● 23年03月09日 県議会報告
2023年3月9日 2023年予算特別委員会 高瀬菜穂子委員 質疑・答弁 「後期高齢者医療の保険料負担について」(大要)
2023年3月9日 2月定例会(予算特別委員会)高瀬菜穂子委員質疑(大要)
<後期高齢者医療の保険料負担について>
高瀬菜穂子 委員
おはようございます。日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従いまして、後期高齢者医療の保険料負担について質問いたします。
福岡県の後期高齢者医療の保険料率等の推移など3つの資料を執行部にお願いをしておりますので、委員長、お取りはからいをお願いいたします。
庄島正浩 医療保険課長
ご説明申し上げます。
まず資料の①でございます。福岡県の後期高齢者医療の保険料率等の推移でございます。直近の令和4・5年度の保険料では、均等割額は、全国で2番目、所得割率は4番目、被保険者1人当たり平均保険料額は8番目の高さとなっております。一枚おめくりいただきまして、資料の②でございます。福岡県後期高齢者医療広域連合における剰余金及び運営安定化基金残高の推移でございます。上段の表、収支の状況の第7期・令和3年度におきましては297億円余の黒字となっております。下段の表、運営安定化基金は平成28年度に設置されまして、第7期・令和3年度末の基金残高は124億円となっております。一枚おめくりいただきまして、資料の③でございます。福岡県後期高齢者医療財政安定化基金残高の推移でございます。第7期・令和3年度末の基金残高は62億円余となっております。
高瀬菜穂子 委員
ありがとうございました。
資料を見ますと、一番目の資料ですね。均等割額と所得割率ですけれども、第8期においては2位と4位ですが、それまでは均等割額は全国順位はずっと1位でした。全国ずっとトップクラスで大変な保険料負担の重さになっていると思います。このことについてどのような所見をお持ちでしょうか。
庄島正浩 医療保険課長
後期高齢者医療制度におきましては、給付費の約1割を保険料として負担していただく仕組みとなっておりまして、本県におきましては、入院が長期化する傾向にあります疾病で医療機関にかかる割合が高いこと、医療提供体制が充実していること、後期高齢者1人暮らしが多いこと、就業率が低いことといったような理由によりまして、一人当たりの高齢者医療費が全国で2番目に高い状況となっております。これを反映しまして、保険料も高い水準になっていると考えております。
高瀬菜穂子 委員
医療費が高いから保険料も高くなっているというご説明なんです。しかし、医療費が高い分、基金の取り崩しなど行って、保険料を抑制している県があるわけで、本県の高齢者の経済状況を見たとき、日本一高い保険料を長年課しているということに対してはですね心が痛みます。わが党が実施しました県民アンケートには、「国保、介護保険と並んで、後期高齢者医療の保険料負担を軽くしてほしい」というのが要求のトップなんです。物価高騰も重なっております。本県高齢者の生活はますます追い込まれていると考えます。「病院に行くのを控える」という声もあるわけで、そうなりますと、重症化や手遅れ事例で逆に医療費が増すということも懸念されます。
保険料率が1~2位なのに、平均保険料額、先ほど8位というふうにお答えがあったんですが、8位になっている。大体5位から8位に推移しておりますけれども、これは低所得者に対する軽減措置が行われたためだというふうに思います。7割、5割、2割の均等割軽減の対象者、それぞれどのくらいいらっしゃるのか、お答えください。
庄島正浩 医療保険課長
自衛隊基地の施設整備及び運用につきましては、国家・ 後期高齢者医療制度におきましては、低所得世帯に属する被保険者につきまして、法令に基づき、保険料の均等割額を所得に応じて7割、5割又は2割軽減するという措置が講じられております。
令和3年9月末現在、福岡県の被保険者約697,000人のうち軽減措置の対象者は、7割軽減が約316,000人(45.3%)、5割軽減が約87,000人(12.5%)、2割軽減が約78,000人(11.2%)となっております。
