● 18年12月11日 県議会報告
2018年12月11日 12月定例会・高瀬菜穂子議員一般質問 答弁「航空自衛隊築城基地の機能強化と日米地位協定等について」(大要)
2018年12月11日 12月定例会・高瀬菜穂子議員一般質問 答弁(大要)
<航空自衛隊築城基地の機能強化と日米地位協定等について>
高瀬菜穂子 議員
日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い一般質問を行います。
日米合同委員会は、「米軍再編ロードマップ」に沿った措置で、米軍普天間基地の機能を移転するとし、去る10月24日、日米両政府は、築城基地の300メートル滑走路延長、米軍弾薬庫、200人規模の米兵宿泊所、駐機場、燃料タンクなどの施設整備を行うと発表しました。「普天間基地の代替」としての築城基地強化について、県は、防衛省からいつ、どのような説明を受けたのか、明らかにしてください。また、県として、これをどのように受け止め、どういう対応をしているのか、お答えください。
九州防衛局からの聞き取りによると、普天間と同様の2700メートル滑走路に飛来する戦闘機は、F15,16,35、輸送機はC5、C17、KC135など普天間で運用されているものすべてであり、「など」の中にオスプレイも含まれるということでした。米軍機は墜落を含む重大事故を続発させています。普天間第2小学校では、落下物の危険から、授業中に700回以上も避難する事態が続いており、二つの避難所まで作られました。対米従属の日米地位協定を見直さず、普天間基地の代替機能を受け入れれば、築城周辺が同様の危険にさらされるだけでなく、福岡県、九州全体の空域で騒音と事故の危険が予測されます。騒音や事故の危険についての知事の認識を伺います。
小川洋 知事
築城基地の施設整備及び騒音や事故の危険について
お答えを申し上げます。まず始めに築城基地の施設整備そして騒音や事故の危険についてお尋ねがございました。まとめてお答えさせていただきたいと思います。
今回の施設整備につきましては、10月24日、九州防衛局から説明を受けました。この説明によりますと、平成18年5月に日米合意をいたしました在日米軍再編ロードマップに盛り込まれた普天間飛行場の能力を代替することに関連するものであり、築城基地を米軍が緊急時に使用するため、駐機場、燃料タンク、弾薬庫等の整備、また滑走路の延長を行うというものでございました。
築城基地の施設整備そしてその基地の運用につきましては、国家・国民の安全保障に関わる問題でありますために、国において適切に対応されるべきものだというふうに考えております。
一方で、本県も含め、基地を抱える都道府県で構成しております「渉外関係主要都道府県知事連絡会議、いわゆる渉外知事会でございますけれどもこの協議会といたしまして、住民の騒音被害や航空機事故に対する不安を踏まえ、国に対し、騒音軽減及び飛行運用の制限等に関する条項の新設など、日米地位協定の改定を求めているところでございます。
高瀬菜穂子 議員
また、米軍弾薬庫は現在の自衛隊弾薬庫とフェンスの間、より民家に近い位置に作られる計画です。普天間基地の米軍機が現在弾薬を搭載している嘉手納弾薬庫には、劣化ウラン弾があります。また、米国務省が6月に公開した外交文書で、米側が沖縄返還の最低条件として、核兵器の「緊急時の貯蔵」「通過」の権利を日本に求めていたことが明らかとなりました。その核の貯蔵施設が嘉手納と辺野古の弾薬庫だとされています。その「嘉手納弾薬庫の機能」を築城に移転するのかと、防衛局に質したところ、「具体的にどう運用するかは、これからの日米間の協議」と答え、これを否定しませんでした。核の貯蔵の可能性が否定できない米軍弾薬庫を築城に整備することについて、知事の見解を伺います。
小川洋 知事
米軍弾薬庫の整備ついて
次に米軍弾薬庫の整備についてお尋ねがございました。
築城基地の運用につきましては、先ほどご答弁、今、答弁いたしましたように施設整備を含め、国家・国民の安全保障に関わる問題であるため、国において適切に対応されるべきことであると考えております。
高瀬菜穂子 議員
あわせて、2007年2月26日に福岡防衛施設局と地元市町との間で結ばれた協定では、緊急時使用への対応について「その内容がわかり次第、速やかに地元に説明する」と規定されていますが、この説明はどのようになされているのか、また、「緊急時」とはどんな事態をさすのかも、あわせてお答えください。
小川洋 知事
緊急時使用への対応に関する説明について
次に緊急時使用への対応に関する説明についてでございます。
今回の築城基地の施設整備につきましては、ご指摘の協定に基づき、九州防衛局から地元市町と私ども福岡県のほうに説明がされたものであります。
「緊急時」につきましては、九州防衛局から、「我が国の安全並びに極東における国際の平和及び安全の維持に係る様々なケースが考えられるので、一概に申し上げることは困難であるが、あえて例えるならば、我が国が武力攻撃を受けた場合というものも該当すると考えている」とその旨の説明を受けているところであります。
高瀬菜穂子 議員
本年7月、全国知事会は日米地位協定の抜本見直しの提言を行いました。同協定は、安保条約に基づき、米軍のさまざまな特権を認めるものですが、全国知事会はこれに対し、航空法や環境法令などの国内法の適用、事件・事故の際の自治体職員の立ち入りの保障などの見直しを求めています。米軍は事故を起こしても、日本側の調査さえ認めません。先日、築城基地のF2戦闘機2機が訓練中に接触事故を起こしました。もし、これが米軍機であったなら、落下物があったとしても、調査もできないということになります。全国知事会の提言通り、抜本見直しなしに基地強化は認められないと県として防衛省に表明すべきではありませんか。知事の見解を伺います。
小川洋 知事
日米地位協定の抜本的見直しについて
次に日米地位協定の抜本的見直しについてでございます。
