● 20年10月01日 県議会報告
2020年10月1日 2020年決算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁 「航空自衛隊築城基地の施設整備、米軍基地化について」(大要)
<2020年決算特別委員会>
2019年10月1日
航空自衛隊築城基地の施設整備、米軍基地化について(大要)
高瀬菜穂子 委員
日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従いまして質問いたします。質問に先立ちまして、築城基地における緊急時使用に係る工事について、及びそれらの工事の期間について、資料を要求していますので、委員長、お取り計らいをお願いします。
高瀬菜穂子 委員
資料を参考にお聞きいただきたいと思いますが、築城基地における米軍用の施設建設が7月から始まりました。2006年の日米安保協議委員会の合意文書、「再編実施のための日米ロードマップ」に基づき、2018年に新田原基地とともに、普天間基地が持つ機能のうち緊急時の航空機受け入れ機能を移転するとした措置によるものです。
対象事業の内容や工事計画等、本県に対し防衛省から事前に説明はあったのでしょうか。あったのなら、その概要をお答えください。
藤田修司 防災企画課長
米軍が緊急時に使用するための築城基地の施設整備については、6月29日に九州防衛局から説明を受けました。
九州防衛局からは、地元自治体である行橋市、築上町、みやこ町に説明を行ったことや、工事期間、基地周辺環境に及ぼす影響への対策等について、説明がありました。
高瀬菜穂子 委員
6月29日に説明を受けたということですが、工事期間に入ってからの説明はあまりにも遅いんじゃないでしょうか。九州防衛局は、地元自治体に説明をしたと言っていますが、市町に行っただけで、最も影響のある住民への直接説明は行わないままですよ。こうした対応は、極めて不誠実だということを指摘しておきます。県も抗議すべきではないでしょうか。
それで、資料にありますように、この計画では、駐機場、燃料タンク、弾薬庫、庁舎、宿舎などを建設、戦闘機12機、輸送機1機、兵員約200人の受け入れを想定していると発表されています。
私は、7月8日に九州防衛局から直接説明を聞きましたけれども、庁舎1は地上3階地下1階6300㎡、宿舎は4階建て4300㎡、戦闘機12機と輸送機1機想定の駐機場は3万㎡など、大規模なものです。工期は庁舎と誘導路の改修が2022年度の4分の3期まで、それ以外は2021年度、来年度までとなっています。これだけの施設整備を、およそ2年でやってしまうという、相当の突貫工事と言えます。なぜ、これほど急ぐのでしょうか。
工事車両だけでも1日100~200台ということですから、交通渋滞や粉じん、振動などの環境悪化、通学路などにおける交通の安全面など、周辺住民からは危惧する声が多数上がっています。このような声に、県としてはどのように対処されますか。具体的に丁寧に答えるよう防衛省に求めるべきではありませんか。お答えください。
藤田修司 防災企画課長
築城基地の施設整備に係る工事については、九州防衛局から、粉じん、振動、交通安全や渋滞などへの対策を行うとの説明があり、防災危機管理局からも、それらの対策にしっかり取り組むよう要請したところです。
高瀬菜穂子 委員
しっかり取り組むと言いますが、住民から見るとまともな説明もせずに、いきなり本格工事に入ったという感があります。あの狭い10号線を、一日100~200台の大型工事車両が行き来するわけですから、トラブルも予想されます。県としてきちんと対応されるよう要望しておきます。
次に滑走路延長事業について伺います。
私は、8月に行橋市で行われた滑走路延長事業に係る環境影響評価についての住民説明会に行きましたが、近隣住民の方が「今でも爆音がひどくて夫婦の会話が成り立たない」「一週間泊まってみてほしい」などと、怒りの声をあげておられていました。それが米軍が来るとなるとどうなるかということなんですね、大変不安を感じておられます。
課長や部長は、現地に行ってみたことがおありでしょうか。住民の声を直接聞いたことがありますか。
藤田修司 防災企画課長
私は、昨年6月に築城基地を視察し、地元自治体である行橋市、築上町、みやこ町も訪問しました。
奥田総務部長の築城基地視察については、7月の着任後に予定していましたが、令和2年7月豪雨等による災害対応等により時間の都合がつかなかったため、現在、改めて日程等を調整しているところです。
高瀬菜穂子 委員
防災ですから忙しいと思いますよ。去年行かれたと、部長はまだということですけれども、これ、ものすごい工事になってますので、きちんと訪問していただいて直接住民の声を聞いていただきたいと思います。
この説明会で、防衛省の環境影響計画書についての説明がありましたが、重大な問題があります。
