● 20年06月15日 県議会報告
2020年6月15日 2020年6月定例会 高瀬菜穂子議員 一般質問「日田彦山線問題について」「持続化緊急支援金について」「コロナ禍における教育について」(大要)
<2020年6月定例会>
2020年6月15日
<日田彦山線問題について>
高瀬菜穂子 議員
日本共産党の高瀬菜穂子です。
まず、日田彦山線問題について伺います。5月24日、知事は初めて東峰村住民に直接説明されましたが、地元住民は、「鉄道復旧への努力を感じなかった」「死刑宣告をして、言い残すことはないかとだけ言いに来た」と大変厳しい評価でした。BRT案承認は、地元住民にとって苦渋の選択です。知事は、住民の思いをどのように受け止めておられますか。お答えください。
私は、情報公開された5回の復旧会議の議事録を読みましたが、改めて、この間の経緯に疑問を持ちます。九州運輸局の局長は、第1回目の会議から「いろいろな方法論があると思う」という言い方で鉄道以外の復旧について言及しています。国は初めから鉄道での復旧に後ろ向きでした。青柳社長は2回目の会議の前に「上下分離方式」を言い出し、2回目の会議冒頭で謝罪しましたが、その会議の中で、当該区間の赤字額が2億6千万円であることを持ち出しています。一方、日田彦山線全線の赤字額は明らかにせず、2億6千万円の検証は今に至るまでできないままです。第3回目の会議で、知事が真っ先に「交通ネットワーク」という言葉を使い、JR案を促し、そのことがきっかけで、第4回会議のJR3案の提示となるわけです。結局、国とJR九州の思惑通りに進んだのが5回の復旧会議ではなかったのですか。「災害復旧は行う、赤字路線は廃止しない」という青柳社長の国会での約束を全く守らない国とJR九州を正面から正すべき知事が、その責任を果たさず、日田彦山線全線の赤字額という基本的な数字さえ明らかにしない不誠実なJR九州に与したと指摘せざるをえません。
渋谷村長がBRT案受け入れを表明した直後、JR九州は赤字ローカル線17路線の収支を発表しました。「1企業だけで維持するのは大変な線区を知っていただきたかった」と青柳社長はあけすけに述べています。赤字路線の廃止や地元負担を求める意向が透けて見えます。この発表について、知事はどう受け止めておられますか。今後、廃止やバス化につながることは許されないと思いますが、知事の見解を伺います。
BRT延伸について伺います。宝珠山まで延伸する案をJRは「最大限尊重して検討する」と答えたそうですが、合意には至っていないということです。高さ約20メートル、幅3.4メートルの眼鏡橋の上をバスが走ることには危険が伴うのではありませんか。軌道系だからこそ安全に走れるのではありませんか。突風や大雨、積雪の際の運行は難しいのではないかと考えますが、どのような検討をされたのですか。どのように安全性と定時制、また景観を確保するつもりか、お答えください。
小川洋 知事
東峰村住民の皆様の思いについて
お答えを申し上げます。東峰村の住民の皆様方の思いでございます。先月の26日、東峰村の澁谷村長は、東峰村といたしまして、彦山駅から宝珠山駅までを専用道とするBRTでの復旧、BRTで復旧するという私からの提案を受け入れていただく旨、表明をいただきました。澁谷村長は断腸の思いと仰ったわけでございますし、東峰村の皆様にとりまして、厳しい苦渋の選択だったと私自身思っております。
また、添田町の寺西町長もBRTで復旧するというこの案につきまして了承され、先日の8日でございますが、町議会にその旨を報告をされました。それぞれ方針を取りまとめていただきました村長、村議会、そして町長、町議会の皆様、そして何より地域の住民の皆様に改めて感謝しお礼を申し上げたいと思っております。
今後、これまでの経緯、そして東峰村、添田町のご決断、その重みというものをしっかり受けとめまして、1日も早い復旧を成し遂げるべく、JR九州との協議を重ね、早期に復旧会議での合意が得られるよう全力を尽くしてまいります。
赤字ローカル線の収支の公表について
次に赤字ローカル線のJR九州による公表でございます。JR九州の青柳社長は、赤字ローカル線の収支の公表の際の定例記者会見におきまして、「赤字ローカル線を自社だけで維持していくのは大変であり、維持していくには改善が必要である。そのための検討を地元と一緒に進めていく前提として、基礎データを共有する必要があることから公表に至ったものである。」その旨の発言をされてます。
