● 22年06月16日 県議会報告

2022年6月15日 2022年6月定例会一般質問 立川由美県議「痴漢・盗撮対策について」(大要)




2022年6月 6月定例会・立川由美議員一般質問 答弁(大要)


 
 

<痴漢・盗撮対策について>

 
立川由美 議員
 

 日本共産党の立川由美です。通告に従い、福岡県における痴漢・盗撮対策について質問をします。
 痴漢は性暴力です。それにもかかわらず、これまで日本社会での扱いは大変軽く、被害者は泣き寝入りせざるを得ない現状があります。日本共産党福岡県議団は、WEBによる痴漢・盗撮の実態アンケート行い、100名を超える方から回答をいただきました。62%の方が「被害を受けた」と答えており、被害の内容は、「お尻を触られた」が60.3%と最も多く、「胸を触られた」「性器を触られた」「性器を押しつけられた」「蹴られた」などの身体への接触が多く、ほかにも「盗撮された」という被害などがありました。「被害を受けたときどうしましたか」の問いに対しては、「声を上げた」が15%、「助けを求めた」が13%など、行動できた人はわずかで、恐怖や驚きで体が固まり、声を上げることができなかった人が大半です。
 アンケートの回答で、被害にあった年齢は、10代が37.5%ともっとも多く、被害場所は「電車・駅構内」が6割近くを占めています。他のアンケートでも示されているように、高校生の電車での被害が突出しているといえます。今年の受験シーズンには受験生をターゲットに「受験日は訴えられにくいから、痴漢のチャンス」など、痴漢行為を煽るSNS投稿がニュースになりました。今回のアンケートにも「大学受験のため、初めて満員電車に乗ったときに痴漢にあった。身動きがとれず、最寄りの駅で途中下車するのが精いっぱいだった」「試験には間に合ったが集中できなかった。可能な限り満員電車には乗らないようにしている」という声も寄せられました。受験日の痴漢は人生を左右する卑劣な犯罪ですが、通常の学校生活であっても、性被害の直後に授業や試験を受けていることを思うと、その対策は急務と言えます。
 アンケートの記述欄には、「高校生の時は回数を数えられないくらい痴漢被害に遭った。1日2回など、思い出すだけでも苦しくなる。そのせいで不登校気味になり、ストレス過多で健康被害に及んだ」「大学に進学して西鉄大牟田電車で通学し始めると、朝、ラッシュの中でしょっちゅう痴漢に遭うようになった。今思い出しても何も言えなかった自分が悔しくてたまらない。時間を巻き戻して、あの時の痴漢に抗議したい。」「本当に嫌な思い。気力が削られる。損だと思う。仕事や学校に行くのに余計なことを考えなければならない」「性的消耗品であって人ではないんだ、この国では女性は、という気持ちでいっぱいです」など、胸をえぐられる声があふれています。
 そこでまず、県警にお伺いします。県警としても昨年被害調査を行い、痴漢・盗撮対策に取り組んでおられると承知しています。交通事業者と協力し、「痴漢は犯罪です」などのアナウンスや、ポスター掲示などを強めていただきたいと思います。県内の痴漢・盗撮の直近3年間の検挙件数、および、県警としての取り組みをお示しください。
 受験シーズンの対策強化については、わが会派からも直接お願いしたところですが、どのような対策をおこなっているのかお答えください。
 次に、知事に要望と質問です。本県では「福岡県性暴力根絶条例」で痴漢と性暴力と明確に位置づけ、「性暴力被害者支援センターふくおか」では痴漢・盗撮の相談にも応じています。しかし、このことはあまり知られていないのではないでしょうか。他にも、痴漢被害による精神的なダメージについても医療費やカウンセリングの公費支援が受けられることなど、制度の周知が必要だと考えます。アンケートには、痴漢被害について、相談対応できるアプリをつくってほしいという声がありました。岐阜県や滋賀県では性暴力相談専用のLINE公式アプリを実際に開設しています。警察や相談センターにつなげ、対策を行うのに有効ではないかと考えます。検討することを要望します。
 本県では痴漢も含めた性犯罪の加害者に対して、加害者プログラムを実施しており、重要な取り組みだと評価しています。その実施状況についてお示しください。
 最後に、教育長にお伺いします。痴漢被害が高校生に集中していることは、各調査からも明らかですが、県教育委員会として、高校生等の被害の実態についてどのように把握をされていますか、お尋ねします。また、今回のアンケートでは、友達には、話をしていても、学校に報告をしたという実態が見えません。警察に届けた方から「事細かに聞かれ時間もかかったため、警察にはいきたくない」との回答がありました。学校が相談や報告の窓口になり、情報を共有することは、被害者支援の面でも、加害者を検挙する上でも有効ではないでしょうか。相談機能の強化について、教育長の見解をお伺いします。
 今回のアンケートでは、「痴漢・盗撮被害をなくすための対策」として、「性教育」「人権教育」の充実を望む回答が圧倒的でした。日本における性教育は、小学校5年生の理科で「人の受精に至る過程は取り扱わないものとする」と特記されるなど学習指導要領に、いわゆる「はどめ規定」が残されています。しかし、世界的には、青年期までのすべての年齢を対象に、日常生活のすべての局面に対応できるよう、性的発達のさまざまな段階の学習課題を準備する「包括的性教育」がスタンダートとなっており、日本の性教育が遅れているといわれています。2023年度からは文部科学省が推進する「生命の安全教育」が本格実施となる予定ですが、これは「性犯罪・性暴力対策」の一環としての側面が強く、限界があるとも指摘されています。ユネスコの「国際セクシャリティ教育ガイダンス」に示される包括的性教育を本県としても取りいれ、犯罪防止だけにとどまらない「性に関する指導」をすすめるべきだと考えますが、教育長の見解を伺います。