航空機の運航による騒音や大気質については、対象事業による環境影響は緊急時のみと限定的であり、通常時の運用は現況と変わらないこと、さらに受け入れ頻度や時期が不明であることから、評価報告として選定していないとしている点です。つまり、どう使われるか分からないから調査できないと、こんな無責任な言い分がありますか。地域の住民からも声が上がっていました。
住環境に与える影響について、重要な調査が抜け落ちているのではないでしょうか。このような環境影響評価計画に基づく施設整備について、県としてどのように対応されますか。認められないと、意見を出すべきではありませんか。お答えください。
藤田修司 防災企画課長
築城基地の滑走路延長事業につきましては、国において基地周辺の環境に十分配慮した上で、法令に則り実施されるものと認識しております。
高瀬菜穂子 委員
国において環境に十分配慮した上で実施されるものと、理解を示されましたが、到底納得できません。
私は、地域の住環境に与える影響について、重要な調査が抜け落ちていると指摘しています。配慮していないから指摘しているんです。なんでも国の言いなりでは、県民の要望に応えることができないと思います。
防衛省は米軍の基地使用について、「受け入れ頻度や時期が不明」と言いながら、一方で緊急時のみだから限定的だと言っています。受け入れ頻度や時期がわからずに、なぜ限定的と言えるのでしょうか。
そもそも、「緊急時」とはどういう事態の時を言うのでしょうか。
藤田修司 防災企画課長
「緊急時」については、九州防衛局から、「我が国の安全並びに極東における国際の平和及び安全の維持に係る様々なケースが考えられるため、一概に申し上げることは困難であるが、あえて例えるならば、我が国が武力攻撃を受けた場合というものも該当すると考えている」との説明を受けています。
高瀬菜穂子 委員
防衛省はこれまで、緊急時について、私も何度も聞いているんですけれども、「様々なケースが考えられ一概には言えない」としながらも、「我が国が攻撃されたとき、攻撃される恐れがあるとき」と回答しています。問題は、それを誰が判断するかということです。米軍ではありませんか。米軍が国際情勢次第で緊急事態と判断すれば、どうにでも活用できるのではないですか。
米海兵隊岩国基地は、2017年突如、築城を緊急時の第1の代替基地と定めました。築城への緊急着陸は、2014年、15年は0でした。16年、17年は1機ずつだった。ところが、2018年には29機と急増しています。これは、普天間の機能移転とは全く関係ないことですけれども、米軍は解釈次第でどのようにも使うんですよ。
有事となれば、戦闘機12機、輸送機1機程度の話ではありません。1996年のアメリカの公文書によると、「有事には航空機300機が普天間基地を使用する。代替基地にも普天間と同等の役割を求める」とあります。核搭載可能な爆撃機やオスプレイも否定されていません。
住民が最も心配しているのは、供用後、築城基地がどのように活用されるのかということです。
米軍機は航空自衛隊と違って、我が国の航空法の「飛行禁止区域」や「最低安全高度」など、安全のための規定・航空法第6章が、日米地位協定による特例で適用されないので、米軍がどんな危険な低空飛行訓練をやっても、無灯火でヘリが飛び回っても、部品を落下させても、米軍の責任を問うことができません。沖縄では、1996年に負担軽減策として、嘉手納と普天間の航空機騒音規制措置として取り決められた夜間訓練の制限が、全く守られていません。周辺住民が不安に思うのは当然ではないでしょうか。
緊急時と称して日常的に米軍がここで訓練を繰り返すことは十分に考えられます。県民の生活と安全に関わる事です。どのように活用されるのか、詳細かつ具体的に説明するよう、情報開示を強く県として求めるべきではありませんか。
藤田修司 防災企画課長
築城基地の運用については、国家・国民の安全保障に関わる問題であるため、国において適切に対応されるべきものと考えています。
一方で、本県も含め、基地を抱える都道府県で構成する「渉外関係主要都道府県知事連絡協議会」、俗に渉外知事会と申しておりますが、として、住民の騒音被害や航空機事故に対する不安を踏まえ、国に対し、騒音軽減及び飛行運用の制限等に関する条項の新設など、日米地位協定の改定を求めているところです。
高瀬菜穂子 委員
いつも「国において対処されるべきもの」と答えられるんですよ。適切に対応されるべきものと言われるんですけれども、適切でないことが次々と起こっているから、渉外知事会も全国知事会も地位協定の改定を求めているのではないですか。
国は、米軍が築城基地をどう使うかわからないと言っているのに、どうして適切に対応できますか。米軍のやりたい放題が適切だと言っているようなものですよ。
築城基地は、米軍の常駐化、米軍基地化される可能性があると思います。
わが党の「しんぶん赤旗」日曜版が先日、アメリカの情報自由法を活用して、在日米大使館が安保法成立前後に本国に伝えた秘密公電を入手しました。
