● 23年03月13日 県議会報告

2023年3月13日 2023年予算特別委員会 高瀬菜穂子委員 質疑・答弁 「県内自治体の水道料金について」(大要)



 

2023年3月13日   2月定例会(予算特別委員会)高瀬菜穂子委員質疑(大要)

 
 

<県内自治体の水道料金について>

 
 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。通告に従いまして、「県内自治体の水道料金について」質問をいたします。水道事業は、多くが市町村によって行われていますが、市町村とは別の水道事業者が担っているところもありますので、以下「水道事業者」と申し上げます。
 そこでまず、令和2年度の「水道事業者別水道料金及び給水量の一覧」、「水道企業団別供給料金計算方法及び水道事業者別配分水量」の2つの資料を執行部にお願いをしておりますので、委員長、お取りはからいをお願いいたします。




 それではまず一枚目の「令和2年度水道事業者別水道料金及び給水量一覧」の資料の説明をお願いいたします。

 

 

黒岩義治 水資源対策課 水道整備室長

 

 それでは配布いたしました、委員会資料の一枚目「令和2年度水道事業者別水道料金及び給水量一覧」についてご説明いたします。
 資料につきましては、県内4地区別に、家庭で上水道を20㎥使用した場合の令和2年度の水道料金の価格帯ごとに水道事業者を並べたものとなります。数値の列の2番目の計画1日最大給水量は、水道事業者が独自に設定しました目標年度において計画している1日最大給水量となります。数値の列の3番目、4番目には、1日平均給水量、1日最大給水量の令和2年度の実績値を記載しております。右側の水道企業団の配水水量は、構成団体の合意を得て企業団の条例等で定められているもので、数値の左には対象の企業団を記載しております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 これを見ますと県内水道事業者によって、水道料金に大きな差があることがわかります。また、令和2年度本県水道料金の平均は、「福岡県の水道」によると3,799円で過去最高となっています。全国平均との比較では、直近の令和元年(2019年)で、本県3,792円、全国3,298円と、約500円本県の方が高く、ここ10年は、その差は変わっていません。日常生活に欠かせない水の料金が高いということは、県民生活にとって大きな負担であることは言うまでもありません。本県の水道料金が高いということ、また水道事業者によって格差が大きいことについて、どのような認識を持っておられるか、お答えください。

 

 

黒岩義治 水資源対策課 水道整備室長

 

 水道料金につきましては、水道法により能率的な経営のもとに、適正な原価に照らし、健全な運営を確保することができるものでなければならないとされております。
 各水道事業者の水道料金は、この原則に沿って設定されておりますが、
① 地下水や河川、ダムといった水源の種類やその水質といった地理的要因
② 水道敷設年次や水道建設費用の多寡といった歴史的要因
③ 人口密度や水需要構造といった社会的要因
に違いがあるため、水道事業を維持するための収入の基礎となります水道料金は、それぞれ異なります。
 また、水道料金の設定に関しましては、各事業者が議会の議決を得て決定されたものであり、このような各種要因を踏まえた水道サービスの提供と水道事業の経営維持について理解を得た、地域にとって適正な料金となっていると考えております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 適正であるとのお答えなんですけれども、しかし「水道料金が高すぎる」という声は県内であふれております。特に、コロナ禍のもとで、ウイルスの感染拡大を食い止めるため、水道を使う量が家庭でも商店でも増えておりまして、負担感も大きくなっていると考えます。今後、人口が減り、給水人口も減少することを考えますと、水道料金の負担はさらに重くなるのではないかと考えるんですが、今後の見通しについて、県の見解を伺います。

 

 

黒岩義治 水資源対策課 水道整備室長

 

