● 18年09月20日 県議会報告
2018年9月20日 9月定例会・高瀬菜穂子議員一般質問・答弁「学校給食無償化について」「『枯葉剤 』埋設問題 について」(大要)
2018年9月20日 9月定例会・高瀬菜穂子議員一般質問 答弁(大要)
<学校給食無償化について>
高瀬菜穂子 議員
日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、一般質問を行います。
まず、学校給食無償化についてです。子どもの貧困が叫ばれる中、学校給食無償化の流れが加速しています。文科省は、昨年、全国1740自治体を対象に給食費補助制度についての調査を行い、その結果を今年7月27日に発表しました。小中学校で完全無償・一部無償を実施している自治体は506自治体で29%、約3割にのぼっています。本県においても、2017年度18市町村に及んでおり、また、本年6月議会でも、国の負担で学校給食の無償化を求める意見書が、直方市・鞍手町・苅田町で採択されました。
憲法26条には、「義務教育は無償とする」と定められています。学校給食は言うまでもなく教育の一環です。しかし、現在無償なのは授業料や教科書に限られており、給食が、貧困家庭の命綱という側面があるにもかかわらず無償ではありません。俳優の風間トオルさんが出版した『ビンボー魂』には、小学校時代「学校が休みになる=学校給食にありつけない」「中でも空腹との長く厳しい闘いが強いられる夏休みをどうやって凌ぐかが大問題」と書かれています。2学期明け、痩せて登校してくる児童生徒がいるとの報告もあります。
子どもの貧困が広がる中で、「払いたくても払えない」家庭の子どもに対する給食停止などの措置は、子どもの身体的精神的成長に著しい悪影響を及ぼすと考えます。学校給食は、憲法に規定される「無償化」の対象とすべきではないでしょうか。学校給食無償化についての教育長の見解をお聞かせください。国に対して、無償化を求めるとともに、市町村に広がる助成制度を後押しするための県としての助成制度の創設についても検討していただきたいと思いますが、合わせて見解を伺います。
次に、給食費の徴収について伺います。県教育委員会は現在「教職員の働き方改革」に取り組まれており、その柱として、「公会計化」の推進を位置づけています。自治体が学校給食費を歳入歳出に位置づけ、保護者からの給食費徴収も行う「公会計化」は、教員の働き方の改善に大いに資すると考えます。給食費徴収業務は、給食会計簿の管理、未納の督促など、担任にとっては、「すべて5時以降の仕事」と悲鳴があがっています。現在県内13市町村で公会計が実施されていますが、人件費の増大やシステム構築のための初期投資費用の負担等の問題で、導入がすすんでいないとも聞いております。県教委としては、公会計化に今後どのように取り組むのか、お答えください。初期投資がネックとなっている場合について、県として助成制度をつくってはどうかと考えますが、あわせて見解を伺います。
城戸秀明 教育長
学校給食費の無償化の見解について
学校給食の無償化についてでございます。学校給食費は、学校給食法において保護者が負担することとなっており、経済的理由により負担が厳しい保護者に対しては、生活保護や就学援助制度による支援がなされております。
学校給食費の無償化は、一義的には国が検討するものでございますが、実施主体である市町村が、地域の実情に応じて、無償化や保護者負担軽減策を決定することは可能であります。
このため県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会に対し、就学援助制度の周知徹底を指導するとともに、国の動向や、参考となる自治体の取組みについて情報を提供してまいります。
学校給食費の公会計化について
学校給食費の公会計化についてでございます。学校給食費を公会計化し、自治体に事務を移管することは、教職員の負担軽減等の面で有益であると考えております。
国の調査によれば、公会計化を導入していない自治体では、初期投資のほか、「業務増による自治体職員の負担」が、課題と考えられております。
県教育委員会といたしましては、県内の市町村が、これらの課題を解決できるよう、県内外の先進事例の情報を提供するなどして、学校給食費の公会計化をすすめてまいります。
<「枯葉剤」埋設問題について>
高瀬菜穂子 議員
次に、ベトナム戦争時に使用された枯葉剤と同様の成分の除草剤が県営五ケ山ダムから1キロの山に埋設されている問題について伺います。
ベトナム戦争時、敵が隠れているジャングルを枯らすために米軍が使用した「枯葉剤」が、これに含まれる猛毒ダイオキシンによって、二重体児や奇形、無脳症などの出産異常を引き起こしたことはあまりにも有名です。この枯葉剤の「245T」と呼ばれる成分は、日本国内、本県の三井化学でもつくられました。そして、製造過程でつくられる副産物、塩素酸ソーダやPCPと呼ばれる成分とともに、除草剤として日本の山林や水田に大量散布されたと、枯葉剤の研究者、北九州大学の原田和明氏が指摘しています。除草剤の毒性が叫ばれ、1971年に行われた245Tの鳥類への影響実験で、ウズラ48羽中45羽が死ぬなどの結果を受け、林野庁は、この年、245Tの使用中止に追い込まれました。その後、これを国有林などに埋め、40年以上も放置してきました。