高瀬菜穂子 委員
7割軽減の方が実に半数近い45%もおられ、5割軽減、2割軽減を含め全体で69%、約7割の方が軽減措置を受けておられると、これは低所得層が多いということの証左であると思います。そういう中にあって、全国トップクラスの保険料を課しているという点について、重く受け止めていただきたいというふうに思うわけです。
そこで、「保険料負担を軽くしてほしい」という声に応え、剰余金及び基金の活用をすべきだと考えますが、広域連合の活用状況はどうなっているでしょうか。
庄島正浩 医療保険課長
後期高齢者医療制度の保険料は、2年を単位とする財政運営期間ごとに設定されます。
国は、次の財政運営期間における保険料算定するに当たりまして、現財政運営期間で生じた剰余金は、原則、全額を次の財政運営期間における収入として繰り入れられるべきものとしております。
広域連合におきましても、財政運営期間ごとに生じた剰余金は、超過交付された国庫支出金等の償還財源を除きまして、全額を次期保険料の増加抑制に活用しております。
また、広域連合が設置しております運営安定化基金は、後期高齢者医療に係る保険給付財源から保険料率の調整財源として充当することを目的とするもので、被保険者の保険料負担が大幅な増加を可能な限り抑制し、中長期的に安定した保険料率の設定を図ることができるよう設置されたものでございます。
当該基金は、被保険者の保険料の負担が大幅に増加することのないよう、必要なときに、保険料率を安定させるための財源として活用されておるとこでございます。
高瀬菜穂子 委員
剰余金は見込みが高かった、つまりは予測よりも病院に行かれなかったとかですね、そういった理由でもって余ったお金、取りすぎたお金ですから、翌年の保険料の抑制に回すのは当然だというふうに思います。基金の方は、資料を見ますと令和元年から3年間、取り崩しが行われ、保険料の抑制に使ったと思われますが、それでも、均等割額は先ほど見たようにほぼ横ばいです。安定的というのは、前年並みであればいいっていうことなんでしょうか。昨今の物価高、エネルギー高騰の中で、「これ以上の節約はできない」と悲鳴を上げている、低所得の本県高齢者に対して、全国トップレベルの保険料を引き下げる努力をしていただきたいと切に願います。広域連合の基金も活用は可能であると考えますが、保険料の抑制に使うことのできる本県財政安定化基金については長年積み増しを行っていません。資料の③ですね。本県でも、平成22年、24年、25年には、この基金を使って保険料の増加抑制を行いました。厚労省は、標準拠出率を0.039%と定めています。なぜ標準拠出率0.039%、積み増しを行わないのでしょうか。この基金を活用して保険料を抑えるべきだと考えますが、見解を伺います。
庄島正浩 医療保険課長
保険料の改定の際には、保険者であります広域連合は、医療給付費の伸びと剰余金の発生状況や運営安定化基金の残高を的確に見込んだ上で、保険料を算定し、県に協議をされます。
県としましては広域連合からの協議を受け、平成26年度以降、広域連合の剰余金や運営安定化基金の活用によりまして、保険料の急激な上昇を抑制することができたため、県の財政安定化基金を活用しませんでした。また、61億円という基金残高があれば、予期せぬ給付費の増加や収納率の悪化にも対応できると判断したことから、財政安定化基金の積み増しを行わなかったものでございます。
なお、基金を取り崩すことによりまして、その後の想定外の財源不足に対応できなくなる恐れがある場合には、拠出者である国、広域連合と協議を行いまして、必要額の積み増しを行ってまいりたいと考えております。
高瀬菜穂子 委員
