● 21年06月16日 県議会報告
2021年6月16日 2021年6月定例会 立川由美議員 一般質問「福岡空港における土壌汚染問題について」「有明海再生問題について」「飯塚市白旗山メガソーラーについて」(大要)
2021年6月16日 6月定例会・立川由美議員一般質問 答弁(大要)
<福岡空港における土壌汚染問題について>
立川由美 議員
日本共産党の立川由美です。まず、福岡空港における土壌汚染問題について質問いたします。
福岡空港の滑走路増設事業敷地内で基準を超えるベンゼン、鉛など人体に有害な物質が検出され、現在対策が行われています。今回の土壌汚染は、終戦後に米軍が建設した燃料タンク、パイプライン部分から発生しています。
しかし、国土交通省は「汚染の原因者の特定には至ってない」として、土壌汚染対策法にのっとった対応をしていません。福岡空港の滑走路増設事業の一環だからと空港法に基づき、地元負担を求めています。一方、防衛省は、米軍基地のパイプラインが敷設されていた付近からの汚染と確認しており、福岡市に対して土壌汚染対策法に基づいて、届出区域の指定を申請しました。
米軍が原因者であることは、はっきりしているのではないでしょうか。
土壌汚染調査費、対策費は2015年から2019年の5年間で4億1400万円、地元自治体負担は3分の1の1億3800万円にものぼります。そのうち福岡県は6割の8200万円を支出しています。先日、九州地方整備局を通して、福岡空港に視察へ行った際、国土交通省は、今後もパイプラインに沿っての土壌、汚染土調査を継続すると言われました。つまり、調査費が今後さらに増えていくわけです。
空港の所有者でも、管理者でもなく、土壌汚染を起こした原因者でもない地元自治体がなぜ費用を負担しなくてはならないのでしょうか。県民に対して、説明がつきません。
国交省も、土壌汚染対策法に基づく手続きを行い、土壌汚染対策は空港整備事業とは切り離し、空港法に基づく地元負担をなくすべきと考えます。国に対して費用の返還を求めると共に、今後の土壌汚染対策費は国が負担するよう、国に対して求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
服部誠太郎 知事
土壌汚染対策に係る費用の地方負担について
ご答弁を申し上げます。福岡空港における土壌汚染対策に係る費用負担についてお尋ねがございました。
国は、福岡空港の滑走路増設事業を進めます中で、土壌汚染対策法に基づき、必要な土壌調査及び対策を行っております。
これらの調査及び対策は、国が滑走路増設事業の一環として実施するものでありますため、空港法第6条及び第7条の規定に基づき、県と福岡市でこれに要する費用の3分の1を負担するものでございます。
<有明海再生問題について>
立川由美 議員
次に、有明海再生問題について伺います。諫早湾干拓地潮受堤防締め切りの後の「有明海異変」から20年以上が経過しました。
有明海再生のさまざまな取り組みにも関わらず、今も、タイラギが全く獲れないなど、深刻な事態が続いていると認識しています。あるノリ漁業者は、「全国的なノリの不漁で、単価が上がったから何とかやっているが、ノリ以外の採貝や漁船漁業で食べていくのは難しい」と話されていました。実際にこの間、漁業者は激減しています。
「宝の海を返せ」と排水門の開門を求めた裁判からも18年が経過しています。福岡高裁の開門を求める確定判決が出されたのちも、これが実行されず、逆に請求異議訴訟が行われ、裁判は複雑な経緯をたどってきました。最高裁は、請求異議訴訟を高裁に差し戻し、昨年2月から差し戻し控訴審がおこなわれています。去る4月28日、福岡高裁は国と漁業者に対して「和解協議に関する考え方」という提案を出しました。その内容は、「各排水門の開門を巡る一連の紛争経過を踏まえ、その根本的な解決を図るため、当事者双方に対して、和解協議の場についた上で、合理的な期間内に集中的に協議を重ねることを求める」というものです。「国民的資産である有明海の周辺に居住し、あるいは同地域と関連を有する全ての人々のために、地域の対立や分断を解消して、将来にわたるより良き方向を得るべく、本和解協議の過程と内容がその一助となることを希望する。」と最後に結んでいます。これは、紛争の統一的・総合的・抜本的解決に向け、双方の接点を見出せるように提案された画期的なものと考えます。
国は、基金案にもとづく協議を求めていますが、それに固執することなく、話し合いによる総合的な解決こそ、有明海再生に求められていると思います。
県として、国に対し、和解協議のテーブルに着くよう、求めるべきだと考えますが、知事のご所見をうかがいます。
服部誠太郎 知事
諫早湾干拓の開門請求異議訴訟について
次に諫早湾干拓の開門請求異議訴訟についてでございます。
福岡高裁は、平成30年の3月に、開門しないことを前提に基金による解決を目指す和解案を提示いたしました。