 委員のご指摘のとおり、人口減少や施設の老朽化などに伴い、今後水道事業を取り巻く経営環境は厳しさを増していくことが予想されております。このような中、将来にわたって地域の水道を維持していくためには、各水道事業者は水道事業の経営改善に向けた取組みが求められます。
 水道事業の経営改善につきましては、計画的な施設更新や効率的な維持管理に努めるとともに、水道事業者の広域化による事業の効率化、官民連携の取組みにより費用削減などの経営努力を重ねていく必要があると考えています。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 「今後水道事業を取り巻く経営環境は厳しさを増していく」とのお答えです。県民負担が増えないよう、県として、水道事業者とともに取り組みを行っていただきたいと思います。
 先ほど、ご説明がありましたように、水道料金は、地理的、歴史的、社会的要因があって、水道事業者間で大きな開きがあります。資料を見ますと、20㎥当たりの水道料金が4,000円を超えている水道事業者、計画一日最大給水量と実績との間に乖離があったり、ダム建設による新たな水源からの供給割合が高い、などの特徴が見て取れるというふうに私は思います。中には、計画水量を超えて水道企業団と配分水量を契約している、そういう事業者もあります。ダム開発にあたって、わが党は過大な需要予測を指摘してきましたけれども、そういった背景があることを指摘せざるをえません。
 新たな水源は水道企業団を通じて配分が行われています。使用していなくても用水供給料金を払う「責任水量制」が水道料金を押し上げているのではないかと考えます。水道企業団ごとに基本料金や料金の計算方法が異なっているとのことなので、②の資料に基づき、二枚目の資料に基づきまして簡単に説明をお願いします。

 

 

黒岩義治 水資源対策課 水道整備室長

 

 それでは、配布いたしました委員会資料の二枚目でございます「水道企業団別供給料金計算方法及び水道事業者別配分水量」についてご説明いたしします。
 資料につきましては県内4水道企業団の供給料金の計算方法の及び各企業団構成水道事業者の配分水量をまとめたものとなっております。
 各企業団の料金計算方法につきましては、福岡県南広域水道企業団及び福岡地区水道企業団は配分水量に基づき算出される基本料金と、実際に使用した水量に対する使用料金を合計し、供給料金とする方法、田川広域水道企業団は、使用水量のみに基づき供給料金を算出する方法、京築地区水道企業団は、配分水量に基づき供給料金を算出する方法を採用しております。
 また表の右端に構成水道事業者別の配分水量を記載しております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 ご説明をいただきましたけれども、それぞれの企業団で計算方法もまた基本料金の設定もかなり異なっております。以前は、1㎥当たりの単価に配分水量をかけて、使用量とは関係なく料金を支払う「責任水量制」をどこの企業団も取っていたと私認識しているんですけども、今お話しがありましたように福岡県南広域水道企業団と福岡地区水道企業団は基本料金と使用料金の2部制としている、1㎥当たりの単価は、県南広域水道企業団は基本料金では61円91銭で、福岡地区水道企業団は1㎥で157円となってます。県南広域水道企業団の場合、その単価に配分水量をかけてその75%が基本料金ということですね。福岡地区水道企業団は、単価に配分水量をかけその67.5%が基本料金となる。例えば、1万㎥の配分水量と仮定した場合、県南広域水道企業団は、基本料金464,325円となります。福岡地区水道企業団は1,059,750円となります。これにそれぞれ使用水量に応じた料金が加算されるという仕組みで、1万㎥使用したとしますと、県南広域水道企業団は、使用料金が8万5,800円発生しますので、基本料金とあわせますと1日当たり55万125円となります。福岡地区企業団は、同様に計算して115万9,750円です。2倍ぐらいの差があります。田川広域水道企業団は使用水量に単価65円をかけるという計算ですから、1万㎥の配分水量ならば、650,000円ということになります。京築地区水道企業団は、使用量に関係ない「責任水量制」です。ですから1万㎥のそこまで配分水量の自治体はありませんけども仮に1万㎥の配分水量と仮定した場合には、1,200,000円ということになります。水道料金に本当に大きな差が生じているということを改めてこの資料で認識をいたしました。
 田川広域水道企業団を除き、3つの企業団は責任水量制又は2部制で、いづれも配分水量に一定の責任を持つというシステムです。ですから、実際の使用水量と計画水量、計画水量は自己水源と企業団からの配分水量をたしたものです。これに差がある場合、使用していなくても料金を払うことになります。例えば、一枚目の資料で豊前市は1日平均給水量は6,156㎥ですが、京築地区水道企業団からの配分水量は、それを超える6,400㎥もあります。みやこ町は、平均給水量は2,071㎥に対して、企業団からの配分水量は3,070㎥です。1日約1,000㎥もの差があります。使用していない1,000㎥分の料金は1日12万円、1年ですと、4,380万円となり、それが町民の水道料金に跳ね返るこということになります。家庭の井戸水もある地域で、この負担は大きいのではないでしょうか。
 同様に県南地域でも、八女市、大川市、筑前町、広川町などで同じようなことが起こっていますし、筑前町と広川町については計画1日最大給水量よりも県南広域水道企業団からの配分水量の方が多くなっています。こうした地域で水道料金が20㎥で4,000円以上と高くなっているというのは、過大な配分水量の影響があるというふうに思うわけです。
 福岡地区で水道料金が高い例えば、糸島市の場合、25,000㎥の計画最大給水量に対し、実績1日平均給水量は約2万㎥、そのうちの約15,000㎥を福岡地区水道企業団から配分されていますが、自己水源が1万㎥もあるのにその半分しか使われていないということです。仮に5,000㎥配分水量を減らした場合、1日58万円、年間だと2億1,170万円も支払いが減らせるということになります。
 「高すぎる水道料金を安くしてほしい」という声は、県内各地で聞いております。配分水量が実態から乖離している場合に、配分水量、その配分の見直しをできるようにして、水道料金の高騰を抑えられるようにすべきではないかと考えますが見解を伺います。

