● 19年06月27日 県議会報告

2019年6月27日 6月定例会 立川由美・一般質問「外国人労働者問題について」「原発問題・エネルギー政策について」(大要)



2019年6月27日   6月定例会・立川由美議員一般質問 答弁(大要)

 

 

<外国人労働者問題について>

 

立川由美 議員

 

こんにちは、日本共産党の立川由美です。通告に従い初の一般質問を行います。よろしくお願いいたします。

まず始めに、外国人労働者の問題について質問します。外国人労働者数は無届けや非正規滞在者を除き、昨年末時点で146万463人、毎年20万人のペースで増加し過去最高を更新し続けています。アジアの玄関口である本県は、その傾向が一層顕著ではないでしょうか。

そこでお尋ねします。本県の外国人労働者の働き方についてですが、外国人労働者数、国籍別、産業別の割合、外国人労働者に関する労働災害発生件数、労働基準等法令違反の件数、失踪者の数についてお答えください。

 

 

神代暁宏 福祉労働部長

 

本県における外国人労働者の状況について

 

 本県における外国人労働者の状況についてです。福岡労働局が発表した平成30年10月末現在の外国人雇用の届出状況によると、本県の外国人労働者数は46,273人となっております。

 国籍別では、主なものとして、

 ①「ベトナム」が13,894人で全体の30.0%、

 ②「中国」が11,598人で25.1%、

 ③「ネパール」が7,286人で15.7% となっております。

 産業別では、主なものとして、

 ①「製造業」が9,779人で全体の21.1%、

 ②「卸売業、小売業」が8,944人で19.3%、

 ③「宿泊業、飲食サービス業」が5,266人で11.4% となっております。

本県の外国人労働者全体に係る労働災害発生件数及び労働基準関係法令等違反件数は公表されておりませんが、福岡労働局から、技能実習生に係る実習実施者に対する平成29年の監督指導結果が公表されております。

 それによると、平成29年、福岡県内において技能実習生に係る休業4日以上の労働災害は15件発生しており、また、監督指導を実施した228事業場のうち、63.2%にあたる144事業場で労働基準関係法令違反が認められております。

 また、本県の外国人労働者に係る失踪者について公表された数字はありませんが、法務省が設置した「技能実習制度の運用に関するプロジェクトチーム」が平成31年3月に公表した報告書によると、30年中に失踪した技能実習生は全国で9,052人で、在留中の技能実習生全体の約2.1%となっております。

 

 

立川由美 議員

 

特に問題なのは、とりわけ多い技能実習生です。法務省によると、2013年からの5年間で延べ2万6千人の実習生が失踪しています。その背景には、最低賃金以下での長時間労働やピンハネ、暴行やセクハラなどの人権侵害、強制貯金や、旅券・在留カードの取り上げなど過酷な状況が明らかになっています。失踪と言いますが、自らの命を守るための緊急避難とも言えます。

本県は外国人向けの新たな相談センターを構築しようとしています。言葉の壁もあり、深刻な法令違反や人権侵害を改善し保護するための専門機関の協力も必要だと思いますが、相談センターの概要についてご説明ください。

愛知県で長年外国人労働者の相談に関わっている労働組合の方から、複数で対話できるSNSのグループ電話機能を使って、相談者、通訳、相談員が同時に話せる体制が大変有効だとの話も聞きました。ぜひ、取り入れてみてはいかがでしょうか。

  技能実習制度は特定の職種や受け入れ企業での就労が前提で、自発的に退職し職場移転する自由がなく、そのため実習生は、労働関係法令違反や人権侵害の被害にあっても、在留資格を失い帰国させられることを恐れ、行政や外部への相談をためらう傾向にあります。このことを想定した上で実習生が安心して相談できるよう周知の工夫も必要だと思いますが、お答えください。

 

 

小川洋 知事

 

外国人向けの新たな相談センターについて

 

 お答えを申し上げます。私の方からまず答弁をさしていただきます。

まず外国人向けの新たな相談センターでございますけれども、今年4月に新たな在留資格制度が施行され、外国人の受け入れが拡大されたことによりまして、今後、在住外国人の方から、最も身近な行政機関であります市町村に対し、様々な相談が寄せられていくことが想定されるところであります。

 このため、県におきましては、新たに「福岡県外国人相談センター」を設置をいたしまして、在住外国人の方からの来所あるいは電話、メールでの相談に対応するほか、市町村の窓口におきまして、言葉の心配をすることなく相談ができるよう支援を行うことといたしております。

 具体的には、窓口において在住外国人の方からの相談を受けた市町村職員が、センターに電話連絡をいたしますと、センターの相談員とそこにいます通訳者が電話を通じて市町村職員とともにその来所された外人、在住外国人の方の相談に対応さしていただきます。

