● 19年09月25日 県議会報告
2019年9月25日 9月定例会 立川由美 一般質問「 県営住宅問題について 」「 子ども医療費助成制度の拡充について 」(大要)
2019年9月25日 9月定例会・立川由美議員一般質問 答弁(大要)
<県営住宅問題について>
立川由美 議員
日本共産党の立川由美です。通告に従い、一般質問を行います。
現在、福岡県には2万9085戸の県営住宅があり、入居率は90%を超えています。住宅応募倍率は各地区で差はありますが、前年度の応募状況をみると福岡都市圏では10倍〜20倍を超える倍率となっています。全県の平均倍率は3倍です。安心できる住まいとして、県営住宅を望む県民的要求は、依然として高い状況にあることがわかります。
福岡県内の公営住宅はこの10年間に2362戸と大幅に減少しています。
本県の県営住宅が、県民の住宅セーフティーネットとしての役割を果たすために、増設が必要なのではないでしょうか。知事にお伺いします。
小川洋 知事
県営住宅の増設の必要性について
お答えを申し上げます。まずはじめに県営住宅の増設の必要性でございます。県内の公営住宅につきましては、将来的な世帯数の推移、民間の家賃相場等を勘案をして必要となる供給目標量というものを、平成28年度策定いたしました「福岡県住生活基本計画」に定めているところであります。
目標量のこの決定に当たりましては、国と協議を行いまして、空き家募集による戸数4万戸と、建替え事業により居住環境の改善を図る戸数1万戸、これらを10年間で供給することといたしておりまして、県営住宅の増設は想定をしておりません。
今後、人口や世帯数の減少が見込まれることから、基本的に県営住宅を増設する必要はないとそう考えております。
立川由美 議員
民法の一部改正を受けて2018年3月に国交省は『モデル条例』の通知を出しました。
国からの重要な改正点は、「入居手続での保証人の義務づけを行わない」としたことです。
私は、県営住宅に入居をしている高齢者の方から「県営住宅の建て替えで新しい住宅に入るとき、連帯保証人を立てるよう、県から言われたが、親はもちろん兄弟も高齢で保証人になってくれる人がいない、どうすればいいのか」と相談を受けました。北九州市では市営住宅の入居に際し、「保証人」の条件を削除すると伺っています。
本県でも、「保証人」要件を廃止するべきではありませんか。知事の見解を伺います。
小川洋 知事
保証人要件の削除について
次に保証人要件の廃止でございます。県営住宅におきましては、入居者に対する責務の保証や安否確認などのために、入居時に連帯保証人の確保を求めております。
一方、国におきましては、身寄りのない単身高齢者など連帯保証人の確保が困難な世帯が増加をしておりますこと、民法改正により、賃貸住宅の連帯保証人についても保証の上限であります極度額、これを明示することになりましたこと。
そういったことから、今後、その確保がより一層困難となるといたしまして、公営住宅管理
標準条例案というものを改正し、保証人に関する規定を削除いたしております。
県営住宅の連帯保証人要件を今後も維持をするのか又、これを廃止するのか、それぞれのメリット・デメリットございますのでそれらを検証する必要がございます。現在、慎重にその検討を進めているところでございます。
立川由美 議員
また、今回の国の通知では、「民生部局とも連携し、収入等の状況や事情を十分に把握した上で家賃減免等の適切な対応を行うことが必要である」ということが新たに示されました。
2014年に千葉県銚子市の県営住宅で、家賃滞納をした母子家庭の母親が、明け渡しの強制執行日に無理心中を図り、我が子に手をかけた痛ましい事件がありました。これを受けての措置ではないでしょうか。家賃減免を適用し、民生部局と十分連携していれば、このような事態を、防ぐことができたと考えます。本県でも同じような状況で苦しんでいる入居者がいるのではないでしょうか。
県は、家賃減免などの周知の徹底とともに民生部局など他の部局とも連携し、生活困窮者に適切な助言などを行うことが必要だと考えますが、県の取り組みをお伺いします。
小川洋 知事
生活に困窮者に対する取組みについて
次に生活に困窮者に対する取組みでございます。家賃の減免制度につきましては、入居時に配布をしております「住まいのしおり」や年1回全ての入居者の方に配布いたしております「県営住宅だより」これらによりまして、その周知を行っているところであります。
また、県営住宅の管理を行っております福岡県住宅供給公社のそれぞれの窓口におきまして、減免に関する相談も受け付けております。
家賃を滞納している生活困窮者に対しましては、県や各市が設置をしております自立相談支援機関や福祉事務所を紹介した上で、これらの機関と協議をし、滞納者の支払能力を踏まえた分割納付を認めるなど、個別の事情に配慮した取組みというものを行ってるところであります。
立川由美 議員
また、老朽化の著しい住宅については、建て替えが順次行われています。建て替えを行わない住宅について国は、公営住宅等長寿命化策定指針を示していますが、国の交付金、補助金を活用して、県営住宅の古いものについては、耐震改修や外壁の断熱改修、屋内のバリアフリー対策等の長寿命化対策を、計画的に行うべきではないでしょうか。お伺いします。
小川洋 知事
県営住宅の長寿命化対策について
次に県営住宅の長寿命化でございます。県営住宅の耐震改修につきましては、平成7年に発生をしました阪神淡路大震災を契機といたしまして、平成12年までに必要な耐震改修工事を完了いたしております。
長寿命化対策につきましては、福岡県営住宅長寿命化計画に基づき、計画的にこれを進めております。具体的には、耐久性に優れた塗料を用いた外壁改修工事でありますとか、断熱材を組み込んだ屋上防水改修工事等によりまして、その長寿命化を図るとともに、一定の築年数を経た団地につきましては、改修履歴等を踏まえまして、建替えを行うことによって、居住環境の改善というものを図っております。
