● 23年03月10日 県議会報告

2023年3月10日 2023年予算特別委員会 高瀬菜穂子委員 質疑・答弁 「鳥獣被害対策、放置竹林対策について」(大要)



 

2023年3月10日   2月定例会(予算特別委員会)高瀬菜穂子委員質疑(大要)

 
 

<鳥獣被害・放置竹林対策について>

 
 

高瀬菜穂子 委員

 

日本共産党の高瀬菜穂子でございます。通告に従いまして、鳥獣被害・放置竹林対策について質問いたします。
野生鳥獣による被害については、本会議および委員会でもたびたび取り上げられてまいりまして、先ほども中嶋委員からも質問があったところです。私も2016年に一般質問で取り上げ、その際、地元小倉南区で大問題となっていたサルの対策を評価するとともに、イノシシ等の鳥獣対策には、捕獲報奨金の県独自の上乗せが必要ではないかと提案をいたしました。
国においては2007年に鳥獣被害防止特別措置法を制定し、その後改正もされ、本県においてもさまざまな取り組みが行われたと承知をしております。しかし、それでも、有害鳥獣による被害は深刻であります。「収穫の寸前にイノシシが暴れて、稲をダメにした。心が折れる。」と「一夜にして芋を掘られた」とこういう話をよく聞きまして、胸が痛みます。もう力尽きたと農業をやめた方もあります。大変残念なことです。また、「小倉南区では以前はあまり見られなかったシカを見るようになった」との話も聞いております。様々な対策を行ってもなお、本県の野生鳥獣による農作物被害額は、北海道についで全国第2位であります。そこで、改めて、鳥獣対策の実態と対策について、お聞きいたします。重複を避けて質問したいと思います。
まず、事前に、鳥獣の種類ごとの本県の農林水産物被害の推移などの資料を執行部にお願いしておりますので、委員長、お取りはからいをお願いいたします。

予特 第6款農林水産費①~③のサムネイル

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 先ほどの中嶋委員の質問でですね、鳥獣被害の実態、それからそれに対する県の受けとめ、見解は、話されましたので、そこは省略いたしまして次に行きたいと思います。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 農林水産省は、シカ、イノシシの生息頭数を平成23年度(2011年度)からの10年間で半減させるという目標をかかげています。来年度2023年度がその目標年次ですが、県としての達成状況はどうなっているのかということが気になりますが、本県としての目標ですね、これについては改めてお答えいただけたらと思います。お願いします。

 

 

山口聡 農山漁村振興課長

 

 県では、農林水産物の被害軽減などを目的に、シカとイノシシについて、第二種特定鳥獣管理計画を策定しております。
 シカについては、毎年、前年度の被害額から4.5%ずつ低減させ、令和8年度までに7,000万円未満に抑えることを目標としております。
 イノシシも同様に、毎年、前年度の被害額から4.5%ずつ低減させ、令和8年度までに2億5,000万円未満に抑えることを目標としております。
 この計画の目標達成に向けですね、侵入防止策の計画的な導入を進めるとともに、狩猟期間に延長や狩猟者の確保などにより、捕獲を強化することとしております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 県の目標は、頭数の半減ではなくて、被害額を前年比4.5%低減することに置かれています。先ほども説明がありましたが、国が示した捕獲目標を県はクリアしているということでした。県の被害額を減らす目標、それ自体は重要であると思いますけれども、被害額だけではなく、実際に減っているのか、頭数がどうなっているのかということが問題だと思います。県の「第二種特定鳥獣管理計画」(第7期)によりますと、イノシシは令和2年度で3万頭、シカは1万1,000頭捕獲しています。これまでの取り組みの規模で目標は達成されるのか、国が示した捕獲目標で本当に生息数を半減できるのか、疑問が残ります。農林水産物の被害を抑える目標とともに、管理頭数、生息数についても明確な目標をもち、必要な施策をとっていただきたいというふうに思います。
被害の減少に向けて、捕獲を強化していくとの答弁をされました。担い手である狩猟者について伺います。提出いただいた資料ですね、②番目の「狩猟登録者数の推移」について、ご説明をお願いします。

