● 20年12月11日 県議会報告

2020年12月11日 2020年12月定例会 立川由美議員 一般質問 「 新型コロナウイルス感染症における医療・介護問題につて」(大要)



2020年12月11日   12月定例会・立川由美議員一般質問 答弁(大要)

 

 

<新型コロナウイルス感染症における医療・介護問題について>

 

立川由美 議員

 

 日本共産党の立川由美です。通告に従い、一般質問を行います。

 まず、医療問題について質問します。

 この間、我が党はPCR検査の拡充について議会で何度も取り上げてきました。国の通知を受けて、本県でも、福岡市が医療・介護従事者を対象に行政検査を行うと発表し、北九州市は高齢者施設入所者にも行政検査を広げると発表しました。東京都江戸川区では、医療・介護関係者に加え、保育園、幼稚園、学校、学童保育クラブの職員などへの「社会的検査」を巡回して行うと発表しています。

 先日伺った福岡市内の介護事業所では、入居している利用者と比べて外と接触することの多い訪問介護やデイサービスなど通所利用者に対してPCR検査を行なってほしいと訴えられていました。

 いま、全国的に感染者数が過去最多を更新し続け、本県でも8日に85人、10日は79人と広がる傾向にあります。なかでも、障がい者施設や介護施設、学校などでのクラスターの発生が深刻な問題となっています。本県も、今議会の補正予算で、高齢者・障がい者施設の職員に対する行政検査に20億円措置されたことは前進ですが、検査の対象を医療従事者、施設入所者、エッセンシャルワーカーにも広げることが必要ではないでしょうか。

 また、必要な行政検査を行うためには、全国知事会も要求している全額国庫負担による検査のしくみを国に強く求めるべきではないでしょうか。知事の見解を伺います。

 新宿・歌舞伎町では夜の街対策として徹底したPCR検査を行い、感染の抑え込みが評価されています。9月議会で、私は感染震源地を明確にして、住民や働く人の全体を対象に網羅的に面での検査をと求めましたが、知事は「検査が必要な方」「無症状者については、感染していると疑うに足りる正当な理由がある者」との答弁にとどまりました。本県でも「面的検査」を明確に位置付けるべきではないでしょうか。再度お伺いします。

 新型コロナ感染症により医療機関は平均10%を超える赤字となっており、過酷な現場で働き続けている医療従事者へのボーナスの大幅カットも報じられています。県内の医療機関の経営状況について知事の認識をお伺いします。

 国は、医療機関への支援に3兆円の予算を組んだと言っていますが、その執行状況はわずかに2割程度であることが、国会質疑の中で明らかになりました。本県における医療機関への支援策の執行状況は、どうなっていますか。お答えください。

 医療機関への支援は待ったなしです。特に医療現場は休みなく働いています。国に対し、医療機関に対する「減収補填」を強く働きかけるべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 県は、病床確保の目標を760床としてきましたが、現在の病床確保数は551床と目標に及ばない状況が続いています。感染者は拡大しており、病床を確保することは最低限の課題といえます。目標に届かない理由をどう認識しているか、今後どのように取り組むつもりなのか、お答え下さい。

 重点医療機関の指定も極めて遅く、さまざまな取り組みに後れを生じているのではないでしょうか。患者受け入れに手を挙げた病院があったにもかかわらず、指定をしなかった例もあると聞いています。現時点で即応病床は312床、そのうち重症病床は90床とのことですが、今後感染者の拡大状況や不測の事態に備え、少なくとも、760床を確保し、それ以上の確保についても、協力を求めるべきではないでしょうか。ご所見を伺います。

 

 

小川洋 知事

 

PCR検査の拡充について

 

 お答えを申し上げます。PCR検査の拡充でございます。

 先日議決をいただきました、高齢者施設等の職員に対するPCR検査は、高齢者施設、障がい者施設の入所者は、特に重症化リスクが高いことを踏まえまして、入所系施設でこうした入所者と接している可能性が高い職員を幅広く検査対象として、一斉に、定期的にこれを実施することといたしております。

 医療従事者や施設入所者等につきましては、この事業の対象といたしておりませんけれども、クラスターが複数発生しているような地域におきましては、施設内の感染拡大を防止をするため、必要に応じて行政検査の対象としてまいります。

 またPCR等検査体制の拡充と必要な支援につきましては、これまでも全国知事会を通じ、国の方へ要望してきておりまして、円滑な検査の実施のため、引き続き、国に対し必要な財源の措置について要望を続けてまいります。

 

PCR検査の方法について

 

 PCR検査の方法でございます。

 県におきましては、新型コロナウイルス感染症の検査が必要な方に迅速な検査を実施をし、その結果陽性となられた方につきましては、治療が必要な方は医療機関で、無症状者・軽症者につきましては本県が確保しております宿泊療養施設でそれぞれ受け入れることによりまして、症状に応じた適切な医療・療養を提供するとともに、感染の拡大を防止をすることを基本としているところであります。

