● 17年12月20日 県議会報告
2017年12月20日 第147号議案「福岡県国民健康保険運営協議会条例及び福岡県国民健康保険広域化等支援基金条例の一部を改正する等の条例の制定について」反対討論
《2017年度12月定例会・本会議》
2017年12月20日
第147号議案、福岡県国民健康保険運営協議会条例及び福岡県国民健康保険広域化等支援基金条例の一部を改正する等の条例の制定について、反対討論
日本共産党の高瀬菜穂子です。第147号議案、福岡県国民健康保険運営協議会条例及び福岡県国民健康保険広域化等支援基金条例の一部を改正する等の条例の制定について、反対討論を行います。
本条例案は、国保を広域化するための制度を条例に規定するものであります。この制度は、県が国保の「保険者」となり市町村の国保を統括・監督することで、医療給付と保険料負担の関係を一層明確にし、医療費抑制の司令塔の役割を県が担う仕組みであるといえます。国民皆保険制度の要である「国保」に対し、住民や被保険者が望んでいることは払える保険料と安心して使える医療にしてほしいということです。今回の広域化は、低所得者が8割、高齢者が3割以上を占めるという国保の構造的な問題を解決するものとは全くいえません。それどころか、「財政安定化基金」の設置によって、現在市町村が高すぎる国保負担を軽減しようと行っている一般会計からの繰り入れや繰り上げ充用を将来的になくす方向を示すなど、矛盾を大きくするものです。
本県では現在、法定外繰入れは49市町村155億円、繰上げ充用は33市町村93億円となっていますが、この解消が強権的に実施されるなら被保険者の保険料は248億円、1世帯あたり3万1850円の負担増となります。
現在でも被保険者1人あたりの保険料は1984年に比べ、3倍近い9万2124円になっています。加入世帯の平均所得は逆に40万円減少していますので、保険料を支払えば生活保護基準以下になるという世帯も多数です。国保会計に占める国庫支出金の割合は1983年度までは6割近くでしたが現在では3割以下まで落ち込んでいます。国が責任を果たしていないことが最大の問題です。
政府は国保に対して「毎年3400億円」の公費を追加投入すると言っていますが、「法定外繰入額」の総額は3900億円に達しており、全く不十分です。2015年度から低所得者対策として全国ベースで1700億円、保険者支援制度を拡充しましたが県内で保険料を軽減した自治体は皆無で、逆に多くの自治体が引き上げました。
政府は今年の7月、急きょ方針を改め、国保の広域化の新年度にあたっては国保料の大幅な引き上げはさけるべしと法定外繰入れや繰上げ充用を認め新たに国費や県費を投入して1年間は現行保険料に据え置く措置を取りました。
県もこれを受けて3年間、市町村の納付金は現状のまま据え置くとしていますが、4年目以降の目途は立っていません。国保改革のためには、全国知事会も要求している国庫負担の抜本的引上げが何よりも肝要であり、今回の広域化では、ますます矛盾が大きくなることを強調し、反対討論とします。