必要な場合に、必要な場合にですね、これから協議を行っていくということなんですけど、まさに今、必要な時じゃないかというふうに私は思うわけです。国はですね、この基金を保険料の抑制に活用できるようにしたわけですよね。平成22年ですね。ですからそれを使って県も資料にありますように、かなりの額ですね、22年には31億、24年には25億、25年にも25億使って、抑制をはかっています。それでもずっと均等割額は全国トップレベルだったわけなんですよね。私はずっとゼロのまんまっていうのはあんまりじゃないかと思うんです。県が標準である0.039%、これ大体30億ぐらいですか、40億ぐらいですか、なると思います。そうするとその3分の1を県が出せば必ず国もあと3分の1を出すと。そうして広域連合さんにもあと3分の1をお願いしようといけなくなりますが、しかしそれらのお金は保険料の抑制に使えると。広域連合に交付できるという仕組みですよね。この仕組みを使って、今高い保険料をですね、何としても下げてもらいたいと思うんです。実際ですね医療費が高いから保険料が高くなるとおっしゃるんだけれども、一人あたりの医療費のランキング、全国のランキングを見ますと、保険料と全部リンクしているわけではありません。例えば、今回医療費が1位になっているのは高知県ですが、高知県は均等割もそれから所得割率も本県よりも低く抑えています。以前から基金を活用しているというふうに聞いています。そうした努力が全国でされている中で、本県のこの保険料というのを引き下げるための努力、もっと出来るんじゃないかというふうに思います。基金の積み増しをですね、ぜひともお願いしたい、そして保険料の抑制に広域連合と共に取り組むことを強く要望いたします。
次に、窓口負担について伺います。昨年10月から、後期高齢者医療の窓口負担が2割導入されました。2割が導入されました。その影響はどのくらいの人数に及んでいるのかお答えください。
庄島正浩 医療保険課長
後期高齢者医療の窓口負担2割につきましては、令和4年度以降、団塊の世代が後期高齢者となり始めることで、後期高齢者支援金の急増が見込まれる中、若い世代の保険料負担の上昇を少しでも減らすため、一定の所得がある後期高齢者の窓口負担割合が1割から2割に見直されたものでございます。
広域連合によりますと令和5年1月末時点で、本県の被保険者約729,000人に対しまして、2割負担となる方は、約131,000人となっております。
高瀬菜穂子 委員
75歳以上の方は約73万人にもなっているということですね。そのうちの131,000人ということですから、18%の方が対象になっています。経過措置があっても、負担が増大することに変わりはありません。保険料とともに、非常に大きな負担となっていることを指摘しておきたいと思います。
最後に、医療給付費を減らすには、健康診断など保健事業が特に重要だと考えます。これは県の方でも努力をされている分野だと思います。後期高齢者の健診の目標及び実績を明らかにしていただきたい。県としてのこうした事業に対する補助はどうなっているでしょうか、お尋ねします。
庄島正浩 医療保険課長
健診の受診率は、広域連合の保健事業実施計画におけます令和3年度の目標値15%に対しまして、同年度の実績が12.47%となっております。
これは、平成28年度の実績受診率5.08%から7.39ポイント上昇しております。
なお、健康診査に要する経費につきましては、国が3分の1を補助することとなっておりまして、県としての補助は実施しておりません。
高瀬菜穂子 委員
目標が15%というのは低すぎるのではないでしょうか。しかも、その低い目標も達成されていないということです。医療費の抑制には、早期発見早期治療が重要であることは言うまでもありません。広域連合は、健康診断の自己負担500円に対し、県が補助してほしいと何年にもわたって要望されていました。ついに県は予算をつけず、国の3分の1補助のみで、健診率も上がっていないのが実情です。これでは、医療費の抑制にもつながらないのではないでしょうか。県の姿勢を変えればできるということ、今回指摘しましたようにたくさんあります。基金の積み増し、保険料の抑制、健診事業への補助、そして国に対し制度改悪をしないようにものを言うこと、こういったことをですね、ぜひ行っていただきたいと、このことを重ねて要望しまして、質問を終わります。よろしくお願いします。
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