 このため、患者が発生した場合には、保健所において速やかに積極的な疫学調査を実施をし、検査が必要な方の把握と検査を行っているところであります。また、無症状者につきましては、濃厚接触者に限らず、感染していると疑うに足りる正当な理由がある方を幅広く対象として検査を行っております。

 加えて、高齢者施設等の入所者は特に重症者、重症化リスクが高こうございますので、施設内で感染者が発生した場合には、必要に応じすべての入所者に対し検査を行っております。

 引き続き、必要な検査体制、医療提供体制を確保しながら、感染の封じ込めを図ってまいります。

 

医療機関の経営状況について

 

 医療機関の経営状況についてお尋ねがございました。

 日本病院会が実施をした医療機関の経営状況に関する調査によりますと、医業収入は、5月に対前年同月比15%の減少と大きく落ち込みましたが、8月は4.9%の減少、9月には0.5%の減少と改善の傾向にございます。

 医業損益につきましても、5月や6月と比べまして、改善の傾向にございますが、9月も赤字となっておりますことから、医療機関の経営というのは、依然厳しい状況にあるとこのように認識をしております。

 

医療機関への支援策の執行状況について

 

 医療機関への支援策の執行状況でございます。

 国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の医療分につきましては、年度末までの所要額として、約1000億円が本県に交付をされております。

 このうち、3割に当たる約303億円につきましては、12月9日時点で、医療機関等に対する交付決定をすでに行っております。

 その主な内容でございますが、医療従事者等に対する慰労金が約183億円、医療機関等における感染防止対策等の支援事業が約52億円、病床確保事業が約35億円とそれぞれなってるところであります。

 慰労金につきましては、申請があったものについては、ほぼ全て交付済みであります。また、国の交付金額が最も大きい病床確保事業につきましては、10月に指定しました重点医療機関向けの補助金を含め、現在、交付対象となります病床の確認等の作業を進めておりまして、確認ができたものから順次交付をしているところでございます。引き続き、速やかに交付をしてまいります。

 

医療機関へのさらなる支援について

 

 次に医療機関へのさらなる支援でございます。

 県におきましては、全国知事会を通じまして、医療機関の経営悪化に歯止めをかけるよう、診療報酬の引き上げ、全ての医療機関に対する財政支援など更なる支援について、国に対し要望をしているところでありますし、これからも続けてまいります。

 

病床確保について

 

 病床確保でございます。

新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる病床につきましては、現時点で551床を確保しております。このうち、312床につきましては、受け入れ要請があれば、ただちに患者を受け入れる「即応病床」として確保しているところであります。

 残りの「準備病床」として確保しております239床につきましても、感染拡大時には、県の要請を受けて即応病床に転換し患者を受け入れることになります。

 目標の760床との差であります209床でございますが、準備病床としての確保を今進めているところでございまして、病院長に集まっていただく会議、また医療機関への個別の訪問などによりまして、医療機関への働きかけを続けているところであります。

 病床確保に当たりましては、新型コロナウイルス感染症以外の疾患の患者さんに対する医療の確保も適切に確保する必要がございます。このため医療機関の皆様のご理解とご協力を得ながら、引き続き、最大760床の病床の確保を目指していきたいとこのように考えております。

 

 

立川由美 議員

 

 次に介護事業について伺います。

 東商リサーチによると全国の介護事業所の倒産が昨年の件数を超え、112件と最悪になり、自主的な休業・廃業は過去最多の600件を超える見通しです。事業所は相次ぐ介護保険制度の改悪により、コロナ以前から、厳しい経営を余儀なくされています。経営難に加え、人材不足が極めて深刻な状態でしたが、コロナ禍がそれに拍車をかけたといえます。

 県として、介護施設等や介護従事者に対してどのような支援を行なってきましたか、また、人材不足、経営難に対しての支援策はどのように考えていますか。答弁を求めます。

 また、介護現場から使い捨ての医療用手袋とエプロンが常時不足していると聞きました。特に手袋は単価が高く、感染防止対策で頻度が上がっているとのことです。県として、介護施設等から、直接聞き取りを行い、必要な物資の支給を行うべきだと考えますが、あわせて見解をお伺いいたします。

 国が行なっている特例措置の「新型コロナ対策での介護報酬上乗せのしくみ」についてですが、この制度は利用者負担を重くし、実際は上乗せ分のサービスは受けられないという不条理が生じています。

 利用者から不満の声が、事業者からは「利用者に負担させられない」など困惑の声が上がっています。

 長野県飯田市のように8月から上乗せ分を補助金として事業所に支給することを決めた自治体もあります。利用者に負担を強いるのではなく、県として公費での支援策を行うべきではないでしょうか。また、このような制度ではなく、介護施設等の存続のための直接支援を行うよう国に求めるべきだと考えますが、お答え下さい。

 最後に介護保険制度について質問いたします。

 国は、介護保険制度をさらに改悪し、年収190万円以上の方は、負担率2割にするとともに、負担率3割の年収要件も引き下げ、要介護1、2の生活援助サービスを介護保険から外し、「総合事業」へと移そうとしています。  