2015年9月9日、強行採決によって安保法が可決される10日前ですが、「エルカインド・エネルギー省次官補とウォーリック国務省筆頭次官補代理の日本訪問のための情勢説明」と題する公電が、在日米大使館から発出されています。このなかで、安倍内閣について「14年7月に歴史的決断を下し、日本の平和憲法の解釈を初めて変更した。これにより、日本の軍隊は特定の条件のもとで同盟国への攻撃に対処することが認められる」と言っています。そしてこの政策を法律にするのが安保法制だとの趣旨を本国に伝えています。
集団的自衛権行使容認の閣議決定について言っているわけですが、同盟国・アメリカの戦争に自衛隊を参加させるためだと明確に位置付けているわけです。
9月28日の「ブリンケン国務副長官の日本訪問のための情勢説明」では、「いま安倍政権は、この新しい法制の=安保法制ですが、実行を検討しなければならない。それには、日本がやれる法的限界を新たに拡大した改定日米軍事協力の指針の履行について米国と協力することが含まれる」と言っています。
この通りに進んでいるのではないでしょうか。アメリカの要請で集団的自衛権を容認し、実行するための安保法制に基づいて、日米一体となった軍事協力の環境整備を行う、その一つがこの築城基地の米軍基地化ですよ。そしてアメリカは、その実行さえ迫っています。
「国において対応される」、そういう対処では、県民の生命と財産を守ることはできません。どのように対処されるのかお答えください。
藤田修司 防災企画課長
築城基地の施設整備及び基地の運用については、国家・国民の安全保障に関わる問題であるため、国において適切に対応されるべきものと考えています。
なお、九州防衛局からは、「今回の施設整備は、自衛隊の施設として整備し、緊急時において米軍が使用できるようにするものであり、米軍が築城基地に常駐することはない」との説明を受けています。
高瀬菜穂子 委員
どのように訊いても国任せの答弁ですけど、普天間の代替としてこれだけ基地機能が強化され、緊急時使用の判断も米軍次第というなかで、常駐することはないと断言できるのか、もっと主体的に対応していただきたいと思います。
政府は、安保法制による集団的自衛権の発動としての「敵基地攻撃」を行うことを否定していません。いま、「敵基地攻撃能力」の保有について検討されていますが、憲法9条に違反するとんでもないことです。
防衛省は昨日、2021年度政府予算案の概算要求について、過去最大の5兆4898億円とすることを決めました。軍事費の当初予算は、安倍政権発足以来増額され続けていますけれども、6年連続で過去最大を更新し続けています。軍事費を押し上げる大きな要因となっているのは、アメリカの要求による米国兵器の爆買いですが、その中には、安倍政権から菅政権に検討が継承された「敵基地攻撃能力」の保有につながる兵器の導入などが多数含まれています。着々と環境整備が行われていると思います。
日本に対する攻撃はないのに、米軍と自衛隊が相手国の領域まで乗り込んでいって、一緒になって攻撃することさえ是とする、それは日本を守るどころか、相手国による反撃を呼び起こし、日本に戦火を呼び込むことになると思います。
九州防衛局からの聞き取りで、滑走路の延長とともに、滑走路と誘導路のコンクリートの厚みを増して耐久性を上げる補強改修が行われることがわかりました。九州防衛局によると「一番重たい輸送機に対応する、米空軍のC5、C17輸送機を想定している」ということでした。
C5、C17がどういうものか。航空自衛隊の主力輸送機C2は全長43.9m、幅44.4mですが、C5は全長75.3m、幅67.9m、空虚重量はC2の2.8倍、最大積載量は3.8倍です。いかに大きな輸送機かがわかります。
C5輸送機は、通称ギャラクシーですが、米陸軍の全ての装甲戦闘車両と航空機、74トンの架橋戦車などの戦闘設備を運ぶことができ、兵員は600名が輸送可能で、ベトナムを皮切りに、あらゆる戦争、武力紛争に伴い世界各地に派遣されてきました。C17もC5に近い大型貨物の長距離空輸能力を持っています。
今回の施設整備は、明らかに海外展開を想定しています。築城基地は攻撃能力を格段に高められ、出撃拠点にされようとしているのははっきりしているのではないでしょうか。
アメリカは先制攻撃を戦略として持っています。アメリカが起こす戦争に、福岡が巻き込まれる危険性が生じます。本県として、築城基地の米軍基地化に断固として反対すべきではありませんか。部長に答弁を求めます。
奥田隆則 総務部長
築城基地の施設整備及び基地の運用については、先ほどから課長がお答えしていますと
おり、安全保障に関わる問題でありまして、国の専管事項であるため国において適切に対応されるべきものと考えています。
県としましても渉外知事会を通じ、住民の騒音被害や航空機事故に対する不安を踏まえ、引き続き、国に対し騒音軽減及び飛行運用の制限等に関する条項の新設など、日米地位協定の改定を求めてまいります。
高瀬菜穂子 委員
お答えいただきましたが、納得できる答弁ではありませんので、知事に直接伺いたいと思います。知事保留をお願いします。
以上