JR九州には、我々沿線自治体側と一緒になって利用者の拡大、これを図りながら、引き続き責任を持って、路線それ自身の維持と運行をしてもらいたいとそのように私は考えております。
BRTの安全性、定時性及び景観の確保について
次にBRTの安全性、定時性、景観についてでございます。BRTの専用道につきましては、国が定めました一般道の道路構造基準に沿って、安全対策が施されることになります。
積雪に対する安全対策につきましては、JR九州は、路面が凍結しやすい橋梁に融雪剤を散布するなど、専用道を走るバスの安全対策について、法令に則り、会社の安全基準に沿ってしっかり対応していくこととしております。
定時性の確保でございます。村内のほぼ全域でこれら専用道となりますので、そのことによって被災前と遜色のないものにできるとこのように考えております。
また私自身、実際に、東北地方のBRTに乗車をし、また関係者の皆さんからいろいろ詳しくお話を伺ってまいりました。定時性や安全性が確保されているといった点について自ら確認をしております。
また、眼鏡橋の景観とその活用につきましては、今後、しっかり検討させていただきます。
<持続化緊急支援金について>
高瀬菜穂子 議員
次に、持続化緊急支援金について伺います。
この制度は、国の持続化給付金を補完するものとして、コロナ禍で苦しむ事業者から喜ばれ、期待が寄せられています。この間、要件についても改善を図っていただきました。その予算は154億円で、現在23億円の給付がなされたとのことですが、予算の多くは残っています。県はこの制度の期限を6月末から1か月延長したと発表しましたが、緊急事態宣言解除後も厳しい経営が続く中、7月で終了するのはあまりに短すぎるのではないでしょうか。当初の想定では、期限を最長令和3年1月15日までとしていたことから、国と同様来年1月15日まで延長すべきと考えます。知事の見解を伺います。
また、フリーランスが確定申告において「事業所得」としてではなく、「給与所得」「雑所得」として申告した場合、県の制度では対象としていません。しかし、国の持続化給付金では対象とされました。国と同様、実態に即して対象にすべきと考えます。知事の見解を伺います。
小川洋 知事
持続化緊急支援金の申請期限等について
次に持続化緊急支援金の申請期限等についてでございます。持続化緊急支援金でございますけれども、今年の1月から緊急事態宣言が解除されました5月までに売上が減少した事業者を対象といたしまして、申請期限を6月末までとしているところでございます。しかしながら事業者の皆さんから「売上の集計に時間がかかる」、「申請書類の準備が間に合わない」といった声が寄せられておりますことから、この申請期限というものを延長いたしまして、7月末までとしたところでございます。この1か月延長したことによりまして、十分な申請期間が確保できる、このように考えております。
次に持続化緊急支援金でございますが、これは事業者の方の事業の継続を支援することを目的といたしております。このため、県といたしましては、確定申告におきまして「事業所得」として申告をし、事業を営んでおられることが明確な事業者にこれを給付することといたしております。フリーランスの方も事業を継続されている方は、通常「事業所得」として申告をされているものと考えております。これは現在、この取り扱いは現在、国が行っている取扱いと同じ考え方でございます。議員は、ご指摘がありました。国においては、他の所得について持続化給付金の対象に加えると発表しているとその通りでございますけれども、一方で国はその後、具体的にどうするのか、どういう資料でどういう判断をするのか、どういう時期にやるのかとかですね、そういった具体的な内容を一切表に出して、まだ出てきておりません。そういう状況でございます。
県としましては、引き続き、事業者の事業の継続というものを支援するため、これまでの基準に則って、迅速な支援金の給付に努めていきたいとこのように考えております。
<コロナ禍における教育について>
高瀬菜穂子 議員
次に、コロナ禍における教育について伺います。
3か月にも及ぶ休校の中で、子どもたちがさまざまなストレスを抱えていることが指摘されています。子どもの貧困がさらなる格差を生み、給食がない中、栄養状態さえ危惧される子ども、ステイホームで虐待に耐えた子ども、学力や進路の不安に加え、失業や収入減となった家庭では特別の不安が子どもたちを襲っているはずです。医療や介護などに従事する親御さんからは、職場の緊張で子どもにゆとりをもって向き合えないとの苦悩の声が聞こえてきます。乳がんの手術を受けたばかりのお母さんから、子どもが40人クラスで、学校から帰ると、玄関で何もかも着替え、「お母さんにコロナがうつらないように」と精いっぱい気を遣っていると聞き、胸が痛みました。
