● 22年03月18日 県議会報告

2022年3月17日 2022年予算特別委員会 立川由美委員 質疑・答弁 「放課後児童クラブについて」(大要)



2022年3月17日   2月定例会(予算特別委員会)立川由美委員質疑(大要)

 

 

 

<放課後児童クラブについて>

 

 

立川由美 委員

 

 日本共産党の立川由美です。通告に従い放課後児童クラブについて質問いたします。

 コロナ禍、放課後児童クラブは学校が一斉休校になる中でも開設が求められるなど、子どもの生活と安全、社会経済活動に欠くことのできない存在であることが認識されました。放課後児童クラブの支援員は、感染拡大の緊張が続く中で、ストレスを抱えた子どもたちを支えてきたエッセンシャルワーカーです。

 本県の放課後児童クラブの実態についてお聞きします。まず、「設置運営主体別クラブの状況」「雇用形態別の職員数の状況」について執行部に資料を要求していますので、委員長、お取りはからいをお願いいたします。

 

〈※資料要求〉

 

簡潔に説明をお願いいたします。

 

 

富松文夫 私学振興・青少年育成局 青少年育成課長

 

 それでは資料についてご説明をいたします。

 まず1の「設置・運営主体別クラブの状況」です。この表は、県内の放課後児童クラブの数について、設置・運営主体別に示したものです。

令和3年5月1日現在、公立公営が166、公立民営が581、民立民営が27で、県全体のクラブ数は774となっております。

 次に2の「雇用形態別の職員数の状況」です。この表は、放課後児童支援員、補助員、育成支援の周辺業務を行う職員のそれぞれの人数について、常勤職員と常勤職員以外に区分して示したものでございます。

 令和3年5月1日現在、施設で定めた所定労働時間のすべてを勤務する職員及び1日6時間以上かつ月20日以上勤務する職員、これらの常勤職員の合計は、2,516人、常勤職員以外の非常勤職員の合計は3,743人、総計で6,259人となっております。

 

 

立川由美 委員

 

 全県で774のクラブがあり、6,259人の職員に支えられているということです。全国的に市町村の直営クラブが減っていますが、本県でも民営のクラブが多数となっています。「支援員の確保が厳しい」と言われていますが、支援員の確保については、専門性に見合った処遇の改善が何よりも重要だと考えます。

 本年2月から実施の「保育士等処遇改善等臨時特例交付金」制度は、収入を3%程度引き上げるための措置ですが、「放課後児童クラブの職員」も含むこととされました。国の負担割合10分の10で、22年度9月まで、10月以降は、国・県・市町村が3分の1ずつの負担で継続して行う制度です。市町村が事業主体であり、10月以降の負担も生じることから、運営主体である市町村の判断で行うこととされています。放課後児童クラブ支援員は高度な専門性が必要であるにもかかわらず、低い賃金水準であり、今回の措置は不十分ではありますが、一歩前進です。職員全体の処遇改善が全県で適用されるべきと考えますが、県の考えを伺います。現在の申請状況についても明らかにしてください。

 

 

富松文夫 私学振興・青少年育成局 青少年育成課長

 

 放課後児童クラブの実施主体は市町村でございます。放課後児童クラブに勤務する職員の方々の収入を引き上げるという今回の国の事業につきましては、市町村にその趣旨をご理解いただき、それぞれ適切に判断していただきたいと考えております。

 また、交付申請の状況ですが、放課後児童クラブを設置している59の市町村のうち54の市町村が国の交付金を利用する予定となっております。

 

 

立川由美 委員

 

 県内職員の公平性の観点からも、県として全自治体で実施するよう働きかけを行うべきではないでしょうか。

 

 

富松文夫 私学振興・青少年育成局 青少年育成課長

 

 県では、全ての市町村に対しまして、国の説明動画や、コールセンター設置の案内を行うなど、今回の事業について周知を行っておるところでございます。

 そのうえで、申請を行っていない市町村につきましては、個別に事情をお伺いし活用を促しております。

 

 

立川由美 委員

 

 2015年に「子ども・子育て支援新制度」が始まり、厚生労働省が示した「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」(省令基準)に基づき、「放課後児童クラブ運営指針」も策定され、放課後児童クラブへの補助金も一定増えました。「開所時間中は支援員を二人以上配置する」「1支援の単位はおおむね40人以下とする」「専用区画の面積は、子ども一人につき、おおむね1.65㎡以上とする」などの「従うべき基準」が示されたことは大きな前進でした。しかし、2019年の「第9次地方分権一括法」により、「省令基準」に示されたすべての事項が「参酌基準」とされ、2020年4月から施行されてしまいました。これにより、せっかく示された「人員配置や資格要件」の切り下げが行われた自治体もあります。

 「開所時間中は支援員を2人以上配置」「1支援の単位はおおむね40人以下」との基準について、県内自治体の実態はどうなっているでしょうか。40人以下と41人以上の支援の単位数はそれぞれどれだけか、お答えください。

 

 

富松文夫 私学振興・青少年育成局 青少年育成課長

 

 クラブを設置しております市町村では、「放課後児童支援員の数」や「一の支援の単位を構成する児童の数」につきましては、国の省令基準と同じ基準が条例で定められております。

 また、令和3年5月1日現在で、40人以下の支援の単位の数は813、41人以上は789、計1,602となっております。

 

 

立川由美 委員

 

 40人以下と41人以上のクラブがおおよそ半数と見ることができます。文科省は、小学校の35人学級を順次広げていく計画ですが、異年齢の子どもが集う放課後児童クラブは、「おおよそ40人」という目安で、40人以上、中には50人、60人を超えるクラブもあります。感染症対応では、言うまでもなく「密を避ける」ということが重要であり、40人でも多すぎると考えます。

