● 20年06月16日 県議会報告

2020年6月16日 2020年6月定例会 立川由美議員 一般質問「新型コロナウイルス感染症対策について」(大要)



<2020年6月定例会>

2020年6月16日

  

<新型コロナウイルス感染症対策について>

 

立川由美 議員

 

 日本共産党の立川由美です。

 新型コロナウイルス感染症対策について医療、検査体制を中心に質問いたします。

 コロナ危機の中、最前線で奮闘されている医療機関が全国的に経営難に陥っていることが報道でも伝えられています。そこでまず、医療体制を中心にお伺いいたします。

 日本病院会など3団体の調査の結果で「新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた病院は、4月の利益率がマイナス11.8%で平均約1億円の赤字だった」「緊急的な助成がなければ、地域での医療崩壊が強く危惧される」など大変厳しい状況が報告されました。

 私が聞き取りをした、新型コロナ感染症患者を受け入れた福岡市内のA医療機関では、4月度6千万円、5月度は1億3千万円の減収となっています。病院経営はこれまで診療報酬が引き下げられたことも影響し、手持ちの資金も少なく、もともと余裕がないと言われていました。「このままいけば資金ショートになるのか、借金漬けになるのかのいずれかだ」との声も聞きました。現状のままでは、経営破綻してしまう病院が相次ぎ、国民の命と健康を守る役割を担えず、医療崩壊を招くことになります。

 また、こうした新型コロナ感染症患者を受け入れられた病院に限らず、その他の医療機関にもコロナ危機の影響があらわれています。

 福岡県保険医協会は、8日、県内の開業医を対象にしたアンケート結果を公表しました。感染リスクを恐れた「受診控え」が広がり、回答した医療機関の約9割で、外来患者数が減少した事態が浮き彫りになりました。地域医療を支える医療機関の経営悪化は深刻であり、同協会などは国に財政支援を求めています。県は医療機関の経営状況を把握するため調査をすべきではありませんか。

 また、調査に基づいて新型コロナ感染症患者の検査や診療にあった病院、診療にあった病院だけでなく、すべての医療機関において、減収分を国に強く求めるべきです。答弁を求めます。

 国の2次補正で追加提案の予算が付けられていますが、感染患者を受け入れている医療機関以外の院所には手当がありません。あわせて県が独自の助成を行うべきです。知事に見解をお伺いいたします。

 次に検査体制についてお伺いします。

 北九州市では、緊急事態宣言解除後、わずか20日余りで140人超が感染し、病院や学校がクラスター感染の現場となりました。多くの市民や学校などからの強い要望を受けて濃厚接触者以外の関係者の全員と対象の範囲を広げ、PCR検査を行ないました。このことをみても重要な課題は、PCR検査をはじめとする検査体制の抜本的強化です。日本は、世界各国にくらべPCR検査があまりにも少ないことが、くり返し指摘されてきました。政府の専門家会議も、検査体制の強化を提言し、経団連の会長も検査の拡大が必要だと述べています。安全に社会経済活動を再開していくための最大のカギは、PCR検査数の抜本的な拡充です。県は国に先駆け、濃厚接触者が無症状の場合でもPCR検査を行ってきましたが、国もそのように方針を変えました。さらに、県医師会の協力で市町村が進めているPCR検査センターは、県内に17箇所に配置されるなど、一定の努力はされてきました。

 しかし、院内・施設内感染を防止するためには、医療・介護・障害福祉などの現場の検査を抜本的に強化することは特別に重要だと思います。知事のご所見を伺います。

 地域の感染症対策に責任をもっているのは保健所です。福岡市では、新型コロナ感染症の対応に最前線であたった保健所職員の約3割が4月の残業時間が月単位の過労死ラインを超える100時間超となっていたと報道されました。この間、医療費削減・社会保障費抑制が続けられ、わが国の保健・公衆衛生の体制は、大きく弱体化してしまいました。約25年前には、21カ所もあった県域の保健所は、今は9カ所までに縮小され、職員数も800人から約500人に削減されました。保健所は、通常の業務に加え、相談センター、PCR検査要請の窓口、PCR検査の検体を取りに行って研究所に運ぶ、陽性の方が出た場合の入院の措置、濃厚接触者の聞き取り、連絡、行動確認など多岐にわたる仕事を担っており、保健所の機能が麻痺してしまいました。緊急対応としてOBなどの臨時的な配置や他の職場からの職員の派遣などもし、昼夜わかたぬ奮闘がありました。こういう事態を見ても、保健所の体制の強化が必要なのは明らかですが、知事はどのようにお考えですか。

 緊急事態宣言解除後の北九州市で3つの大規模病院でクラスター感染が発生し、外来の新規患者受け入れを停止するなど診療を制限。北橋市長は近隣自治体に救急受け入れの要請を行う事態となりました。北九州市で救急患者を受け入れているB医療機関は「救急医療を止めてはならないとの使命感で懸命に努力をしているが、感染、クラスター発生のリスクは常にある。県の要請にこたえ、一般病床26床分をコロナ対応10床とした。発熱患者のための外来も作った。しかし。1つの病院が、あれこれやっていたのでは、リスクは高まる。患者が一定数を超えた場合、救急病院、コロナ、コロナ患者受け入れ病院、発熱外来など病院ごとに機能分化すべきではないか」と訴えられていました。医療崩壊を起こさせないための病院の役割分担について検討すべきだと考えますが、知事の見解をお聞きし、質問を終わります。

