● 19年02月21日 県議会報告
2019年2月21日 2月定例会・高瀬菜穂子議員反対討論「議員提出第4号議案 『福岡県における性暴力を根絶し、性被害から県民等を守るための条例の制定について』の反対討論」(大要)
2019年2月21日 2月定例会・高瀬菜穂子議員反対討論(大要)
<議員提出第4号議案 「福岡県における性暴力を根絶し、
性被害から県民等を守るための条例の制定について」の反対討論>
高瀬菜穂子 議員
日本共産党の高瀬菜穂子です。議員提出第4号議案「福岡県における性暴力を根絶し、性被害から県民等を守るための条例の制定について」に対する反対討論をいたします。
本条例案は、性犯罪をはじめとする性暴力を根絶し、性被害から県民を守るとともに、性暴力の被害者を支援するために制定しようとするもので、その目的、方向性については、わが会派も賛成であり、かつ必要であると考えます。しかしながら、県弁護士会が「反対」をし、またパブリックコメントでも意見がだされているように、重大な問題点を含んでおり、また、パブコメを経て、LGBT当事者の問題や民間団体との連携などが加えられたほか多岐にわたる文言の修正が行われたにもかかわらず、関係団体や県民に対する周知・協議が不十分といわざるをえず、今議会で議決することは拙速すぎると考えます。条例案の実効性を高める意味でも、十分な議論を経た上での慎重な検討が求められます。
とりわけ、本条例案で問題なのは第17条です。第17条は、性犯罪を犯して刑期を満了した者に対し、再犯防止及び社会復帰の支援を目的として、その者の氏名、住所、性別、生年月日、連絡先、罪名、刑期満了日の提出義務、届出義務を課しており、第18条では、該当するものが申し出たときに、知事が再犯を防止するための専門的な指導プログラムまたは治療を受けることを支援すると規定しています。この点について、県弁護士会は、「個人の特定をともなう前科情報は、高度にプライバシー性の高い情報であり、前科となる判決を受けた者が社会復帰に務め新たな生活環境を形成していた場合に前科情報を公表されない権利は、憲法13条によって保障されることは最高裁判決によっても認められている」と指摘し、「真に加害者の更生への支援を考えるのであれば、前科の届出義務はかえって更生を妨げるものである」「加害者が抵抗なく自ら進んで社会復帰への支援を求めることができるような制度を調査研究して規定すべき」と主張されています。この指摘は重く受け止めるべきではないでしょうか。また、第18条の指導プログラムは、該当する者が申し出たときに県が提供するとなっており、そうであれば、前科の届出義務の必要はないと考えます。
以上、本条例案には、慎重に検討すべき事項が多く含まれることから、本議会における拙速な議決を行うべきではないという立場からということを強調しまして、反対討論とします。