 労働関係法令違反や人権問題等専門的な相談につきましては、このセンターが、労働基準監督署や法務局等相談内容に応じた適切な専門機関におつなぎし、その際、多言語対応が必要な場合には、引き続き、今申し上げましたセンターが電話による通訳支援を行うことといたしております。

 

 

技能実習生に係る労働関係法令違反や人権侵害に対する県の相談体制について

 

 次に技能実習生に係る労働関係法令違反や人権侵害に対する県の相談対応でございます。

県におきましては、技能実習生の受入企業や監理団体に対する指導・監督の権限、これを有していないわけでございますけれども、県内4か所の労働者支援事務所におきまして、技能実習生を含む外国人労働者の方からの賃金や解雇等の一般的な労働問題に関する相談に対応させていただいております。相談は匿名でも受け付けておりまして、秘密厳守で対応しておりますので、安心してご相談がいただけることになっております。

 なお、労働関係法令違反や人権侵害といった問題につきましては、国の認可法人であります外国人技能実習機構におきまして、仕事の内容・賃金等の実習の条件、いじめ・暴力等の被害について、電話、メール等によりまして、技能実習生の母国語における相談、これを実施しているところであります。

 県といたしましては、この労働支援事務所における相談支援につきまして、今後設置をいたします「福岡県外国人相談センター」また国の関係機関等を通じまして、技能実習生を含む外国人労働者の方々にその周知を図ってまいります。

 

 

立川由美 議員

 

 さらに、労災の発生や病気、支援者・労働組合・弁護士等への相談、有給休暇の申請などをおこなった実習生を形の上では自由意志を装いながら、強制的に帰国させる悪質な例も報告されています。

このような事態を防ぐためには、企業に守るべき法令を理解させる必要があると思いますが、県としてはどのような対応をされていますか。答弁を求めます。

 

 

小川洋 知事

 

技能実習生を受け入れる企業への啓発について

 

 技能実習生を受け入れる企業の啓発でございます。技能実習生がその制度の範囲内で、その能力を十分に発揮し適正に働いていただくためには、企業が守るべき法制度等をしっかり理解した上でそういった方々を受け入れていくことが必要であります。

 このため、県におきましては、技能実習生を含め、外国人を雇おうとする企業に対し、守るべき法令や雇用管理についての講習会を行うとともに、相談窓口を設置をし、企業からの個別の相談に対応するとともに法令遵守の啓発を行ってまいります。

 

 

立川由美 議員

 

技能実習制度は、「技術移転による国際貢献」が目的ですが、実際の就労現場では、技能や知識の習得ではなく、低賃金の非熟練労働者としての受け入れが大部分であり、制度目的と実態に極めて大きな乖離があります。

本年施行された改定入管法でも、技能実習生の処遇を改善する規定はなく、新たな在留資格である特定技能制度は、技能実習からの移行が前提であり、技能実習制度の問題点を固定化し、矛盾を拡大しかねません。外国人労働者を「安価な労働力」「雇用の調整弁」とするのではなく、我が国経済の一翼を担う労働者として共生の立場から、国に対して制度の改善を求めると共に、本県において実効性のある相談体制を構築していただくよう、強く要望いたします。

 

 

 

<原発問題・エネルギー政策について>

 

立川由美 議員

 

 次に原発及び再生可能エネルギー政策について質問いたします。

 福島第一原発事故後に制定された原子力新規制基準では、本体工事認可後の5年以内に特定重大事故等対処施設の設置が義務付けられております。九州電力川内原発1、2号機の設置期限は9ヶ月後に迫っています。

 規制委員会は特重施設の設置が期限内に完成しなければ、原発は停止するよう九電側に通告し、川内原発1、2号機は来年の3月と5月にそれぞれ停止する見通しだと発表されました。

 特重施設とは、自然災害やテロ攻撃等を受けた際、中央制御室とは別の場所から原子炉を制御して事故を防止するための施設です。

 本体工事認可日から5年間は特重施設の規定を適用しないという経過措置が設けられたこと自体、重大な問題だと私は考えています。ところが九電は、この猶予期間さえ守れないと表明し、規制委員会に対しても期限の延長を求めました。これに対して、規制委員会も「差し迫った状況で当局に訴えれば、なんとかなると思ったら大間違いだ」と4月24日の記者会見で九電の姿勢を批判しました。

 このような原発ありき、安全無視の九電の姿勢について、知事はどうお考えですか。お尋ねいたします。

 

 

小川洋 知事

 

原子力発電所の安全確保に対する九州電力の姿勢について

 