 

 

小川洋 知事

 

医療機関の経営状況について

 

 お答えを申し上げます。まずはじめに医療機関の経営状況でございます。日本病院会などが実施をしました調査によりますと、病院における4月の開医業収入は、対前年同月比、全体で1割程度減少となっております。また日本医師会の調査によりますと、診療所の3月の診療報酬収入は、対前年同月比、約1割の減少となっております。

 また、福岡メディカルセンターの調査によりますと、4月診療分の診療所のレセプト点数、これは耳鼻咽喉科と小児科では約4割減少しているところであります。

 このように、様々な調査結果というものが公表されているわけでございますけれども、そういうところでいきますと厳しい状況が浮き彫りになっております。各機関が調査をしておられますので改めて県として調査をする考えはありません。

 このような医療機関の厳しい状況を踏まえまして、国におきましては、令和2年度第2次補正予算におきまして、福祉医療機構の優遇融資の拡充、また診療報酬の概算前払い、そういった支援策が盛り込まれているところであります。

 また県におきましては、感染拡大により特に大きな影響を受けておられます事業者に対し、事業の継続を支え、また再起の糧としていただくために、国の持続化給付金のほかに、県独自の持続化緊急支援金というものを設けさせていただいております。さらに、今般、新たに設けられました国の家賃支援給付金に、県独自でこれに上乗せをする形で支援をすることといたしております。

 厳しい経営状況にあります医療機関におきましては、こうした支援策を活用していただけるよう、それらの周知を図っていきたいと思っております。

 

医療等での現場での検査拡充について

 

 また次に検査の拡充についてお尋ねがございました。医療機関、高齢者福祉施設等の職員、入院患者、入所者こういった方々が感染した場合に、クラスターの発生が懸念をされます。また対応が遅れますと、医療・介護の提供が滞り、人の命にもかかわる深刻な事態が生じかねません。このため、これらの施設において感染者が発生した場合には、徹底した疫学調査を行いまして、それにより濃厚接触者及び感染の可能性のある人だと判断をされる者を特定をいたしまして、これらすべての者に対し検査を行うことによって、さらなる感染の拡大を防止を図ってまいります。

 

保健所の体制強化について

 

 次に保健所の体制強化についてお尋ねがございました。今般の新型コロナウイルス感染症への対応におきまして、相談対応業務・疫学調査など、保健所の業務が大幅に増加をしましたことから、保健所内での感染症の、保健所内の感染症の担当係に、他の係から経験者を配置換えをしたり、保健師の資格を有する行政経験者などを新たに県の会計年度任用職員として採用いたしまして、その保健所の執行体制を確保してきたところであります。

 今後も、感染症の発生状況に応じまして、保健所内の配置換え、中の職員の配置換え、あるいは会計年度任用職員の採用など、今回と同じような柔軟な対応をすすめていくことによって、保健所の執行体制というものを確保していきたいとこのように考えております。

 

病院の役割分担について

 

 次に医療機関の役割分担についてでございます。県におきましては、新型コロナウイルス感染症患者、その増加に対応していくため、66の感染症病床で患者の受け入れが困難となった場合に、感染症指定医療機関の一般病床、そして入院協力医療機関の病床、その順番で受け入れを拡大していく、そういう方針を立てまして、この方針の下、私自身、各医療機関に対し病床の確保を要請するとともに、県の方針に基づき、県の「新型コロナウイルス感染症調整本部」県の調整本部、ここを介しまして、症状、患者さんの症状に応じた医療機関の受け入れ、これがなされてきたところであります。

 また、入院・治療が必要な患者さんを確実に受け入れることができるよう、軽症・無症状の方に対し、方に入所してもらう民間の宿泊療養施設の確保にも努めてきたわけであります。

 PCR検査につきましても、保健所からの紹介で行う帰国者・接触者外来、またかかりつけ医からの紹介で行う専用外来など、役割を分担しながらその検査を実施してきたところであります。

 この結果、本県におきましては、医療崩壊を招くことなく適切に医療が提供されてきた、このように考えております。

 今後、感染の再拡大、その際におきましても、その規模や患者さんの重症度などに応じまして、役割分担を図りながら、適切に患者さんに対し医療を提供してまいります。

 

 

立川由美 議員

 

 知事に要望いたします。

 国の2次補正には、非コロナ医療機関に対する財政支援は全くありません。コロナ対応の医療機関と非コロナ医療機関は、役割分担を行って日本の医療を支えています。その全体の経営を守り抜くための財政支援を国に強く求めていただくよう要望します。

 新型インフルエンザを総括した2010年の政府報告書では、「国立感染症研究所や検疫所、地方自治体の保健所や地方衛生研究所を含めた感染症対策に関わる危機管理を専門に担う組織や人員体制の大幅な強化」が提言されました。しかし実際には公務員削減を優先し、正反対のことが行われてきました。

 ドイツがイタリアやアメリカと違い、コロナ感染者の死亡率が低いのは、医療体制をそれなりに守ってきたからに他なりません。

地域医療構想は見直し、保健所の体制をはじめ、医療・検査体制を抜本的に強化することを国に求めるとともに県として努力していただきますよう、要望して質問を終わります。

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