● 18年03月09日 県議会報告
2018年3月9日 2月定例会・山口律子議員一般質問・答弁「玄海原発再稼働について」「生活保護行政について」
2018年3月9日 2月定例会・山口律子議員一般質問 (大要)
<玄海原発再稼動について>
山口律子 議員
日本共産党の山口りつ子です。最初に玄海原子力発電所再稼動について質問します。
玄海原発3号機の再稼動が今月下旬に迫り、20日には、玄海原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分を求めた可否の決定が下されることになっており、注目を集めています。
福島原発の事故を受けて、電力会社は新規制基準に基づき、原発から160キロ圏の火山の影響調査を義務付けられました。原発の運用期間中に噴火が起きて、火砕流や溶岩流が到達する恐れがあると評価されれば、立地不適格で原発は稼働できません。
広島高裁は、阿蘇山から130キロの伊方原発について、阿蘇山の大規模噴火が起これば、火砕流の到達を否定できず、運転差し止めを命じる決定を下しました。玄海原発も、川内原発も、ほぼ同じ距離に位置します。
九電社長は1月31日の記者会見において「破局的噴火の恐れがある場合は、モニタリングしているので予兆を捉えられる」と言っています。
しかし、火山学会は噴火の規模や時期の特定予測はできないと明言しており、原子力規制委員会もこれを認めています。仮に予兆できたとしても、核燃料を搬出するためには、数年間冷やさなければならず搬出先も決まっていません。
九電が、火山噴火を予知して確実に対処できるのでしょうか。知事のご認識を伺います。
昨年8月、私ども日本共産党は、国会議員、県議会議員、玄海原発30キロ圏内の市町議員で現地視察を行いました。九電は玄海原発の安全性について「世界で最も厳しい水準にある新規制基準」に適合し、安全対策の有効性が認識されたと言っています。さらに万が一の事故の際において、放射性物質の放出量は、福島第一原子力発電所事故時の約2,000分の1の「4.5テラベクレル」であることが確認されたと説明しました。しかし、私たちが、「なぜ2,000分の1 になるのか」と質したのに対し、その根拠を示せませんでした。
福島原発事故時の放射性物質の放出量についてさえ、いまだ明らかになっていないのに、玄海原発が事故を起こした場合の放射性物質の放出量など、言えるわけがありません。
玄海原発から30キロのUPZ内の糸島市は、避難計画を義務づけられています。避難計画について、これまで民進党・県政クラブの川崎俊丸議員が繰り返し質し、私も質問したところですが、実効性が困難なのは明らかです。まして、福岡市にも影響を及ぼすことは確実で、150万市民の避難をどう実現するのか、想定できるものではありません。
玄海原発が再稼働をすると、使用済み核燃料の保管プールはあと3~4年で満杯となります。保存場所も廃棄物処理方法もない現状で、どうして再稼働ができるでしょうか。
県民のいのちと暮らしを守る責任がある福岡県知事として、この際、政府と九電に、きっぱりと再稼働中止を要求するべきだと思いますが、知事の答弁を求めます。
【小川 洋 知事答弁】
<九州電力の火山噴火の予知について>
玄海原子力発電所の安全に影響を及ぼす可能性のある火山については、原子力規制委員会において審査がなされ、「最新の知見を踏まえ、火山事象が敷地に影響を及ぼさないと評価する」
「過去にカルデラ噴火が発生した火山を対象にモニタリングを実施する」という九州電力の報告が確認されております。
このような火山対策を含め、玄海原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会において厳正に審査され、世界で最も厳しい新規制基準に適合していると認められ、国により確認されていると認識いたしております。
<玄海原発の再稼働中止の要求について>
玄海原子力発電所の再稼働については、その安全性について国が責任をもって確認・確保し、電力事業者と共に国民に対し十分な説明を行い、理解を得ていく取り組みを続けていただくとともに、原子力防災対策の充実・強化を行う自治体をしっかり支援していただきたいと考えております。
県としましては、これからも糸島市と連携・協力し、訓練の実施とその検証を重ねていくことにより、原子力防災対策の実効性を高めてまいります。
<生活保護問題について>
山口律子 議員
次に生活保護問題について伺います。
今年は5年に一度の生活扶助基準の見直しの年となっていますが、安倍政権が今年の10月から最大5%、平均して1.8%の生活扶助基準引き下げの方針を決めました。
生活保護の問題は制度を利用している人だけの問題ではありません。生活扶助基準の引き下げは、住民税、保育料、介護保険料、就学援助、最低賃金など47の施策に連動し、広範な国民の生活に重大な影響を与えます。憲法25条に明記された国民の生存権を保障する最後のセーフティネットである生活保護のあり方は、すべての国民の権利にかかわる重大な問題です。
