● 19年06月27日 県議会報告
2019年6月27日 6月定例会 高瀬菜穂子・一般質問「福岡空港滑走路増設に伴う米軍施設移転について」「下関北九州道路について」「九州北部豪雨災害の被災者支援につて」(大要)
2019年6月27日 6月定例会・高瀬菜穂子議員一般質問 答弁(大要)
<福岡空港滑走路増設に伴う米軍施設移転について>
高瀬菜穂子 議員
日本共産党の高瀬菜穂子です。
はじめに、福岡空港滑走路増設にともなう米軍基地移転について伺います。毎日新聞が、福岡空港の滑走路増設に伴う米軍施設の移転費用の一部を県と福岡市が負担すると報道しています。米軍施設移転費の総額とこれまでに使われた事業費及び県の負担分を明らかにしてください。
知事はこれまで、「板付基地返還促進協議会」のメンバーとして、福岡空港内の米軍施設の早期全面返還を国に求めてこられたと承知しています。米軍施設の固定化につながる移転費用の負担は、返還要求と矛盾するのではありませんか。この際、返還を強く求めるべきだと考えます。米軍施設移転の費用負担について知事の見解を伺います。
小川洋 知事
福岡空港の米軍施設移転費の負担について
お答えを申し上げます。まず始めに福岡空港の米軍施設移転費についてでございます。福岡空港の米軍施設につきましては、本県も参加をしております「板付基地返還促進協議会」その活動といたしまして、国に対し、その返還を、返還に努めるよう要望してきているところでございます。しかしながら現時点においてはその返還は実現していない。そういう状況にございます。
一方で、福岡空港は、平成28年3月から国の混雑空港に指定されるなど、その容量拡大が喫緊の課題でございまして国による滑走路増設事業が実施をされているところであります。この事業に要する経費は、空港法第6条及び第7条の規定に基づき、その3分の1を県と福岡市で負担することになってございます。
この滑走路増設事業を進めていく上で、米軍施設は支障物件となりますことから、その移転経費については、事業主体であります国土交通省が、増設に必要な経費としてその事業費に計上しているところでございます。その一部を県が負担することは、今申し上げました空港法上、必要なことであります。
平成28年度から令和2年度までを予定しております米軍施設移転費の総額は約30億円と伺っておりまして、昨年度までに執行済額は4億8千7百万円、それに対応する県の負担額は9千7百万円となっているところでございます。
<下関北九州道路について>
高瀬菜穂子 議員
次に、下関北九州道路についてです。
先の統一地方選挙の最中、塚田一郎前国土交通副大臣が、下関北九州道路の予算化について、安倍首相・麻生副総理の意向を「わたしが忖度した」、道路事業の調査を「国直轄に引き上げた」と発言しました。「予算の私物化、あからさまな利益誘導ではないか」との批判がわき起こったのは当然です。塚田氏は、発言を「事実と異なる」と撤回しましたが、丸ごと否定するにはあまりにもリアルな発言です。
2008年3月に、当時の冬柴国土交通大臣は、「今後調査は行わない。格上げするときは国会に諮る。」と答弁しました。一度は中止となったこのプロジェクトが安倍政権発足後から復活させる動きが始まり、2016年には、安倍総理も名を連ねる「関門会」から要望書が出されるなど、安倍総理をめぐる動きの中で、昨年の国土交通省の当初予算にはなかった調査費が突然つけられました。まさに「忖度道路」ということになるのではないでしょうか。忖度による予算の私物化は許されないと思いますが、この点について、経過も含め、知事のご所見を伺います。
小川洋 知事
下関北九州道路における忖度について
いわゆる下関北九州道路における忖度でございます。この道路に関する前国土交通副大臣での副大臣のご発言は、ご本人がすでに撤回をされておりまして、今さら私から申し上げることはございません。
今年度から、国による直轄調査が行われることとなりましたのは、福岡県、山口県、北九州市、下関市それぞれの地元自治体、そして党派を超えて応援をいただいております「北九州下関道路福岡県議会議員連盟」など各議会の議員連盟、そして九州経済連合会など経済界が一体となりまして、その必要性と緊急性について長年に渡って、国に精力的に訴えをしてきた結果であるこのように認識をしているところであります。
高瀬菜穂子 議員
下関北九州道路調査検討会は、この3月、概略ルート、構造形式、整備手法について取りまとめを行いました。これに先立ち、昨年11月に市民アンケートを実施しています。しかし、下北道路建設の賛否をきいた設問はなく、事業推進が前提のアンケートです。費用や採算性についての説明はまったくありません。橋梁による日明彦島ルートという結論ありきの「誘導アンケート」だと言わざるをえません。
