● 17年03月15日 県議会報告
2017年3月15日 2017年予算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁「西鉄バス「田川小倉線」廃止問題について」(大要)
≪2017年予算特別委員会≫
2017年3月15日
西鉄バス「田川小倉線」廃止問題について(大要)
高瀬菜穂子 委員
日本共産党の高瀬菜穂子です。西鉄バス筑豊株式会社の 「田川小倉線」の廃止問題について伺います。これまでの経緯と検討状況について、簡潔にお答えください。
岩佐孝徳 交通政策課長
平成28年6月30日に、西鉄バス筑豊㈱より、県、国、市町村、事業者で構成する「福岡県バス対策協議会」に対し、「田川(快速)小倉線」の廃止の申し出がありました。
この申し出を受けて、北九州市、香春町、田川市で事業者に対する財政支援を前提に、路線存続に向けた対応策を協議してまいりました。協議の結果、生活確保上必要な、西鉄後藤寺営業所~北九州市小倉南区の中谷間の14便について、田川市と香春町で財政支援するという条件で、西鉄バス筑豊㈱に対して路線の存続を申し入れを行ったところでございます。
現在、西鉄バス筑豊㈱において、申し入れ内容について検討が行われているところでございます。
高瀬菜穂子 委員
小倉、香春、田川を結ぶ幹線系統の「田川小倉線」が廃止されることについては、私の地元小倉南区住民を含め、大変な衝撃が走っています。 県としては、自治体をつなぐ幹線系統の廃止についてどのような見解をお持ちですか。また、田川小倉線が廃止となれば、交通空白が生まれるわけですが、この点についての見解をお聞きします。
岩佐孝徳 交通政策課長
幹線系統は複数の市町村を結ぶ路線であり、その廃止は通勤や通学など地域の方々の生活に大きな影響を及ぼすと考えております。
田川・小倉線については、廃止となれば田川市の東町から、小倉南区の山ヶ迫間のバス路線がなくなることから、それまでバスを利用していた方々の移動手段の確保についての検討が必要になると考えております。
高瀬菜穂子 委員
もし廃止となれば、新たな移動手段が必要になる、そういう不可欠の重要な路線ということですね。私は、田川市の担当者、香春町の副町長から直接お話を伺いましたが、「どうしても存続してもらわないと困る。陸の孤島のようになってしまう。平成筑豊鉄道にも赤字補填しており、財政的には苦しいが、この路線ははずせないので、財政支出も含めてお願いしている」ということで、強い思いを示されました。
今回の提案は、香春町と田川市が距離に応じて赤字補填を行うということですが、現在の34便を確保することは難しく14便に減らし、現在の小倉北区砂津までの路線を南区中谷までに縮小するとのことです。それでも、香春と田川の負担は約600万円と400万円と多額です。なみなみならぬ決意を持って、路線確保のために財政支出をするということです。しかし、本数が減り、中谷で乗り換えなくてはならないとなると、これまでの乗客数を確保できるのか、大変心配されます。両自治体は、3年後に見直し検討を行うといっていますが、県としては、どのような見通しを持っておられますか。
岩佐孝徳 交通政策課長
地元市町村としては、まずは、この路線に補助をして路線維持に頑張るという考えでございます。県としてもこれまでもやっておりますが、「公共交通利用促進キャンペーン」などを通じて、路線バスの利用者増に努めてまいりたいと思います。
高瀬菜穂子 委員
見通しについては、なんともいえない、見通せないということですね。
県は、地域間幹線系統確保維持補助金制度にのっとり、広域行政圏をつなぐバス運行対策補助金を出していますが、その実績額はどのくらいですか。また、小倉田川線に対する補助額はいくらですか。補助要件についてもお示しください。
岩佐孝徳 交通政策課長
平成27年度の地域間幹線系統確保維持補助金額(実績額)は、県内の全路線合計で1億3,500万円余、このうち田川(快速)小倉線は、753万円余でございます。
地域間幹線系統確保維持補助金制度に係る補助要件は、
・複数の市町村にまたがる路線
・1日の輸送量が15~150人の路線
・1日の運航回数が3回以上の路線
・広域行政圏の中心都市にアクセスする路線
以上の要件をすべて満たす必要がございます。
高瀬菜穂子 委員
小倉田川線への国と県の補助額は、現在合わせて1500万、県はその2分の1、750万相当の補助をされているということだと思います。