日米地位協定は、締結以来一度も改定されておらず、運用改善が図られておりますものの、国内法の適用や自治体の基地立入権がないなど、我が国にとって、依然として十分とは言えない現況でございます。
このことから、本県も含め、全国知事会として国に対し、本年7月、日米地位協定を抜本的に見直し、国内法の適用や自治体職員の立入の保障などを明記するよう提言をしたところであります。築城基地の施設整備につきましては、さいさんご答弁しております通り、国家・国民の安全保障に関わる問題であるために、国において適切に判断されるべきものこのように考えております。
高瀬菜穂子 議員
次に、福岡空港の米軍使用について伺います。
2017年に米軍機が日本全国の民間空港に着陸した回数は324回に上り、発着回数が全国トップとなったのが福岡空港で94回を記録します。同空港は1970年に住民のたたかいで返還が実現しましたが、空港内には、地位協定第2条1項に基づく米軍専用区域が残っており、県・市、市議会などでつくる板付基地返還促進協議会は、福岡空港の軍事利用反対などを掲げ、基地の全面返還を求めてきました。しかし、報道によると、米国防総省幹部は「朝鮮半島に近く、今後も基地能力を確保する。平時は商業空港として活用すべきだが、有事には作戦拠点として機能を強化したい」と明かし、日米共同使用区域である滑走路や駐機場なども軍事作戦に使う構想がある、としています。
米軍の福岡空港使用は、何のために行っているのですか。防衛省を通じての情報提供は行われているのですか、お答えください。本議会に、「福岡国際空港」への出資金の議案が出されていますが、県民と利用者の安全を守るためには、空港の米軍利用、軍事拠点化は断じて許されないとの立場から、全面返還を改めて強く求めるべきではないではないでしょうか、知事の見解を伺います。
小川洋 知事
米軍の福岡空港使用について
米軍の福岡空港の使用についてお尋ねがございました。
福岡空港は、日米地位協定に基づき米軍が使用しておりまして、その使用目的につきましては、今年の11月27日の参議院外交防衛委員会におきまして、河野外務大臣が答弁をされているところでございますけれども「九州地方における輸送拠点として、他の米軍基地との間の物資や人員の輸送などのために利用している」とそういうことでございます。
基地問題は、国家・国民の安全保障に関わる問題でありますため、国において適切に対応されるべきものでございますけれども、本県といたしましては、「全国知事会」や基地を抱える都道府県で構成しております、いわゆる渉外知事会において、国に対し、米軍基地の整理、縮小、返還というものを要望しております。
また、本県も参加をしております「板付基地返還促進協議会」の活動といたしまして、国に対し、福岡空港内の米軍施設の早期全面返還に努めるよう要望をしております。
高瀬菜穂子 議員
最後に、築城基地が普天間・岩国の代替基地となり、福岡空港の米軍利用が増え、オスプレイの佐賀空港配備がすすめられる中、基地問題について、専門に情報を集め、県民に対し発信し、対応する部署がいよいよ必要になっていると考えます。かねてから要求していましたように、基地対策の部署を県庁内につくることを改めて求めたいと思います。知事の見解をお聞きし、質問を終わります。
小川洋 知事
基地対策の部署設置について
次に基地対策の部署の設置についてでございます。
基地対策につきましては、現在、総務部の防災危機管理局が対応させていただいておりますが、対応しておりまして、独立した担当部署を設けるということよりも、今の体制できちんと対応させていただきたいとこのように考えております。
高瀬菜穂子 議員
〈再質問〉
知事に、再質問をいたします。「国において適切に対応されるべきもの」というお答えが4回も繰り返されました。それほど国任せでよいのか、ということをまず申し上げたい。協定により、「緊急時の対応」に関する説明がなされているとのことですが、お答えだと、今回の築城基地の機能強化については発表のその日に、しかも電話とメールで報道と同じ中身が説明されただけというではありませんか。福岡空港の米軍使用は何のためか、参議院での外務大臣の答弁を引用されましたが、防衛省を通じての直接の説明はなかった、また、こちらから聞いてもいないということではないのですか。このような対応で、県民の安全は守れないということを強く申し上げておきます。
大分県知事は、オスプレイを使った日米共同訓練に先立って、県民の安全の観点から「納得できない」と防衛大臣に対し中止の申し入れを行っています。また、広島県知事は米軍FA-18戦闘機の墜落事故のあと、事故原因が明らかになるまでは同型機の飛行を中止するよう政府に要請するとともに、米軍に対しても直接要請書を提出しています。
これに対し、小川知事の対応はあまりにも情けないといわなければなりません。沖縄県をはじめ、基地を持つ自治体では、基地の情報、訓練内容、政府への申し入れ、地位協定の説明など、様々な情報発信をホームページなどを通じて行っています。本県のホームページでは、基地や訓練に関する情報はほとんど見出せません。知事、基地問題を所管する部署はどうしても必要ではありませんか。この点について、もう一度お尋ねいたします。
小川洋 知事
先ほどもお答えを申し上げましたけれども、基地対策につきましては、現在、総務部の防災危機管理局において九州防衛局からの情報収集をはじめ、必要な対応をやらせていただいておると、このように考えております。現時点ではご指摘のような、独立の担当部署を設けるという考えを持っておりません。
高瀬菜穂子 議員
知事、それでは対応できないということを申し上げたいと思います。現在の日本は、「憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会がある」とも言われています。安保法制制定後、緊急時すなわち有事を想定し、日米共同訓練は規模と激しさを増しています。福岡県は出撃拠点にされようとしています。これに機敏に対応する部署は最低限必要です。渉外知事会の知事として国まかせにせず、毅然として対応していただくよう強く申し上げ、質問を終わります。