● 17年03月17日 県議会報告

2017年3月17日 2017年予算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁「無料低額診療事業について」(大要)



≪2017年予算特別委員会≫

2017年3月17日

 

無料低額診療事業について(大要)

1.資料要求

 

 無料定額診療事業、医療施設別の患者数について

 

高瀬菜穂子 委員

 日本共産党の高瀬菜穂子です。無料低額診療事業について伺います。無料定額診療事業、医療施設別の患者数について、資料をお願いしておりますので、委員長のお取り計らいをお願いします。

高瀬菜穂子 委員

 資料の説明と、無料、低額診療事業について簡潔にご説明をお願いします。

 

 

小野博史 保護・援護課長

 無料低額診療事業についてですが、この事業は社会福祉法第2条3項9号に規定された事業であり、医療機関が低所得者、ホームレスなど生計困難者に対しまして、無料または低額な料金で診療を行うことでございます。
 無料定額診療事業を行うためには、厚生労働省通知で定められている「生計困難者を対象とする診療費の減免方法を定めてこれを明示する」などの要件を満たす必要があります。
 この事業を行う医療機関は、事業開始の日から1ヵ月以内に事業経営地の知事(政令市・中核市に所在する医療機関にあっては市長)に届出を行う必要があります。また、固定資産税や不動産取得税が非課税になるなど、税制上の優遇措置を受けることができます。
 委員会資料は、県内で無料定額診療事業を行っている26医療施設ごとの診療延人数について、例えば1人が1年間に10回通院したら10とカウントするものでございますが、平成24年度分から27年度分までを一覧にしたものでございます。24年度と27年度を比較すると微増傾向ですが、単年度ごとに見ると増減を交互に繰り返しているという状況です。

高瀬菜穂子 委員

 お示しいただいた資料は延人数ですが、実施金額と一人一日あたりの費用はどれくらいになりますか。平成27年度で教えてください。

小野博史 保護・援護課長

 医療施設が減免した費用の総額は1億2千万円余であり、延人数で割ると284円となります。

 高瀬菜穂子 委員

  1億2千万円を医療機関が負担して、低所得者の医療を保証しているということですね。
 昨日私は、国保法44条に基づく一部負担金減免制度について質問しました。本来、この制度が十分に機能して低所得者の医療の保障を行わなければならないものと考えます。
 しかし本県においては、44条が機能しておらず医療機関が大きな負担をしながら、低所得者に対する医療をこの無料低額診療制度で保障しているわけです。延43万を超える方が救われているということになりますが、県としては、この無料低額診療事業についてどのような評価をされていますか。

小野博史 保護・援護課長

 国は「この事業について、低所得者に対する必要な医療を確保する上で一定の役割を果たしている」としておりました。県としましても一定の意義はあるものと考えております。

 高瀬菜穂子 委員

 一定の意義と言われましたが、延43万というのは、大変な数字ですよ。私は本県の医療保障に大きな役割を果たしていると考えます。
 政府は、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に基づく基本指針」の中で、ホームレスの医療の確保を図るため、無料低額診療の積極的活用をうたい、「人身取引対策行動計画」においても、人身取引被害者の保護対策の中に無料低額診療を位置づけています。不況の長期化、格差拡大によって生活困難者は増加しており、この制度の意義はいっそう大きくなっていると考えます。したがって制度を充実し、医療機関から新たな届出があれば受理し、拡充すべきだと考えますが、県の見解を伺います。

小野博史 保護・援護課長

 国は、無料定額診療事業の新規開始に対し、抑制する方針であるとともに、今後の無料定額診療事業のあり方について慎重に検討するものと伺っております。 県としましては、国の検討状況を見守ってまいりたいと考えております。
 なお、医療施設が事業開始届出を提出した場合は、届出内容について確認、審査し、届出内容が基準を満たしているときは、その届出を受理いたします。

高瀬菜穂子 委員
 「受理をする」というお答えでした。
 以前、大牟田親仁会が届け出を行った際に、国の抑制方針を理由に、なかなか受理をしていただけなかったという経緯があります。資料を見ますと、久留米地域では医療施設がゼロですし、今後、届け出の可能性がある地域もあるかと思います。そうした際には、適正に対応していただくよう、お願いします。
 国は、1987年以降、「社会情勢等の変化に伴い必要性が薄らいでいる」として新規事業の抑制方針をとっているわけですが、国民皆保険制度が定着をし、国民所得が伸びていた1987年当時と現在とでは、それこそ社会経済情勢が異なります。政府自身が、2000年代に入って、ホームレス対策などに積極活用をしてきたものです。本県においては、低所得者の医療保障の観点から欠かせない制度でとなっており、政府の抑制方針を改めるよう求めるべきだと思います。見解を伺います。