今回、人口1万人の香春町が600万円も赤字補填をしようとしているなか、国・県の補助は750万円ですから、もっと手厚くすべきではないかと思います。また、1日の輸送量が15人を下まわった場合には国の補助がなくなるわけで、それも単に15人が乗るということではなく、始点から終点まで乗って1人ということですから、もし15人を下まわったら、幹線系統が守れません。国に対して、補助率の引き上げ、要件緩和を求めるべきだと思いますが、県の見解はいかがですか。また、県としても、交通空白をつくらないための独自の補助制度が必要だと考えます。あわせて、見解を伺います。
岩佐孝徳 交通政策課長
県では、県内の市町村と企業等で構成する「福岡県地域交通体系整備促進協議会」において、国の補助金の補助要件の緩和や補助対象経費の拡大を国に要望しているところでございます。
県単独補助であります「生活交通確保対策補助金」により、市町村が国の補助を受けない路線バスに対して行う補助に対する助成、市町村が運行するコミュニティバス、デマンド交通に対する欠損額補助を、すでに実施してございます。
高瀬菜穂子 委員
国の規制緩和の影響ですから、国に対して強力に働きかけていただきたいと思います。また、県単事業を行っていただいていますが、コミュニティバスやデマンド交通に対しての補助ですから、基幹系統路線存続のための直接の補助ではありませんよね。ですから、現在の制度をさらに充実させることが必要ではないかと思います。この点は要望しておきます。
事業者である西鉄に対しても、公益的な立場から、基幹路線の存続については強く求めるべきだと思います。2002年の乗り合いバス事業の規制緩和が行われて以降の、県内の廃止路線数、影響市町村数、その総延長を伺います。
岩佐孝徳 交通政策課長
2002年度(平成14年度)以降の県内の
・廃止線数は、237路線、
・影響市町村数は、55市町村、
・廃止の総延長キロ数は、1,591キロメートルでございます。
高瀬菜穂子 委員
私は2年前の決算特別委員会でも取り上げましたが、その時よりも廃止路線は増えています。どんどん路線の廃止を進めているんですよ。
西鉄は不採算路線を容赦なく切り捨ててきています。一方、西鉄大牟田線連続立体交差事業には、国・県・地元市町で、毎年30億円もの税金が投入されています。2015年度でいえば、29・9億円の税金負担に対して、西鉄の負担は2.3億円、わずか8%にすぎません。これだけの公金を使うのは、公共性があるからにほかならず、西鉄は公共交通としての役割を広域的に果たす責務があります。不採算だからといって、どんどんきりすてていたのでは、市町村域を超えた公共交通の確保はできません。福岡県の「地方創生総合戦略」でも交通網の確保は地域振興の大きな柱に位置づけられています。 西鉄に対して県として、どのような働きかけをおこなってきたのですか。
岩佐孝徳 交通政策課長
県では、県内の市町村と企業等で構成し、知事を会長とする「福岡県地域交通体系整備促進協議会」において、毎年、西鉄に対してバス路線の維持を最重点項目の一つとして要望しております。
本年1月には、企画・地域振興部長が直接、西鉄本社に出向き、田川(快速)小倉線の廃止の意向に対して、地方創生の観点から、慎重な判断を行っていただくよう要請を行ったところでございます。
高瀬菜穂子 委員
働きかけにもかかわらず、これだけの路線が廃止されているのは、大変遺憾なことです。
総合戦略にもあるように、交通網の確保は地方創生の重要な柱です。西鉄に対し、存続の働きかけをさらに強く行っていただくとともに、国・県の支援を強めていただくことを要望します。
日本共産党として、北九州市に対しても財政支援をお願いしておりますし、バス利用の促進も図ってまいりたいと思っております。今後の利便性を考えれば、中谷までではなく、小倉の中心部までの路線として残していただけますように、また3年後に廃止とならないよう、あらゆる手立てを尽くしていただきたいと思います。最後に部長の決意をお聞きしたいと思います。
家守良明 企画・地域振興部長
課長答弁にございましたように、バス路線の維持存続について、私自ら毎年西鉄に要望してまいりました。
財政支援については、県独自の路線維持の補助を実施しております。国に対しても、補助要件の緩和や補助対象経緯費の拡大を要望しております。田川(快速)小倉線については、「公共交通利用促進キャンペーン」などを通じ、路線バスの利用者増に努めてまいります。
県として、田川小倉線の地元市町の取り組みを、引き続き総合的に応援してまいりたいと考えております。