● 17年10月03日 県議会報告

2017年10月3日 2017年決算特別委員会 山口律子委員質疑・答弁「林業対策について」(大要)



≪2017年決算特別委員会≫

2017年10月3日

 

 

林業対策について(大要)

 

山口律子 委員

 

 日本共産党の山口律子です。通告に従いまして、林業対策について質問します。

 今回の九州北部豪雨災害において、大量の土砂と流木によって被害が拡大したことから、森林整備のあり方について、これまでになく関心が高まっています。

 林野庁による現地調査の結果では「記録的な豪雨による特定の箇所に集中した雨水が要因となり、森林の有する土砂崩壊防止機能や土砂流出防止機能の限界を超え、山腹崩壊等が発生した」とされています。確かに今回の豪雨では限界を超えたのかもしれませんが、そもそも県内森林の整備状況は、山腹崩壊防止機能が最大限発揮できる状況なのでしょうか。あるべき林業対策について考えたいと思います。

 県は、森林環境税の延長まで行って、荒廃森林の整備を行おうとしていますが、荒廃の原因についてはどのような認識をお持ちですか。また、県内森林の荒廃状況について、今後の予測をお答えください。

 

今泉正彦 林業振興課長

 

 森林環境税を導入した平成20年度以降も、木材価格の下落が続くなど、林業を取り巻く情勢が厳しさを増していることから、間伐等の手入れがなされず放置されれば、今後、約3万ヘクタールの森林で、新たに荒廃が進むことが懸念されています。

 

山口律子 委員

 

 木材価格の下落が続くなど、林業を取り巻く情勢が厳しいと答弁がありました。

 そこで、本題の質問に入る前に、林業の情勢に関する資料4点を要求します。

 1点目は、平成元年以降の木材価格の推移

 2点目は、平成元年以降の国木材自給率と県産材シェアの推移

 3点目は、森林環境税を導入する前年からの国と県の森林整備公共予算の推移

 4点目は、平成元年以降の本県の林業従事者数の推移です。

 委員長、以上の資料要求について、よろしくお取り計らい下さい。

 

 

山口律子 委員

 

 では、資料を確認しながら何点か質問します。

 まず、資料①木材価格の推移を見てみますと、スギ、ヒノキとも平成元年の半分以下まで、大きく下落していることがわかります。わが党は、森林所有者に再造林できる価格を保障する制度を国に求めているところですが、このような状況において、どうやって福岡県の森林を健全に維持していくのか。しっかりとした林業対策が必要ではないでしょうか。

 国は、2001年の「森林・林業基本法」に基づき、「森林・林業基本計画」をつくり、5年ごとに見直ししています。2016年に見直した基本計画では、2025年の木材供給量4千万立米を目標に掲げ政府は、木材自給率は50%程度になると見込んでおります。

 資料②を見ますと、木材自給率は2002年の18.8%を底に徐々に回復し、2016年には34.8%まであがってきています。県産材シェアについても、2014年以降、急激に上昇していることから、県としても、林業振興にしっかりと取り組んでおられると思いますが、今後、どのような施策を推進していくのかお答え下さい。

 

今泉正彦 林業振興課長

 県では、平成26年度から主伐による県産材の供給力強化に取り組んでいるとこです。

 具体的には、主伐を行う事業者に対し、搬出経費の一部を助成しているところであり、この結果、事業者の主伐に対する意欲が向上し、均質な木材の供給が増えております。

 今後、さらに供給を増やすため、今年度から、新たに、主伐現場を管理する人材の育成にも取り組んでおります。

 需要拡大については、これまでの県有施設の木造・木質化や、モデル的な木造建築物の表彰などに加え、今年度から、新たに、東京五輪等の関連施設に、県産材を使用した家具を売り込むための商談会への出展を支援し、販路開拓にも取り組んでおります。

 今後とも、県産材の供給拡大と需要拡大の両面から、取組を進めてまいります。

 

山口律子 委員

 さまざま取り組んでいただいています。森林は、木材生産だけでなく、災害防止、水源涵養、温暖化防止などの機能を有し、私たちの生活に欠かすことの出来ない様々な恵みをもたらしています。

 この森林のもつ多面的機能を発揮させ、自給率50%を達成するには、国をあげて森林整備、林業対策に取り組む必要があると考えます。しかし、国の森林整備予算は、補正予算で確保されてはいるものの十分とはいえません。

 資料③をみてもわかるとおり、2017年度の森林林業当初予算は、県が森林環境税を導入する前年の2007年度と比較すると、県予算は4億円ほど増加し133億円となっていますが、国は、991億円も減少し2,856億円となっています。森林整備の予算も501億円減の1,203億円と30%も減少しています。

 県は、森林環境税など、県民に広く負担をさせている現状も訴え、国の予算を抜本的に拡充するよう求めるべきだと考えます。見解を伺います。

 

今泉正彦 林業振興課長 

 間伐などの森林整備や路網の整備、高性能林業機械の導入に必要な予算の確保や、担い手対策の支援強化など、国に対して要望しているところであります。

 今後とも、機会があるごとに、国に対して要望してまいります。

 