それでも、アンケートの自由記入欄には、率直な意見も書き込まれています。「不必要」「今のままで十分」との意見に加え「わからない」との記入が多数ありました。「日明・彦島間のフェリーの復活」や「関門トンネルにETC設置で渋滞緩和」を求める声は何人からありました。
また、「別のルートを確保することが前提の質問はおかしい。」「建設費用はどれほどかかるのか。だれが負担するのか。」「橋やトンネルも将来の維持管理費が膨大。あれば便利だがなくても困らない」など、道路の必要性、採算性、アンケートのあり方そのものについての当然の疑問の声も上がっています。
限られた一方的な情報の中で、ルートや構造形式を選ばせるアンケート結果は市民の声を反映したものとは到底いえません。自由記入欄に示された疑問の声にこそ真摯に向き合うべきだと考えます。知事のご所見を伺います。
下関北九州道路は、これまでも指摘してきましたように必要性も採算性もありません。建設中止を改めて強く求めます。知事の見解を伺います。
小川洋 知事
下関北九州道路調査検討会によるアンケートへの意見への対応について
下関北九州道路調査検討会におけるアンケートついてお尋ねがございました。このアンケートは、地域における道路の課題やこの道路の役割などを聞くため、ご意見を頂くために、昨年の11月、北九州市、下関市の住民を対象といたしまして、無作為抽出による4,000世帯、6,812人に対して行われたものでございます。2,108人からご回答を得たところでございます。
このアンケート調査によりますと、地域における道路の課題として両市を自動車で行き来する方の8割が「交通混雑」これを回答され、その道路の役割として約6割の人が「災害時の既存道路の代替機能の確保が必要である」とこの旨の回答をしていただいております。自由意見欄におきまして、ごく少数ではございますが、ご指摘いただきましたような「不必要」「今のままで充分」といったご意見もありましたけれども、大部分の方からは前向きなご意見を頂いたとこのように認識をいたしております。
下関北九州道路調査検討会におきましては、このアンケート調査の結果も踏まえまして、ルートや構造などについて、地域としてのとりまとめを行ったところでございます。
下関北九州道路の整備の必要性について
次に、いわゆる下関北九州道路の整備の必要性でございます。これまで県議会でご答弁をしてまいりましたように、この道路は、既存道路ネットワークの課題の解消、関門トンネル・関門橋の代替機能の確保、さらには、循環型ネットワーク形成による関門地域の一体的発展のために、本州と九州とを結ぶ必要不可欠な道路であると考えております。
<九州北部豪雨災害の被災者支援について>
高瀬菜穂子 議員
次に、九州北部豪雨災害の被災者支援、仮設入居延長問題について伺います。
この問題については今議会でも質問が相次ぎました。切実な被災地からの訴えも斥ける知事の繰り返しの答弁は、被災者に寄り添うとは言いがたいものです。特定非常災害に認定されれば延長が認められ、そうでなければ延長は認めないという国の方針自体が実態に合いません。日本共産党はこれまでも、災害の規模によって制度に格差をつけることは改めるべきだと機会あるごとに主張してまいりました。家を失い、家族を失った悲しみは同じです。九州北部豪雨災害は、死者行方不明者41名という未曾有の災害であるのに、特定非常災害に認定されず、大規模災害とはみなされなかったため、グループ補助金制度も、被災農業者向けの経営体育成事業もうけられませんでした。半壊家屋の公費解体も、国費による国保法44条適用、一部負担金減免もなかったのです。知事、被災者に対する施策の公平性・バランスを言うのならば、あなたが、国に対して「被災者への支援を公平にせよ」というべきではありませんか。工事が完了していない現時点で、家を建てられるかどうかの判断ができない、河川の改修が終われば家をリフォームして帰りたいが今は怖くて帰れないといっている被災者を追い出すようなことはやめてください。真夏に仮設からの転居を強要することは人道的にも問題です。
国に対し、仮設住宅の入居期限を一律に2年とするのでなく、災害救助法を見直し、状況に応じて延長できるよう求めるべきだと考えますが、知事の見解を伺います。国が延長しないのであれば、県独自の延長措置が必要です。毎日新聞の調査によると、昨年12月時点で40都道府県に計2万2549戸の仮設住宅があり、うち7割にあたる1万5662戸が入居期限2年を越えて使用されているとのことです。西方沖地震の際には、本県も1年延長を独自に行いました。再建のめどが立たないという点では西方沖地震と同様です。今回も柔軟な対応を決断すべきです。仮設退去についての住民説明が十分でなかったことも考慮し、県独自の仮設入居延長を行うべきです。知事の見解を伺います。