 

 

山口聡 農山漁村振興課長

 

 資料②は過去5年の狩猟者登録数の推移を示しております。銃猟は、近年、減少傾向にあるものの、網猟やわな猟は、増加傾向にあり、狩猟登録者数全体では、3千人レベルで推移しております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 狩猟登録者数は3千人レベルで推移しているんですけれども、鳥獣被害を減らすためには、狩猟者をさらに確保する必要があると考えます。狩猟者の確保に向けて、県としてはどのような取組みを行っているのかお答えください。併せて、その実績について伺います。

 

 

山口聡 農山漁村振興課長

 

 県では、新たな狩猟者を確保するため、狩猟免許の取得経費を助成するとともに、狩猟試験の回数を年2回から4回に増やしております。
 この結果、令和3年度の狩猟免許の合格者数は、483人と、最も合格者が少なかった平成22年度の184人に比べ、大幅に増加しております。
 また、狩猟者を育成するため、狩猟免許の取得者を対象に、わなの設置や猟銃の取扱いに関する研修会を開催するとともに、今年度から、新たに、狩猟現場において、ベテランの狩猟者がマンツーマンで指導を行う取組みを開始しております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 狩猟免許の合格者は増えているとのお答えですが、資料を見ますと、銃猟の登録者は残念ながら減り続けています。狩猟者からは、「鳥を捕獲しても弾代の費用の方が高くつく」との声もあるように、やはり、捕獲に見合う報酬が必要だと考えます。本県としても独自に予算を措置し、捕獲に対する助成を行うことが必要ではないでしょうか。見解をうかがいます。

 

 

山口聡 農山漁村振興課長

 

 県では、「国の捕獲補助金では割に合わない」そういった捕獲従事者の声もあることから、国に対して、捕獲補助金の単価の増額と、十分な財源の確保について、要望しております。
 また、市町村が国の捕獲補助金に上乗せして助成した場合は、特別交付税が措置されることを市町村に周知し、この制度の活用を働きかけているところです。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 国に対して要望することと、市町村に対して、特別交付税を活用するように働きかけるということなんですね。本県の被害額は全国2位ですから、その深刻さを考えたときに、これまで以上の対策が必要になると私は考えます。
全国の自治体でもですね、生息数半減という国の目標達成のために、さまざまな取り組みが行われています。調べましたらですね、例えば、滋賀県では、二ホンジカに対して、県に2つの制度を作って、国県市町村で補助を出し、雌ジカには22,000円、雄ジカには17,000円、幼獣にも12,000円の補助金を払っています。2つの制度のうちのひとつ、特別対策事業補助金においては、県の補助は雌ジカの場合、1頭に対し13,000円です。その成果で捕獲数は15,000頭になったと報告されていました。
栃木県では、イノシシに3,000円、二ホンジカに2,000円の補助を県が行っています。一般会計で県単予算1億7,000万円で行われています。岡山県では、市町村が行う捕獲事業に2分の1補助、上限1頭あたり4,000円の補助が行われています。そしてまた、兵庫県・鳥取県との県境で行われている連携シカ捕獲事業に対しても、同様の助成をしています。愛知県はイノシシの成獣に対して13,000円の上乗せ、幼獣にも6,000円を上乗せしています。鳥取県がアライグマに対して1頭1万円の報奨金をつけるなど、多くの自治体で、さまざまに県が上乗せの補助を行っているんですね。本県でも予算化すべきではありませんか。課長も「国の捕獲補助金では割に合わない」という声があることを先ほど紹介されました。上乗せ措置が行われているところで、数百万円稼ぐハンターが生まれているとのことです。国と市町村にだけいうのでなくて、本県としても、被害額が大きいわけですから、予算をつけて、上乗せを行って取り組んでいただくよう強く要望いたします。
また、先日のですね、日本農業新聞には、愛媛県今治市の研究所が、赤外線カメラを搭載したドローンでイノシシを追跡撮影し、イノシシの行動を予測、適切な場所に箱罠などを設置し、効果的に被害軽減につなげたというふうな記事が載っておりました。こうした新たな技術も取り入れていただきたいと、とにかく有害鳥獣が減っているという実感がなかなかありません。県のこれまで以上の施策をですね、対策を期待したいと思います。よろしくお願いいたします。