山口律子 委員

 国にもしっかり要望しているということですね。2001年の日本学術会議で示された森林の公益的機能の貨幣評価額は、多面的機能の一部にすぎませんが、70兆円との試算がされています。2017年の国の森林整備予算は、これの0.2%に過ぎません。私たちは、森林から、水源涵養や土砂災害防止、地球温暖化の防止など、国民生活に欠かすことの出来ない恩恵を受けているわけですから、国の責務として必要な予算は当初で確保すべきです。

 県としても、今後とも、抜本的な予算の拡充を国に対して強く要望していただくようお願いします。

 今回の豪雨災害では、森林の限界を超えて山崩れが発生したとのことですが、森林の有する土砂災害防止機能等を持続的に発揮させるため森林整備の重要性について、改めて認識されたのではないでしょうか。県としては、今後の森林整備をどのように進めていくのかお答え下さい。

 

今泉正彦 林業振興課長

 今年3月に策定した「福岡県農林水産振興基本計画」では、人工林を経営が成り立つものと経営が困難なものに分けて、施策を展開することとしております。

 経営が成り立つ人工林では、複数の所有者の森林をとりまとめ、路網整備や間伐等の作業を一体的に実施するとともに、森林組合等による経営受託の促進などにより、森林資源の循環利用を推進してまいります。

 一方、経営が困難な人工林では、森林の持つ多面的機能の持続的な発揮に向けて、健全な森林づくりを推進してまいります。

 

山口律子 委員

 日本の森林は2508万haで、年間木材成長量の6割程度の伐採でも4200万立米が伐採可能であるということですが、実際の供給量は2000万立米程度です。つまり、いまの2倍以上の供給が可能だということです。国産材を公的建築物や公共事業に優先的に利用し、「国産材時代」はつくれるし、そのことが、森林を守り、国土、環境を守ることにつながります。

 そのためには、人材育成が欠かせません。森林組合の方からも、一番大事な課題は何でしょうかとたずねた際、「人づくり」と言われました。

資料④県内の林業従事者について見てみますと、若年者率の割合は、増えてきているようですが、速報値ではありますが、2015年の従事者数は1990年より45.6%減少し600人となっています。県産材の供給力を強化しながら、あわせて適正な森林整備を実施していくためには、人材育成と併せて新規就業者の確保も大事だと考えます。

 そこでお尋ねします。

 県では、今年3月に策定した福岡県農林水産振興基本計画において新規就業者を5年間で250人確保する目標を定めておりますが、林業の担い手の育成・確保にどのように取り組まれるのかお答え下さい。

 

今泉正彦 林業振興課長 

 新規就業者を確保するための相談会の開催をはじめ、就業希望者に対する基礎的な技術の講習会やトライアル雇用等を実施しております。

 就業された方を対象に、高性能林業機械を活用した伐採技術の習得やその際の事故防止の研修なども行っているところであります。

 今後とも、このような取組を通じ、担い手の確保・育成を図ってまいります。

 

山口律子 委員

 新規就業者対策に取り組んでおられるわけですが、それでも、高齢化による減少などを考慮しますと、就業者の増加にはならないのではないでしょうか。総数を引き上げる取り組みを強化していただくよう強く要望いたします。

 最後に、放置竹林対策についてお尋ねします。

 昨年2月議会で、高瀬菜穂子県議が、放置竹林対策について、抜本的強化を要請しました。その後、市町村連携で連絡会議を開催するなど対策を進めていると白書にも書かれていますが、どのような対策をすすめているのか、具体的にお答え下さい。

 

今泉正彦 林業振興課長

 放置竹林対策については、市町村との連携を強化するため、連絡会議を開催し、放置竹林の解消に向けた取組などの情報を共有するとともに、竹林整備や利用の参考となる手引き書を作成したところであります。

 市町村や森林組合などが実施する放置竹林における他の樹種への植え替えや、スギなどの人工林へ侵入した竹の伐採などについて、引き続き支援しているところであります。

 今後とも、市町村と連携し放置竹林対策を進めてまいります。

 

山口律子 委員

 お答えいただきました。竹林対策も含めた総合的な林業対策で、森林の持つ多面的な機能を十分に発揮させていただくよう重ねてお願いいたします。特に、国に対して、予算確保などその責任を果たすよう強く求めていただきたいと思いますので、最後に林業対策について部長の決意をお聞きします。

 

岡本光司 農林水産部長

 林業は、森林の多面的機能の発揮に重要な役割を果たしてあります。

 林業の担い手の確保・育成を図るとともに、森林作業の集約化や高性能林業機械の導入、主伐の推進などにより、県産材の供給力拡大に取り組んでまいります。

 県有施設の木造・木質化や、県産材を使用した家具の販路開拓などによる需要拡大にも取り組み、しっかりと林業の振興に努めてまいります。

 

山口律子 委員

 日本の森林率は、世界で3番目だということですね。その豊かな森林が適正に整備され、多面的で豊かな恵みもたらすよう森林林業対策を充実していただくよう求め、質問を終わります。

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