 


 
服部誠太郎 知事
 
性暴力加害者対策の実施状況について
 

 ご答弁を申し上げます。性暴力加害者対策の実施状況についてお尋ねがございました。
 本県では一昨年5月に、「性暴力加害者相談窓口」を開設をいたしまして、子どもに対する強制わいせつや強制性交等の罪で服役し、出所後5年以内に本県内に居住する人からの住所等の届出や、性暴力加害者及びその家族からの相談を受け付けているところでございます。
 開設以来、支援の要請や相談があった157人のうち101人に対して、加害行為を繰り返さないよう、専門スタッフが、個別に心理療法の一つでございます認知行動療法を取り入れた再犯防止専門プログラムの実施や、専門医療機関の紹介などを行っております。
 残りの56人につきましては、再犯防止専門プログラムまでの支援の必要性は認められないことから、電話や数回の面接で対応をしておるとこでございます。
 また、プログラムの実施につきましては、昨年度までは平日の17時まででございましたが、日中働いている利用者も多ございますことから、今年4月からは、週2日、21時まで時間を拡大し、利便性の向上を図っているところでございます。

 
 
吉田法稔 教育長
 
高校生の痴漢被害への対応について
 

高校生の痴漢被害への対応についてでございます。
各学校におきましては、痴漢など性暴力の被害を含め、不安や悩みを抱えて普段と様子が異なる生徒への声かけや、生徒から教職員等への相談を通して、生徒の実態を把握しております。
これらの相談等を通じて、被害を把握した場合は、警察に情報提供を行い、登下校における生徒の安全確保への協力を求めております。
また、生徒が安心して相談できる環境を構築するため、県立高校におきましては、スクールカウンセラーの全校配置など相談体制の整備・充実に加え、電話、メール、LINE等による多様な相談窓口の周知を図っているところでございまして、引き続き、生徒の安全安心の確保に取り組んでまいります。

 
学校における性に関する指導について
 

 学校における性に関する指導についてでございます。
 学校におきましては、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達の段階を踏まえ、心身の発育・発達や生命の尊重、望ましい人間関係の構築などの内容を、教育活動全体を通じて指導をいたしております。
 こうした学習により、性に関して正しく理解し、自他の人格を尊重する態度を身に付けることで、性犯罪防止も含め、適切な意思決定や行動選択ができる児童生徒の育成を図ってまいります。

 
 
岡部正勝 警察本部長
 
県内における痴漢・盗撮の直近3年間の検挙件数及び県警察の取組みについて
 

 県内における直近3年間の痴漢・盗撮の検挙件数及び県警察の取組みについて、お答えをいたします。
 まず、痴漢の検挙件数につきましては、過去3年間で年間110件から130件、盗撮につきましては250件から290件で推移しております。
 次に痴漢・盗撮の対策につきましては、発生実態を分析し、多発時間・場所における警戒・検挙活動を行うほか、防犯アプリ「みまもっち」による自主防犯行動を促すための情報発信などを行っております。
 特に電車内と駅構内の対策といたしましては、警察官による不審者へ声掛けや、犯人の検挙活動をはじめ、鉄道事業者等と連携したポスターの掲示やアナウンスにより、「痴漢や盗撮の犯罪行為を思いとどまらせる」、あるいは、「被害者や目撃者からの通報や相談を促す」メッセージの発信などを行っております

 
受験シーズンにおける対策について
 

 次に、受験シーズンの対策についてお答えを申し上げます。
 昨今、SNSで受験生を狙った痴漢行為をあおる投稿が散見されるため、受験生が安全で安心して会場に赴くことができるよう、電車内や駅構内で警察官による警戒活動を行うとともに、鉄道事業者と連携して痴漢・盗撮の未然防止を図っております。
 県警察といたしましては、引き続き、鉄道事業者等関係機関と連携し、痴漢・盗撮の未然防止に全力で取り組んでまいります。

 


 
〈要望〉
 
立川由美 議員
 

 ご答弁ありがとうございます。知事に要望します。海外の旅行ガイドブックで、「日本は安全な国だけれども、電車内ではCHIKANは例外的なリスク」と注意喚起されていることは、恥ずかしい実態ではないでしょうか。県警、学校、県の相談センターなどが情報を共有し、福岡県から痴漢盗撮を根絶するための対策を強化していただくよう強く求めます。また、駅の無人化は、痴漢・盗撮抑止の観点からも大変憂慮すべきことだと考えます。交通事業者とも情報共有し、必要な協力を求めていただくことを合わせてお願いし、質問を終わります。



2022年6月議会・立川一般質問と答弁(PDFファイル)

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