次の質問にまいります。放置竹林対策について伺います。
資料③について、ご説明をお願いいたします。

 

 

山口聡 農山漁村振興課長

 

 資料③は、国が5年ごとに行っている全国の森林資源現況調査によりますと、竹林面積の上位3県は、鹿児島県、大分県、福岡県の順となっており、平成29年3月末時点の本県の竹林面積は、13,619ヘクタールで、10年間に14%増加しております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 10年間で14%も増加しております。増加した分というのは、これは管理されていない放置竹林だというふうに考えます。この放置竹林について、県ではどのように認識しているでしょうか。また、放置竹林についてどのような対策を講じているのか、お尋ねします。

 

 

真井浩一 林業振興課長

 

 管理が放棄された竹林は、それに隣接する森林に侵入し、悪影響を及ぼすことから、放置竹林の解消に向けた対策が必要であると考えております。
 このため、県では、市町村や森林組合が実施します放置竹林の伐採とその後の広葉樹などへの植替えや、スギ、ヒノキの人工林に侵入した竹の伐採を支援しているところでございます。
 この結果、令和3年度の放置竹林の伐採面積は、5年前の1.2倍の52ヘクタール、侵入した竹の伐採面積は、1.1倍の176ヘクタールとなっております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 伐採してるんだけれども、さらに5年間に763ヘクタールも増えているということなんですよね。今の資料を見ますと、熊本県、千葉県、京都府ではこの5年間で、面積を減らしています。対策をすれば減らせるということではないでしょうか。対策をさらに進めていただきたいと思うんですけれども、その際にどのような課題があるのか、どのような取組みを行っているのかお答えください。

 

 

真井浩一 林業振興課長

 

 放置竹林対策を進めるうえでは、所有地の境界が不明確であることや、所有者の同意取得を要することが課題であります。
 このため、県では、市町村に対しまして、現地調査による境界確認や、合意形成に向けた地域住民の事業説明会などに要する経費を支援しております。
 今後とも、市町村と連携して、こうした取組みを進め、放置竹林対策、放置竹林の解消に努めてまいります。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 今言われたような課題があることは理解いたしますけれども、増加面積でですね、本県は、鹿児島に次いで2位なんですよね。よほどしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
私は、2016年に本会議でこの問題を取り上げました。その際、当時の小川知事は、竹の活用について、「竹に含まれる機能性成分を活用した園芸作物の病害予防や成長促進につながる農業用資材の開発、竹チップから放出される発酵熱を活用した施設園芸作物の増収技術の開発などに取り組んでおります」と答えられました。その後の経過はどうかというふうに思っているんです。
国においても、竹の利活用推進に向けて、冊子も出してですね、バイオマス発電や、繊維に樹脂などの工業用利用など進めているというふうに報告されています。こうした竹の利活用を進めながらですね、全国トップクラスで増えている放置竹林対策、抜本的に強めていただきたい、利活用も進めながらですね、なんとか私の地域では本当にどんどん増えていて、山のてっぺんまで登ってしまって、里に出てくる。家、家屋を突き破るんじゃないかと言う心配も聞いておりまして、喫緊の課題であります。全国で比べてもやっぱり遅れているとしか言えませんので、是非とも放置竹林対策を進めていただきますように重ねてお願いいたしまして、質問を終わります。

 

 


– 使用したPDF –

鳥獣被害対策、放置竹林対策について

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