安倍政権は2013年の生活保護基準の見直しで、最高10%、平均で6.5%という過去最大の生活扶助基準の引き下げを行いました。それ以前にも2004年から70 歳以上の老齢加算が縮小廃止され、70歳以上の高齢者は今回引き下げられれば、都市部で24.3%ものカットとなります。2006年に老齢加算が廃止された際、「一番つらかったのは、隣近所や親戚の葬儀にも参列できなかったこと」など、悲痛な声が上がりました。
そこで知事に伺います。2004年以降、度重なる生活保護基準の引き下げに対し、どのような認識をお持ちでしょうか。
本県は、全国でも5番目に高い保護率であり、昨年11月現在127,772人の方が生活保護を利用しています。また、その数倍もの生活困窮者を抱えています。「県民幸福度日本一」を目指す知事として、今回の生活保護基準の引き下げをやめるよう、政府に迫るべきではありませんか。知事のご所見を伺います。
今回の見直しの最大の問題点は、2013年のときもそうでしたが、所得が最も少ない10%の層と比較していることです。この階層の所得は15年間で28万円も下がり続けています。この方式をとり続けるなら、生活保護基準は見直しの度に引き下げられていきます。以前のように一般勤労世帯の生活水準の6割を目指すという方針に戻すべきではありませんか。知事のご所見を伺います。
2015年に冬季加算の減額と合わせて、住宅扶助費が見直されました。
北九州市は、基準額が一人世帯の場合、31,500円が29,000円に引き下げられました。一方で隣接している田川郡などは、26,000円が32,000円に引き上げられています。北九州市内で29,000円の借家など、公営住宅を除いてほとんどありません。実態と乖離した住宅扶助基準の根拠をお示しください。実態に合わないものに対して、見直しを国に強く求めていただきたいと思います。知事のご答弁を求めます。
生活保護の捕捉率は、欧米に比べて著しく低い2割程度と言われています。その理由として、多くの専門家は、「生活保護は恥だ」という意識や、生活保護に対する「バッシング」で申請をためらってしまうこと、生活保護制度に対する周知不足で「働いたらダメ」、「扶養家族がいたらダメ」、「持ち家や田畑があったらダメ」と思っている人が多数いること等があげられています。
必要な方が必要な保護を受けられるような取り組みが何より重要かと思いますが、知事のご所見を伺います。
住宅扶助については、限度内の安い物件がない場合、1.3倍などの特別基準の適用が実施要領で認められていますが、県内の多くの福祉事務所で住宅扶助の特別基準が適用されていません。また通院にかかる交通費についても支給できますが、制度について知らないため、申請されない方が多くいます。全ての福祉事務所において、実施要領どおりの支給が確保されるよう県の助言指導により是正すべきと思います。知事のご所見を伺い、質問を終わります。
【小川 洋 知事答弁】
<生活保護基準の見直しについて>
今回の改定については、国におきまして、一般低所得世帯の消費実態との均衡を図るという観点から、統計データによる客観的な検証のもとで、専門家による審議を経て行われたと認識しております。
<生活保護基準の見直しの方針について>
生活保護制度は、生活保護法において「国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障する」と明記されております。
したがって、生活保護基準の考え方については、国の責任において定められるべきものと考えております。
<生活扶助基準の見直しについて>
一昨年度に改定された住宅扶助基準は、国において複数の統計データをもとに、現に生活保護世帯が居住している住宅の家賃と近隣の一般世帯の家賃との比較を行ったうえで、地域の実態に即して改定されたものであると認識しております。
<生活保護制度の周知について>
制度の趣旨や内容を県民の皆様に正しく理解していただき、生活保護を必要とする方が必要な保護を受けられるようにすることは、極めて重要なことであると考えております。
このため、申請をためらうことなく相談していただける、県の各戸配布広報誌により、生活保護制度や生活困窮者自立支援制度の相談窓口の周知を行っております。
また、福祉事務所に相談に来られた際には、生活保護の仕組みを丁寧に説明し、制度への誤解が生じないよう努めているところでございます。
さらに、民生委員や自立相談支援機関とも連携し、地域で生活に困窮されている方の把握に努めております。
<実施要領に基づいた対応について>
県ではこれまでも、福祉事務所のケースワーカーなどを対象とした研修や監査を通じ、生活保護の適正な運用の確保を図ってきたところであります。
住宅扶助の特別基準などに関する受給者への周知徹底については、今後とも、研修や監査を通じ各事務所を指導してまいります。