これを受け、福岡有明海漁連と佐賀、熊本の漁協、漁連は、有明海の再生の兆しがある中で、この和解の実現を強く期待する、との考えを示しました。
県といたしましては、有明海漁連の意向を尊重し、和解協議が進んでいくことを期待しておりましたが、和解が成立せず、残念に思っております。
現在、この訴訟は最高裁から福岡高裁に差し戻され、裁判所、国及び漁業者の三者で法廷外の協議でございます進行協議が進められております。
県といたしましては、引き続き、国に対して有明海の環境変化の原因究明調査を国の責任において実施しますよう要望いたしますとともに、この裁判の状況を注視してまいりたいと考えております。
<飯塚市白旗山メガソーラーについて>
立川由美 議員
飯塚市白旗山メガソーラーについて質問いたします。2015年の計画段階より、住宅地に隣接する34ヘクタールの林地開発は、住民8,700人の住環境に多大な影響を及ぼすとともに、周辺が土砂災害危険区域であることから、災害の危険性を指摘し、開発を行わないよう再三にわたり求めてきました。2年前、ノーバルソーラーは、林地開発の許可条件として義務付けられている防災施設、調整池を先行して作らずに、本格的な森林伐採と造成工事を行い、県は我が会派の指摘を受けて、許可条件違反=違法であることを認めました。
悪質な業者に対して、森林法10条3項にもとづき、許可取り消し・工事中止などの厳正な処分を行うよう求めてきたわけですが、県は行政指導に従っていると業者寄りの対応を続けてきました。
ノーバルソーラーに続き、アサヒ飯塚メガソーラーの開発地域でも同様のことが起こっています。昨年10月、調整池の造成中に、390㎥もの土砂崩れを起こし、今もそのままの状態です。未完成の調整池の上部の木は伐採され、パネルが置かれようとしています。さらに5月20日、わずかな雨で、別の造成地ののり面が崩落し、生活道路まで濁流が流れました。まさに2年前のノーバルソーラーの時と全く同様のことが繰り返されているではありませんか。県の監督行政が問われます。
森に囲まれた閑静な住宅地は、今やその影もなく、すぐそばまでソーラーパネルが迫り、また、他方は森林が伐採され、はげ山となっています。豪雨により甚大な被害がおこる可能性があります。住民は、雨が降ると眠れないと訴え、周囲の緑がなくなった住宅で連日の作業音に悩まされた住民はうつ症状となり、引っ越したいが、もう家を買ってくれる人はいないと落ち込んでいます。この梅雨が無事に越せるのか、本当に心配な状況です。
調整池完成前の森林伐採は違法であり、森林法10条の3項にもとづき、許可取り消しの厳正な処分を行うべきではありませんか。
県はこの開発に対して、どのように指導されていますか。
また、5月20日の土砂崩れを受け、住民の安全確保するため県はどのように対応されているのか、知事の見解を求め質問を終わります。
服部誠太郎 知事
飯塚市白旗山のメガソーラーについて
飯塚市白旗山のメガソーラーについてでございます。
当該開発地は、森林法の規定に基づきまして、平成28年に県が林地開発を許可し、事業者が開発を行っているものでございます。
この許可にあたりましては、「防災施設は本工事に先行して施工すること」との条件を付しております。
当該開発地の防災施設といたしましては、2箇所の調整池と、これに導水するための水路が計画をされております。
お尋ねのございました伐採につきましては、現在施工中のこの調整池とその水路の工事を行うために、工事の進捗に合わせて、段階的に行われたことを県において確認をいたしております。このため、許可取り消しなどの処分にはあたらないものと考えております。
県といたしましては、引き続き定期的に現地確認を行いますなどパトロールを実施いたしまして、許可条件どおりに開発を行うよう、事業者を指導してまいります。
事業者に対する今後の県の対応について
事業者に対する今後の県の対応についてお尋ねがございました。
ご指摘のございました5月20日の降雨による土砂崩れにつきましては、水路が工事中でございましたため、土砂や濁水が事業区域外に流出をいたしたものでございます。
このため県では、直ちに事業者に対して、土のうの設置など必要な応急対策を指示し、速やかに完了をさせました。
加えて、再度、災害を発生させないよう、水路周辺を土のうで補強するといった防災計画を提出させますとともに、住宅に隣接する箇所にも大型土のうや仮排水路の設置などの追加の対策を行うよう指導したところでございます。
その後も、現地に赴きまして、この計画と県の指導事項が適正に履行されているかを確認をいたしております。
県といたしましては、周辺住民の方々が安心できますよう、開発行為が完了するまで、こうした防災対策を徹底いたしますよう、事業者を厳しく指導するとともに、引き続きパトロールによる現地確認を実施してまいります。