● 22年10月03日 県議会報告
2022年10月3日 2022年決算特別委員会 高瀬菜穂子委員 質疑・答弁「国民健康保険について」(大要)
2022年10月3日9月定例会(予算特別委員会)高瀬菜穂子委員質疑(大要)
<2022年決算特別委員会>
2022年10月3日
国民健康保険について(大要)
高瀬菜穂子 委員
2018年度から都道府県が市町村とともに国民健康保険の保険者となり、4年が経過しました。しかし、依然として保険料・税は高く、重い負担の中、コロナと物価高騰が追い打ちをかけています。
まず、本県国保の加入状況について伺います。国保の加入世帯、被保険者数と65歳以上の高齢者の割合を明らかにしてください。
庄島正浩 医療保険課長
また、国保被保険者全体に占める65歳から74歳までの割合は、令和2年9月末時点では、42.9%となっております。
高瀬菜穂子 委員
ここで、2017年度と2021年度のモデル世帯の保険料など国保の関連資料を要求しておりますので、委員長、お取りはからいをお願いいたします。
〈資料要求〉
庄島正浩 医療保険課長
高瀬菜穂子 委員
広域化になる前の2017年とそして昨年度の保険料を出していただきました。モデル世帯は40歳代夫婦と二人の子どもの4人世帯、そして各市町村の国民健康保険料ですけれども各年度の「国民健康保険実態調査」による一世帯当たりの平均所得を用いてもらっています。上に書いてありますように平成29年度は給与収入225万、令和3年度で202万3千円となってますので、平均所得が5年間で約20万円下がったということです。保険料も下の表を見ますと、やや下がっている自治体が多くなっていますけれども、それでも、モデル世帯で計算すれば約20万円もの負担があるわけです。これはだいたい協会けんぽの2倍ということになってます。高すぎると思うんですけれども、保険料についてどのように認識されているでしょうか。
庄島正浩 医療保険課長
高瀬菜穂子 委員
資料の②ですけれども、これは滞納世帯数・短期被保険者証交付世帯数それから資格証明書の交付世帯数を出していただいております。滞納世帯は、昨年度、70万世帯のうちの約7万世帯、1割が滞納世帯です。そのうち短期被保険者証の交付が59市町村で26,477世帯。資格証明書の交付が44市町村で12,915世帯となっています。
滞納世帯の半数以上は、所得100万円以下です。低所得が滞納を生んでいるというふうに思います。払いたくても払えないそういう状況ですよ。短期保険証、特に窓口10割負担の資格証明書の交付というのは、命にかかわります。全日本民医連が毎年「手遅れ事例」というのを発表していますけれども2021年は全国で45事例あったと、そのうち福岡県は最も多い9例が示されました。「無保険で病院に来るのが遅れた」、「窓口負担が払えない」と受診抑制があった。「がんと診断されていても病院に行かない」、「運ばれてきたときは全身に転移していた」、「コロナで仕事や収入が減ったため受診をためらった」等々、の事例が報告されております。
すでに、「資格証明書を交付して制裁を強めても、国保料収納率の向上につながらない」というふうに判断して、名古屋市のように資格証明書の交付をやめた自治体もあります。本県は、民医連の調査に現れたように、医療保障という点で極めて深刻な状況に置かれていると思うんです。実際、滞納者を制裁し、保険料を払えといっても、払えない。そして手遅れになっている。本県においてもこの資格証明書の交付というのをやめて、医療を保障するとそういうふうにすべきではないでしょうか。
庄島正浩 医療保険課長
資格証明書の交付後も、被保険者が医療を受ける必要が生じ、医療費の一時払いが困難である旨の申し出を行った場合には短期被保険者証が交付され、医療機関において通常の窓口負担で受診が可能となります。
県としましては、このような制度の趣旨を踏まえまして、被保険者の個別の状況に応じたきめ細かな対応を行うよう、市町村に助言をしております。
高瀬菜穂子 委員
次に、資料③④⑤について簡潔にご説明ください。
庄島正浩 医療保険課長
直近の令和3年度を見ますと、約76億9千万円となっております。
