域の指定地域が含まれています。県内一万六千カ所の土砂災害警戒区域の指定には、県の砂防課の方々の大変な苦労があったと聞いております。区域指定されると資産価値が下がるからということで、住民からの抵抗があったからだと伺っております。しかしながら、広島の土砂災害では区域指定の重要性が浮き彫りになりました。今回の三十四ヘクタールの開発は、せっかくある森林を伐採するものですから、資産価値がさらに下がることを住民の皆さんは憂慮しています。森林法では、森林をたった二六%残せばよいということになっており、地域の住民の災害が起こるのではないかという不安は大変大きいものがあります。
森林法の開発申請が必要ない一ヘクタール以下の場合は、届け出だけで伐採が行われています。水巻町では〇・九ヘクタールの届け出が町に出されました。しかし実際には、誤伐も含め二ヘクタールも伐採されているのです。町は植栽の指導をしております。その二ヘクタール伐採されたすぐ下では、県が地すべり対策事業を二億二千万円もかけて行っております。町長は住民の不安を受けて、町道の使用を禁じ、工事をとめています。業者はそのため町を訴え、争いになっているのです。この業者は住民説明会もせず、〇・六ヘクタール以上で行われている県との協議も行っていません。このような深刻な事態となり、町が住民の安全を守るために闘っているわけです。
こんなときに森林保全、災害対策に責任を持つ県として、現在の法の遵守だけでは不十分ではないでしょうか。私は、こうした事態は法に不備があるということを指摘せざるを得ません。住環境と安全を守るための規制、住民合意のための手続、環境保全、景観などの観点で基準をつくるよう、国に対し意見を言っていただきたいと思います。そして、法ができるまでは県の条例などをつくり、県民の安全と環境を守ることを強く求めます。県内の深刻な事態を知事にぜひ認識していただき、申し上げました点について真摯に御検討いただきますよう強く強く要望いたしまして、質問を終わります。