また、建設年度や敷地の状況、入居者の高齢化の状況を配慮、考慮いたしまして、団地を選定し、入居者と協議の上、エレベーターの設置を行うとともに、住戸内においては、手すりの設置や浴室の改善等を行うことによりまして、バリアフリー化を進めてきてるところであります。
立川由美 議員
現在、県営住宅の入居者の高齢化が進み、コニュニティを維持する上で困難を抱えていると、どの地域からも声が上がっています。若年層や働く現役世代、ファミリー層をどう県営住宅の入居者の中に増やしていくかということも、大きな課題だと思います。今後のこの対策について知事はどのようにお考えですか。お聞かせください。
小川洋 知事
県営住宅への若年層などの入居促進について
次に県営住宅の若年層などの入居促進でございます。団地における自治活動や住民相互による見守り活動などを支えていくためには、幅広い世代が暮らすバランスの取れたコミュニティを維持することが必要であると考えております。
そのため、県におきましては、新婚・子育て世帯の入居優先枠というものを設定いたしまして、若い世代の県営住宅への入居というものを促進しております。
また、昨年度から、子育て世帯に、より子育てしやすい居住環境を提供するため、間取りの変更や設備の更新といったリフォームを行っているところであります。
今後も、これらの取組みによりまして、若い世代の入居促進を図り、バランスのとれたコミュニティその維持に努めてまいります。
<子ども医療費助成制度の拡充について>
立川由美 議員
次に子ども医療費助成制度について質問いたします。
全国で子どもの医療費助成制度の拡充が年々進んでいます。
厚生労働省の2018年度調査で高校卒業まで助成している市町村は、通院、入院ともに全体の3割を突破。「中学卒業まで」を合わせると、通院も入院も約9割に達します。
福岡県の子どもの医療費支給制度は、対象年齢が、2016年10月から通院、入院とも小学校卒業まで引き上げられ、通院の自己負担の限度額が就学前800円、小学生は1,200円となり、3年が経過しました。2017年度の支給制度の県予算額は、制度改定前と比べて約12億円の増加でした。
中学卒業まで拡充するとした場合、あとどれくらいの予算が必要か、お答えください。
また、一部自己負担を無くした場合の試算も、お示しください。
2018年3月に行われました厚生労働環境委員会おいて、児童家庭課から「子ども医療費の見直しに係る効果検証」について報告されました。それによると、子ども医療費支給制度の認知度及び満足度は高く、この制度が、経済的負担の軽減や早期治療による子どもの健全な成長を促進しているとの結果が示されました。
しかし、一部負担金があるため、小学生のお子さんを持つお母さんから「1ヶ月の間に違う病院を3ヶ所通院した場合、窓口負担が3,600円になるのは厳しい」という声を聞きました。今月は厳しいから歯医者は来月にするなど、受診を控えなくてはならない状況があります。また、4月に行われた知事選でも争点の一つとなり、この制度の拡充の必要性が問われていると思います。
このように、子育て世帯に大きな安心をもたらすと同時に、子どもの貧困対策としても、極めて大きな効果が期待できる子どもの医療費助成を、中学卒業までに拡充をし、あわせて自己負担を無くすよう求めます。知事の見解を伺い、質問を終わります。
小川洋 知事
子ども医療費支給制度の拡充について
次に子ども医療費支給制度の拡充でございます。平成28年10月の制度改正では、県全体の医療費助成の底上げを図るために、対象年齢を就学前から小学校6年生まで引上げるとともに、将来にわたって制度が持続可能であるものとするため、自己負担の一部を見直しをいたしました。この改正に伴う市町村への助成額は、平成27年度の約39億円から、昨年度は約52億円と大幅に増加しているところであります。
仮に、小学生と同様の自己負担と所得制限を適用して、現行制度の対象年齢を中学3年生までこれを引上げた場合、県におきましては、約5億円の追加財政負担が必要となります。
また現在、3歳未満は無料としております自己負担、これを中学卒業まで拡大した場合には、県では更に、16億円が必要となります。
市町村におきましても、小学校6年生までを対象としている団体や自己負担を設定している団体につきましては、当然新たな財源がそれぞれに必要となります。
こうしたことから、対象年齢の拡大、自己負担の撤廃といった制度の拡充につきましては、財源の確保の見通し、県内市町村の意向等を踏まえながら、慎重に検討していかなければならないとこのように考えております。
立川由美 議員
〈再質問〉
知事に要望いたします。子ども医療費助成に対する知事のご答弁では、現行制度で対象を中学3年生へ引きあげた場合、約5億円の追加になるとのことでした。そうなった場合、本県の子ども医療費支給の予算は約57億円であり、今年度の一般会計予算に占める割合は、わずか0.3%に過ぎません。
所得階層の中で、貧困層は虫歯の有病率が高いことが、様々な公的調査で指摘されています。喘息やアトピーなど通院の回数が多い子どもがいる家庭にとって医療費が大きな負担となっています。特に貧困家庭にとって、子どもの医療費無料化は切実です。
2017年度の段階で、都道府県の制度として、通院では8都府県、入院では16都府県が中学3年生までを対象とし、そのうち福島、鳥取、の2県が通院・入院とも18歳までを対象年齢としています。また、一部負担金をなくしているのは9県と広がっています。
少子化対策、子どもの貧困対策を進める本県として、せめて通院・入院とも中学卒業まで無料化に、一部負担金を無くして全額助成することを重ねて強く要望いたしまして、質問を終わります。