 次に原子力発電所の安全確保に対する九電の姿勢についてお尋ねがございました。私は、かねてからでございますけれども、原子力発電については、安全性の確保、これが大前提であると申し上げてまいりました。

 九州電力におかれては、国および原子力規制委員会の厳正な規制と指導のもと、特定重大事故等対処施設の整備も含めまして、安全第一に対応されているものと考えております。

 

 

立川由美 議員

 

 原発稼働を続ける一方で、昨年の10月から今年の5月までの8ヶ月間、約2.6万カ所の太陽光発電所で合計56回の出力制御が行われました。1発電所あたり14〜15回の出力抑制になります。安定した電力を供給するという理由で九電は原発を動かし続け、太陽光発電を出力抑制しているわけですが、このようなことを行っているのは九電だけです。九州の太陽光発電は、1ヶ月約6万kwのペースで増えています。自然エネルギーの宝庫と言われる九州の条件を生かし、太陽光発電の抑制をやめるべきだと考えます。

 再生可能エネルギー推進をうたう本県として、九電に対し、原発より、再生可能エネルギーを優先するよう、要請するべきではないでしょうか。知事のご所見をお伺いします。

 

 

小川洋 知事

 

出力制御の優先順位について

 

 次に出力制御の優先順位についてでございます。再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内生産が可能で、国際情勢に左右されにくいといった利点がありますことから、福岡県におきましては、再生可能エネルギーの普及促進に積極的に取り組んできているところであります。

 その一方で、再生可能エネルギーは、ご承知の通り天候に左右されやすいといった出力の不安定性、変動する出力を調整するための調整電源の確保の問題、さらには送電網の増強といった課題がございます。

 このため、国におきましては、電力の安定供給に向けて、出力制御に係る優先給電ルールというものを定めておりまして、九州電力は、そのルールに基づき、出力制御を実施しているものと考えております。

 原子力は、発電方式のその性質上、発電量を短時間で調整することが難しく、出力の調整が比較的容易な火力のように、再生可能エネルギーの調整電源として位置付けることは、現時点では難しい状況にあると思います。

 このため、国が定めた優先給電ルールに基づき、それぞれのエネルギー性格上、原子に先行して太陽光や風力の出力制御を実施することは、やむを得ないことだというふうに考えております。

 

 

立川由美 議員

 

世界の流れは原発ではなく、再生可能エネルギーです。

 6月7日に発表された「九電グループ経営ビジョン2030」によると「安全を大前提として原子力を最大限活用する」とのことですが、まさに世界の流れと逆行しています。

 安全対策費などの高騰で、世界では原発の見直しがすすんでおり、政府が目玉政策で打ち出した原発輸出は全て失敗し、産業政策として破綻に陥っています。

 資源エネルギー庁が3月に提出した資料には、「世界では−−太陽光発電・陸上風力発電ともに、1kw時あたり10円未満での事業実施が可能になっている」と明記されています。政府の安い見積もりの原発の発電コスト1kw時あたり10.1円を下回るまでになりました。「原発低コスト」という主張は、もはや成り立たないのではないでしょうか。

 安全性やコスト面からも再生可能エネルギーへの政策的転換を、国や九電に対して求めていくべきです。知事の御所見を伺い、私の質問を終わります。

 

 

小川洋 知事

 

エネルギー政策の転機に向けた国及び九州電力への働きかけについて

 

 次にエネルギー政策転機に向けた国、電力への働きかけでございます。兼ねてから申し上げておりますけれども私自身としましては、徹底した省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入等を進めつつ、原子力への依存度を可能な限り低減をさしていくべきだと考えておるところでありますが、現在のエネルギー需給の状況のもとでは安全性の確保を大前提に当面原子力と向き合っていかなければならないとこのように考えているところであります。

国は、昨年の7月策定をいたしました、第5次エネルギー基本計画におきまして、2030年のエネルギーミックスの実現に向け、再生可能エネルギーの最大限の導入、原発依存度の可能な限りの低減、低減などによりまして、再生可能エネルギーの主力電源化、これに向けた取り組みを積極的に推進することといたしております。

 また、九州電力におかれても、「九電グループ経営ビジョン2030」におきまして、再生可能エネルギー開発量を、2018年の200万KWから、2030年には500万KWに拡大することを目指す、このようにされております。

 県といたしましては、再生可能エネルギーの更なる普及に向けた、この二つの計画、それぞれの計画が着実にすすんでいくことが重要であると考えております。その観点からも県としても、ひとつ例をあげますと、再生可能エネルギーからの電気を水素で貯蔵する実証研究なども行っているところでございます。なお残余につきましては福祉労働部長の方から答弁をさせていただきます。

 

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