小川洋 知事
国に対する災害救助法見直しの要望について
次に災害のご質問がございました。国に対する災害救助法見直しについてでございます。
応急仮設住宅の供与は、災害救助法で定められた救助の内容であるにも関わりもせず、その内容は、そしてその延長は、同法に定めがなく、特定非常災害特別措置法の指定を受けなければならないことになっております。
被災者の立場に立って現行制度を見直すためには、被災した場合に災害の規模の大小に関わりなく同じ扱いがなされるよう、災害救助法の弾力的な運用を行うことが必要であるとこのように考えております。
このため、県といたしましては、全国知事会におきまして、被災者の迅速かつ効果的な救助を行うため、仮設住宅の供与期間、災害ボランティアの食費などの資金使途の制約の撤廃等につきまして、自治体の自主的・弾力的な運用が可能となるよう、災害救助法の見直しについて要望行っているところでございます。
県独自の仮設住宅の入居期限に延長について
次に県独自の対応でございます。県では、被災者の方の1日も早い住宅再建が進むよう、朝倉市と協力をしながら、被災者生活再建支援金に加え、再建時の借入金の利子補給、入居に際しての初期費用、引越費用の助成、義援金の追加配分など支援策を講じてまいりました。
5月22日現在、再建方針は決まっているけれども、具体的な転居先を今お探しておられる、そういった方なども含めまして、再建の目処が立っていない方が84世帯おられますが、これらの支援策の活用によりまして、これまで最大1,069世帯ございました支援対象のうち、985の世帯、92%の世帯の方は住宅の再建が進んでる状況にございます。
いまだ再建の目処が立っていらっしゃらない方々に対しましては、被災者お一人お一人の状況に応じた住宅再建ができるよう、朝倉市と一緒になって、今の支援策を最大限活用していただきながら、再建の道筋がつくよう今、一生懸命やっているところでございます。
一方で、行政といたしましては、今までに再建された方々との公平性というのも考慮しなければなりません。今後の対応につきましては、こうしたことも踏まえ、朝倉市とも協議をしながら、総合的に判断をさせていただきます。
【再質問】
高瀬菜穂子 議員
仮設延長問題で再質問いたします。知事は、ご答弁で「災害規模の大小に関わりなく同じ扱いがなされるよう、災害救助法の弾力的運用が必要」とお答えになりました。それならば、どうして、国に真剣な交渉をされないのですか。一昨年の災害は、局地を襲った大規模災害です。それなのに、国の制度はそれに見合ったものではありませんでした。被害者の窮状や制度の矛盾を国に訴え、かえさせるのが知事の役割ではありませんか。先の代表質問に対する「私自身、国に要望したことはない」との答弁は驚きです。あまりに腰が引けているではありませんか。
これまで、被災者への支援は、被災地の声や努力から拡充されてきました。鳥取地震の際、片山知事の英断で100万円が支給され、その後の支援制度に影響を与えました。知事の本気度が問われています。最も苦労をしてきた、そして、先が見えない被災者を「公平性やバランス」の名で切り捨てないでいただきたい。下関北九州道路より、被災者支援を優先すべきです。国との真剣な交渉と、県独自の措置について再度、知事の答弁を求めます。
小川洋 知事
お答えを申し上げたいと思います。現行法制では、この期限の延長というのは非常に難しいわけでございますが、先ほど申し上げましたように、災害救助法の弾力的な運用、これが必要であるというふうに考えておりまして、すでに知事会を通じて国の方に働きかけ、要請をしているところでございます。引き続き要請を続けていきたいとこのように思っております。
それから仮設住宅についての県独自の対策でございますけれども、今申し上げましたとおり、被災者の方、お一人お一人の状況に応じた住宅再建というのができるよう、朝倉市と今一緒になって現在の支援策を最大限活用していただきながら、それぞれの再建の道筋がつくよう今、賢明にやらせていただいているところであります。
一方で、行政としてはこれも繰り返しでございますが、これまで再建された大勢の方との公正性も考えなければならない、そのことを申し上げているわけでございまして、今後に対応につきましては、こうしたことも含めて、踏まえ、こうしたことを踏まえて朝倉市とも協議をしながら総合的に判断をさせていただきます。