 また、全国学童保育連絡協議会が、内閣府のホームページに公表されたデータから「学童保育における重篤な事故の傾向」を分析した結果、重篤な事故の出現率は40人以下では122支援の単位に1件ですが、41人以上では92支援の単位に1件、そのうち71人以上では20支援の単位に1件、101人以上では、10支援の単位に1件と、40人以下と100人以上では重篤事故の確率は12倍にもなっています。安全な運営と行き届いた放課後支援のためには、40人以下を最低基準とすることが必要だと考えますが、県としての見解を伺います。また、「おおむね40人」の目安を守るために、どのような取り組みを行っているのか、伺います。

 

 

富松文夫 私学振興・青少年育成局 青少年育成課長

 

 市町村によりましては、おおむね40人以下の基準を超えて児童を受け入れていることがありますが、これは、待機児童を増やさないよう、利用者が見込みを上回っている場合に、職員を増員していることで対応していることが考えられます。

 県といたしましては、放課後児童クラブの運営にあたっては、児童への適切な配慮や安全確保を図るという観点から、市町村が条例により定めている基準に沿って運用されることが望ましいと考えております。

 このため、市町村の実状に応じまして、空き教室を活用した臨時クラブの開設や、施設整備の前倒しなどを促しているところでございます。

 

 

立川由美 委員

 

 場所と人の確保が必要となることから、困難もあると思いますが、「1支援の単位はおおむね40人以下」の目安が守られるよう県としても取り組んでいただきたいと思います。

 なお、「従うべき基準」から「参酌基準」になってしまった2019年の「第9次地方分権一括法」の附則では、「施行後3年」に見直しを行うことが定められています。今年がその3年目にあたっています。コロナ禍で、いっそう、放課後児童クラブの重要な役割が認識され、また、1支援単位の人数については切実に少人数化が求められています。見直しにあたって、ぜひとも、「従うべき基準」に戻すよう国に求めていただくことを要望します。

 次に、支援員の質の確保について伺います。戦後、経済発展とともに必要性が叫ばれ自主的に子どもたちの放課後を豊かなものにと生まれたのが「学童保育」であり、その後制度化されて現在に至っています。「学童保育」は子どもの遊びを中心とし、生活の場として、異年齢の子どもたちが日々を過ごし、さまざまな体験を重ねていくことを「日常」とし「文化」としてきました。そこには学校の教科学習とは異なる豊かな学びがあります。子どもたちの安全を守ることととともに歴史的に築かれてきた豊かな実践についても継承し発展させていただきたいと思います。「放課後児童支援員」の資格取得には県の「認定資格研修」を受講し、修了することが必要とされています。県はどのような研修を行い、現在資格取得者は何人になっていますか。今後の実践交流などを通じて、支援員の力量を高める研修をおこなうべきと考えますが、見解を伺います。

 

 

富松文夫 私学振興・青少年育成局 青少年育成課長

 

 本県で行います放課後児童支援員認定資格研修につきましては、研修の科目、時間数等につきまして国が定めるガイドラインに基づき実施しているところでございます。

 放課後児童支援員として必要となる子どもを理解するための基礎知識、クラブにおける子どもの育成支援など必要な知識や技能の習得のために、平成27年度から、県内4地区におきまして毎年度10回程度実施しておりまして、これまでの7年間で5,650人を認定しております。

 さらに、実務経験5年以上の放課後児童支援員等を対象といたしまして、発達障がいや虐待を受けた児童といった特別な配慮を要する子どもに対する支援方法などを学ぶ研修を、平成29年度から実施しておりまして、職員の資質向上を支援しているところでございます。今年度は県内4地区において計8回開催しております。

 

 

立川由美 委員

 

 児童支援員の質の向上は県の重要な役割です。研修や交流を充実していただくよう重ねて要望しておきます。

 最後に、「福岡県放課後児童クラブ利用料減免事業補助金制度」について伺います。わが会派は、クラブを必要としている低所得世帯の子どもたちが経済的な理由で利用できない事態をなくすための支援制度を何度も県に求めていました。2017年から始まった県単のこの制度は、生活保護世帯及び市町村民税非課税世帯に該当する児童の利用料の減免を行うもので、経済的な理由から放課後児童クラブを利用できない児童をなくす上で、大きな役割を果たしていると考えます。昨年度実績と来年度予算について明らかにしてください。コロナ禍の生活苦が子育て世帯を襲っていることから、さらなる制度の拡充について検討していただくとともに、国に対しても支援制度を求めていただきたいと考えますが、見解を伺います。

 

 

富松文夫 私学振興・青少年育成局 青少年育成課長

 

 県では、生活保護世帯及び市町村民税非課税世帯に対する利用料減免に必要な経費を県単独で市町村に助成をしております。

 当該事業におきます令和2年度決算額、これは4995万3千円でございます。令和4年度予算額は、6597万7千円をお願いしているところでございます。

 県といたしましては、児童が家庭の経済状況にかかわらず放課後児童クラブを利用できるよう、国に対しまして、全国統一の制度として利用料無償化制度を創設するよう要望を行っているところでございます。

 

 

立川由美 委員

 

 国に対して利用料無償化制度を要望をしているという前向きの答弁をいただきました。放課後児童クラブが児童の安全と豊かな教育に資するよう、職員の処遇改善と質の向上、広さや人数などの条件整備に加え、利用料が無償となるよう、今後も取り組んでいただくことを要望し、私の質問を終わります。ありがとうございます。

 

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