 さらに、ケアプラン作成の有料化で利用者の負担増を行おうとしています。コロナ禍で憂慮する声に押されて国は制度改悪を先延ばしにしましたが、制度が通ってしまえば、サービスが利用できなくなるだけでなく、介護事業所の経営を圧迫することは明白です。介護保険制度そのものの存続に関わる問題です。ひっ迫した状況の介護現場に追い討ちをかけるようなこれらの制度の改悪を進めてはならないと考えます。知事はどうお考えですか。国に対し、制度改悪をやめるよう強く求めるべきではありませんか。知事にご所見を伺い質問を終わります。                         

 

 

小川洋 知事

 

介護施設等、介護従事者に対する支援について

 

 介護施設等、介護従事者に対する支援でございます。

 まず、介護施設等に対しましては、感染症対策を徹底した上で介護サービスを提供するために必要となります衛生用品、非接触型体温計等の購入、外部講師による研修の実施等に係る経費を助成させていただいております。

 また、介護サービスの利用控えなどによりまして、利用を休止されている方々に対して、状態に応じた適切なサービスが受けられるよう、その利用者の方々の状態の把握に要する経費というのも助成させていただいております。

 次に、介護従事者の皆様に対しましては、感染すると重症化するリスクの高い利用者に対し、強い使命感を持って業務を遂行していただいているところであります。改めて敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。またその労に報いるために5万円から20万円の慰労金を支給させていただいているところであります。

 また新型コロナウイルス感染症の発生による職員体制の縮小、介護従事者の負担増を踏まえまして、介護ロボットを導入する場合の助成について、その補助率と補助上限額をそれぞれ引き上げるなど、支援を拡充しているところであります。

 これに加えまして介護現場のICT化を進めるため、今年度から、介護ソフトやタブレット等を導入した場合にも助成を行っているところであります。

 さらに、介護施設等の経営に対する支援策といたしまして、減収の度合いにあわせまして、国の持続化給付金や私ども県の持続化緊急支援金を支給さしていただき、事業の継続を支え、再起の糧としていただいたところであります。

 また、雇用調整助成金や独立行政法人福祉医療機構による事業継続のための融資制度についてもそれらの内容について周知をはかってきたところであります。

 本県といたしましては、このような取組みを通じて、介護施設の皆様が、安心して介護サービスを提供していただけるよう、これからもしっかり支援を続けてまいります。

 

介護施設等に対する物資の支給について

 

 介護施設等に対する物資の支給でございます。

 県におきましては、国から介護施設等への布マスクの配布が遅れ、介護施設等が困っているというそういう情報がかつてありました。このため今年の5月ですが、紙マスク210万枚を県自ら確保して、県内全ての介護施設に配布したところであります。

 また、現在、国が介護施設等へ手袋配布事業を実施しております。この事業において、県では、介護施設等の手袋の在庫量、そして今後の入手の見通しについて調査を行っているところでございまして、これを踏まえて配布を実施することといたしております。

 さらに、県におきましては、国が都道府県向けに配布したマスクを備蓄し、県内の介護施設等でマスクが不足する場合に備えるとともに、ガウン、フェイスシールド、手袋といった防護具を購入し、備蓄することによりまして、クラスターが発生した施設に対し、迅速にこれらを配布できるようにしてまいります。

 

介護施設等への公費支援等について

 

 介護施設等への公費支援でございます。

 今回の特例措置は、通所介護事業者等の感染症対策を適切に評価をする観点から、臨時的にその時間を報酬算定の対象としたものであります。

 この取扱いですが、利用者の事前の同意が必要とされておりますために、「同意の有無で負担感が、負担額が異なることは不公平である」、「利用者の理解が得にくい」といったご意見や、「増加分の利用者負担を公費負担すべきではないか」そういったご議論があることは承知いたしております。

 来年度の介護報酬改定に向けて今開催されております利用者、事業者及び自治体などの代表で構成されております国の社会保障審議会介護給付費分科会の中においても同様の議論、意見が出されておりまして、この臨時的な取り扱いについても議論がなされているところであります。そして年内にその結果取りまとめる予定となっておりますので、県といたしましては、この検討状況を注視していきたいと考えております。

 また、介護施設等の経営安定化のための財政支援につきましては、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金がこれに充当できるよう、その拡充について全国知事会から緊急提言として求めてきているところであります。

 

介護保険制度の見直しについて

 

 介護保険制度の見直しについてであります。

今後、高齢化のさらなる進展に伴いまして、介護ニーズの増加が見込まれる中、高齢者の要介護状態の軽減、悪化を防止する、悪化の防止に質するよう、必要な保険給付を行っていく必要がございます。

 また、今後必要となる保険給付を確保していくためには、介護保険料、公費及び利用者負担の適切な組み合わせによりまして、給付と負担の均衡を図り、介護保険制度の持続可能性というものを高めていく必要があります。

 このため県におきましては、全国知事会を通じて、国に対し、介護保険制度が将来にわたり安定したものとなるよう、適切な介護報酬の設定、保険料と国・地方の負担の在り方を含め、必要な制度の改善について、改善を図るよう求めているところでございます。

 

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