 

 

黒岩義治 水資源対策課 水道整備室長

 

 企業団が定める配分水量につきましては、その構成団体である各水道事業者の事業計画に基づいて、構成団体の合意を得て企業団の条例で定められております。
 この配分水量につきまして、今後の社会経済動向の変化や水道事業者の給水量の需要動向により見直しが必要な場合におきましては、関係水道事業者で協議を行い、水道企業団の構成団体の合意を得て決定されるものと考えます。
 県といたしましては、水道事業者から要請があった場合には、広域的な調整を担う立場から、必要に応じて助言や調整を行ってまいります。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 見直しが必要な場合についての言及がありました。「広域的な調整を担う立場から必要に応じて助言や調整を行う」という今の答弁、大変重要だと思います。
 以前に、上水道のないうきは市が小石原川ダムの利水契約を行っている問題を取り上げました。その際県は、利水容量を治水容量に用途変更する可能性について否定されませんでした。大山ダム、伊良原ダム、小石原川ダムなど巨大ダムは過大な需要予測のもとに利水容量が決められていると思います。昨今の連続する水害対策としても、利水容量を治水容量に用途変更を行い、企業団の配分水量を変更する、減らす、そして水道料金を適正価格とできるのではないかというふうに考えるわけですが、県の見解を伺います。

 

 

黒岩義治 水資源対策課 水道整備室長

 

 水道事業者の利水容量については、今後の水需要の動向や渇水時の水の確保などの観点を踏まえ設定されております。
一方、治水容量については、ダム下流域の洪水被害の軽減、防止を目的とした洪水調節に必要な容量を設定しています。
 ダムの利水容量から治水容量への用途変更については、治水容量の必要性や、渇水時への備えなど、利水・治水それぞれの計画上の整合を図ったうえで、利水関係者や治水関係者の間で合意が必要であります。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 利水関係者と治水関係者の間で合意が必要なことはもちろんですが、合意ができれば、ダムの利水容量を治水容量に用途変更することが不可能ではないということを確認したいと思います。無論、簡単なことではないということはよく承知しております。しかし、命の水の料金が高くて払えないという状況をつくらないために、県としての調整機能を発揮していただくよう強く要望します。

 

 


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