資料④は、新型コロナウイルス感染症の影響による国民健康保険料(税)の減免・傷病手当金の支給状況の一覧です。
保険料(税)減免世帯数は令和3年度納付分で6,347世帯、傷病手当金支給被保険者数は、3年度分が7月末現在で95件となっております。
資料⑤は、最近5年間の一部負担金減免実施状況の一覧です。
直近の令和3年度を見ますと、減免件数888件、減免総額は約8千7百万円となっております。
高瀬菜穂子 委員
市町村の法定外繰り入れについては、国保の被保険者負担を抑えるため、必要に応じ今後も認めていくべきだと考えますが見解を伺います。
庄島正浩 医療保険課長
しかしながら、県内の多くの市町村で法廷外繰入、繰入等が行われており、これらの市町村は、法定外繰入等の解消や削減に取り組むことにより、財政収支の改善を図る必要があると考えております。
高瀬菜穂子 委員
次に、資料④の「コロナの減免」ですが、コロナ禍が続く中で昨年度は対象者が減っています。コロナ禍の収束は見通せず、手遅れ事例でもコロナの影響がみられることからも、十分に被保険者に寄り添う制度として機能させていただきたいと思います。コロナ減免制度とともに、傷病手当金が限定で、期間限定でつくられました。この制度は長年にわたり、国保の関係者が要求してきたものです。これを、コロナの期間だけではなく、制度として定着させるべきだと考えます。見解を伺います。
庄島正浩 医療保険課長
国の財政支援終了後の傷病手当金の支給は保険者であります市町村の財政負担を伴うものであるため、各市町村国保の財政状況や手当支給の必要性を検討の上、各保険者における判断であると考えております。
高瀬菜穂子 委員
資料⑤の国保法44条に基づく一部負担金減免制度、本当に活用されてないんですよね。災害時の適用がそのほとんどを占めています。高い保険料を払っても、窓口負担の重さから病院に行けないという人が少なくありません。窓口負担ゆえに、医療抑制につながっている例は、私の身近にもたくさんあります。結局重症化してしまい、医療費負担が増大するということも起こっています。国保法44条に基づく一部負担金減免制度を機能させるためには、「収入の激変」などの条例上の要件をなくし、必要な人が受けられる制度にすべきと考えます。そもそも制度自体が知られていないという問題もあります。周知とともに、適切に柔軟に使える制度としていただきたいと思いますが見解を伺います。
庄島正浩 医療保険課長
県といたしましては、市町村に対して、被保険者に対し十分な情報提供ときめ細かな相談対応を行うよう、引き続き助言をしてまいります。
高瀬菜穂子 委員
現状では、民間病院が負担を伴いながら実施している無料低額診療で年間延べ40万人以上の医療を保障されています。本来ならば国保法44条が適用されるものだと考えます。制度自体の改善を本気で取り組んでいただくよう重ねて要望します。
最後に、今年から、実施に移されました未就学児にかかる均等割保険料・税の5割軽減について伺います。対象となる未就学児は県全体で何人でしょうか。また、10割軽減にするにはあとどれくらいの財源が必要でしょうか。
庄島正浩 医療保険課長
その未就学児につきましては、今年度から、国・県・市町村の取組みとしまして、子育て世帯の経済的負担軽減の観点から、均等割保険料の一部を公費により負担し、5割を軽減しております。
仮に、10割を軽減する場合、県の当初予算の見積りを基に試算しますと、国・県・市町村で、合計約2億5千6百万円余の追加負担が必要となります。
高瀬菜穂子 委員
国保について昨年度の実績を中心に質問してまいりましたけれども、いまだ高すぎる保険料負担が、低所得者の医療保障に重大な影響を及ばしているということを指摘せざるを得ません。国に対し、国保への投入額を大幅に増やすよう協力に求めていただくことを重ねて要望しまして質問を終わります。ありがとうございました。
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-要求資料PDF-
滞納世帯・短期保険証交付世帯・被保険者資格証明書交付世帯数
市町村国保法定外繰入額
一部負担金減免実施状況