こうした子どもたちの心のケアは、学習の前提として極めて重要だと考えます。子どもの実態から出発し、詰込みではない柔軟な教育を保障することが何よりも大切であり、例年通りの授業をしようと土曜授業、7時間授業、夏休みや学校行事の大幅削減などで過剰な詰込みを行えば、子どもたちに新たなストレスを与えてしまうことになりかねません。
文部科学省も柔軟な教育課程編成の考え方を示しています。各学校の教育課程編成権を十分に保障し、過剰な詰込みを行わないようにすべきと考えます。そのためにも、国が中止した学力テストは県でも中止すべきです。教育長の見解を伺います。
一人一人に向き合うためにも、三密を避けフィジカルディスタンスを保つためにも、学力を保障するためにも少人数学級の実施が急務となっています。わが党は先日、緊急教育提言を発表しました。10万人の雇用増で20人学級を実施することを訴えています。そもそも40人学級という規模は世界レベルから大きく立ち遅れています。国の第二次補正では、教職員は全国でわずかに3,100人増であり、これでは全く足りません。国に対し、大幅教員増を求めるとともに、県としてできるだけ現場教職員を増やす努力をしていただき、最終学年のみならず40人クラスは分けるなどの対応をお願いしたいと思います。また、教員確保の障害となっている「教員免許更新制」については廃止するよう国に求めることについても合わせてお答えください。
以上で質問を終わります。
城戸秀明 教育長
学校の教育課程編成と学力テストについて
学校の教育課程編成と学力テストについてでございます。長期の臨時休業により、学習の遅れや進学・進路について不安やストレスを抱える児童生徒もおりますので、一人一人に寄り添い、心身の状況把握とケアを丁寧に行いながら「学びの保障」を実現することが重要であります。
このため、各学校では、年度当初に策定した年間指導計画を見直す作業を進めており、その際には、当初予定していた内容をそのまま短期間に詰め込むのではなく、例えば教科や単元の指導順序の変更や、他教科等の類似の指導内容の関連づけなど具体的な例を示しながら、指導助言を行っているところでございます。
福岡県学力調査については、長期の休業後の学力の定着度を把握する観点から実施を希望する市町村もありますので、本年度の実施時期や方法などについて、学校再開後の状況も十分に踏まえまして、検討を行っているところでございます。
コロナ禍に対応した教職員定数と教員免許更新制について
コロナ禍に対応した教職員定数と教員免許更新制についてでございます。教職員定数につきましては、今年度、国の加配定数などを活用し、感染症対策の観点から、最終学年の少人数編成に取り組む市町村を支援してまいります。
併せまして、コロナ後の学校教育の在り方を検討しつつ、必要な教職員定数の改善について、国に強く要望してまいります。
また、教員免許更新制につきましては、今般のコロナ禍での業務量の増大等を考慮し、今年度末に更新期限を迎える現職教員について、当面2年間の延長を認めることとしております。
〈再質問〉
高瀬菜穂子 議員
日田彦山線について、再質問します。JR九州には公共交通機関としての役割を求め、3,877億円の経営安定基金に加え、自治体として駅舎の建て替えや線路の高架化の際には9割以上も税金投入してきました。国会での約束を守らない身勝手を、国も一緒になって認めるというのであれば、その根拠法である「鉄道事業法」自体を見直せ、届け出制から許可制に戻せと、知事として主張すべきです。
眼鏡橋の景観を維持し、安全性を確保するには相当な困難があると考えます。宝珠山までの延伸ができない場合は、知事、どうするおつもりですか。コロナ禍の中で、利益第一主義が見直され、持続可能な社会の実現を世界が目指そうとしています。鉄道での復旧こそ、その理念にかなうものだということを強く申し上げ、質問を終わります。
小川洋 知事
お答えを申し上げます。私がやるべきことは、先ほどご答弁をさせていただきましたけれども、一日も早い復旧をこれを成し遂げるべく、BRT案につきましてJR九州と協議を重ね、早期に復旧会議での合意、これが得られるよう全力を尽くすことにあるとこのように思っております。