福岡・佐賀県境近く、吉野ヶ里町坂本峠が、7月5日の豪雨による土砂崩れで通行止めとなりましたが、この坂本峠付近の国有林の一角に猛毒245T剤が埋設されている問題を西日本新聞8月23日付けが大きく報じています。「245T剤を埋没(ママ)してありますので囲い内の立ち入りや土石等の採取をしないでください」との看板が立つ緑のフェンスで囲われた区域は、数メートル先に九州自然歩道の散策路があり、1キロ下には五ケ山ダムが完成したばかりです。林野庁は、廃棄に際し、「除草剤の10倍程度に当たる量の土と混ぜ、セメントで固めてコンクリート塊にし、水源から離れた地中に1箇所300キロ以内の分量で埋めるよう」通達を出したとのことですが、ここ坂本峠には、決められた分量の3倍以上、945キログラムが大量投棄されたことを林野庁も認めています。
そこで知事に伺います。このような事実について県は認識していたと思いますが、林野庁に対して撤去の要請は行ったのですか、伺います。猛毒245T剤の撤去又は無害化処理を行わないまま、わずか1キロ下流に五ケ山ダムを建設したことについて、どのような検討がされたのですか、お答えください。
また、このたびの豪雨災害で土砂崩れが起こり、地中漏出も考えられますが、今後、どのように対応するつもりですか。周辺の土壌調査、水質検査及び、埋設物の撤去が早急に必要だと考えます。知事の見解を伺います。
小川洋 知事
埋設除草剤撤去の要請について
お答えを申し上げます。埋設除草剤撤去のこれについての要請でございます。林野庁佐賀森林管理署は、昭和46年に林野庁の通達を受けまして、佐賀県吉野ケ里町の山林に除草剤をセメントにより固化をし、モルタルやビニールで覆って埋設をしております。
県といたしましては、除草剤が五ケ山ダムや南畑ダムに近い場所に埋設をされておりますことから、毎年度、佐賀森林管理署に対しまして、埋設地の一層の適正管理を行うとともに、抜本的な解決に向け、処理方法を検討するよう要請を行っているところであります。
これに対しまして、林野庁は、埋設除草剤の撤去には飛散等の危険が伴うため、埋設箇所への立入り及び土石採取などの行為を禁止し、モニタリングを継続していくことが、最善の方策であるとそういう見解を示しております。そして佐賀森林管理署におきましては、月2回の現地点検、定期的な土壌及び水質の調査を実施してきておりまして、これまで異常は認められない旨の点検結果を定期的に受けているところでございます。
五ケ山ダム建設における、埋設除草剤の影響の検討について
五ケ山ダムへの影響でございます。県といたしましては、森林管理署が実施をしております点検や調査に加え、利水者でございます福岡市が実施をしております年1回の水質調査におきましても、いずれも異常が認められていないことから、国が適切に管理をしてこのように認識をし、五ケ山ダムの建設を進めてまいりました。
埋設除草剤への対応について
次に埋設除草剤への対応でございます。これまでに実施をされました国や市の調査におきましては、異常が認められておりません。このため県といたしましては、引き続き埋設除草剤の管理者でございます林野庁に対し、定期的に土壌及び水質調査を実施するなど、その埋設地の一層の適正管理を行うとともに、抜本的な解決に向け、処理方法を検討するよう要請を続けてまいります。
高瀬菜穂子 議員
〈再質問〉
「枯葉剤」埋設問題について再質問いたします。驚くべきご答弁だと思います。245Tは猛毒だから、水源に埋設してはならないと林野庁が通達を出しているのに、県はわずか1キロ地点に水源となる巨大ダムを作り、しかも、独自に水質検査、土壌検査もしていない。福岡市の年1回の水質調査で異常がないから、五ケ山ダムの建設を進めたとは、あまりにも無責任ではありませんか。佐賀森林管理署の月2回の点検は目視であり、定期的な土壌・水質検査は47年間にたった6回ということです。これで命の水がまもれるのでしょうか。ダム建設の中で、撤去や無害化処理を行うこともできたと思いますが、そのような検討はしなかったのですか。お答えください。
県管理のダムですから、少なくとも水質・土壌調査は県が独自に行い、その結果を公表すべきだと思いますが、この点についてはどうお考えでしょうか。撤去など抜本的な解決を国に求めるのは当然ですが、国がすぐにできないのならば、ダムを作った県が撤去・無害化処理を代わって行うべきと考えます。想定を超える災害が続いており、山崩れなどの危険もある中です。知事の前向きな答弁を期待し質問を終わります。
小川洋 知事
先ほど、ご答弁申し上げましたように、県としましては、埋設除草剤の管理につきまして林野庁が最善の方策であると見解を示していること。また一方で森林管理署、福岡市が実施した点検や調査においてもこれまで、それまでの間、異常が認められませんでした。そのことから国が適切に管理をしていると判断したところであります。除草剤の管理者である国および利水者である福岡市が今申し上げましたように、定期的に検査を行いこれまで異常が認められておりませんから、現時点では、県が調査をすることは考えておりません。またこの埋設地の適正な管理あるいは抜本的な解決に向けた処理の方法、それについては国がしっかりと行うべきものであると考えており、それらについて要請を続けていきたいとこのように考えております。
高瀬菜穂子 議員
同内容のご答弁でしたけれども、「枯葉剤」と同様のものが水源に入るということは大変な問題です。県が主体的にもっと関わるべきだということを指摘し、前向きの検討をお願いいたしまして質問を終わります。