小野博史 保護・援護課長

 先ほど申しました通り、国は、無料定額診療事業の新規開始に対しまして、抑制する方針であるとともに、今後の無料定額診療事業のあり方について慎重に検討するものと伺っております。
 また、医療保険制度が整備された現在においては、疾病や失業等で生活が著しく困難となった被保険者が必要な医療を受けられるよう、一部負担金減免制度が設けられております。
 このような状況でございますので、国に対し抑制方針を改めるよう求めることは、現段階では考えておりません。

 高瀬菜穂子 委員

 一部負担金減免制度の活用は重要です。しかしながら、何度もくり返しているように、現状の適用者はわずかに県内全体で195人です。「著しい収入の低下」が要件になっているからなんです。国保法44条が機能することが大事ですが、機能していないわけで、無料定額診療事業抑制は現状に合わないと思います。国に対して抑制を改めるよう、言っていただきたいと思います。
 次にまいりますが、医療機関からは、無料低額診療事業に調剤費も含めるよう強く要求が上がっています。昨年7月の大都市民生主管局長会議において「無料低額診療にかかる調剤のあり方について」の提案がなされました。「無料低額診療により受診したものの、保険調剤薬局において、経済的な理由で調剤を受けられず治療を中断される方がいるため、制度の趣旨に則っているとは言い難い状況」とし、「早期に社会福祉法に基づく第二種社会福祉事業としての位置づけが明確になることが望ましい」と述べています。受診して病気がわかっても、薬をもらえない、薬をもらうだけのお金がないというのでは、病気を治すことはできません。調剤についても、第二種社会福祉事業と位置づけ、調剤費も無料低額となるよう、政府に要請すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

小野博史 保護・援護課長

 くり返しになりますが、国は、無料定額診療事業の新規開始に対しまして、抑制する方針であるとともに、今後の無料定額診療事業のあり方について慎重に検討するものと伺っております。
 このような状況で状況でございますので、調剤費の第二種社会福祉事業への位置づけに係る政府への要請については、現段階では考えておりません。

高瀬菜穂子 委員

 国も県も実態を見ないものと思います。青森市や高知市では、独自予算で調剤費を助成しています。
 持ち出しをしている医療機関からの要望なんですね。実施している医療機関から、直接聞き取っていただきたいと思うのですが、例えば高血圧だとか、糖尿病だとか診断が下っても薬を飲まなければ治らないわけで、薬代を払えずに帰っていく患者さんを、医療人として見ていられないと強く要望されています。
 政令市の民生主管局長会議の意向も勘案して、政府への要請を重ねてお願いします。
 無料、低額診療事業の患者数は全国で現在700万人です。本県でも昨年、年間延43万6千人余です。10年前と比べると本県でも7万人も増えています。現状では、この制度が県民の命を守っているわけです。しかしこの事業は県民的には知らされていません。行政の方でも知らない方が多いです。貧困のため必要な医療が受けられない深刻な事態を打開するため、周知していただきたいと思います。特に、相談窓口などでの徹底は重要です。見解を求めます。

小野博史 保護・援護課長

 県(郡部を所管)及び市では、平成27年4月から、生活困窮者自立支援法に基づき、生活に困窮された方の自立相談支援事業を実施しております。
 経済的な理由で医療機関への受診が困難な方からの相談に対しては、相談者の状況に応じた公的制度の理世に向けた助言や、申請窓口への同向支援を行っているところでございます。
 今後とも、県内の福祉事務所や自立相談支援機関に対して、公的制度について研修を行い、生活に困窮された方への支援がしっかりと行われるよう、努めてまいりたいと考えております。

高瀬菜穂子 委員

 周知をお願いしたいと思います。
 貧困のために必要な医療が受けられず手遅れになる、重症化するなどの事態はあってはなりません。就学援助を受けている世帯に知らせるなど、県民的な周知もお願いをしまして、質問を終わります。

 

 

 

 

 

 

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