● 19年10月04日 県議会報告
2019年10月4日 2019年決算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁 「メガソーラー・林地開発について」(大要)
《2019年決算特別委員会》
2019年10月4日
メガソーラー林地開発について
高瀬菜穂子 委員
日本共産党の高瀬菜穂子です。メガソーラー・林地開発について質問いたします。
飯塚市の白旗山では、複数の事業者によってメガソーラ設置のための、34ヘクタールの林地開発が進められています。そのうちの一つ、ノーバル・ソーラーは林地開発の許可条件として義務付けられている防災施設、調整池を造らずに本格的な森林伐採と造成工事を行っています。この件について、県はどのように対処されたのか、お答えください。
成末則之 農山漁村振興課長
開発における作業手順は、先ず防災施設を設置し、その後造成工事に着手する指導しております。当該現場においても、防災施設である調整池を設置した後、造成工事に着手する計画であり、県もその工程に基づく指導を行ってまいりました。
しかしながら、調整池の完成を待たず開発区域全体の伐採が行われたことが後日判明しました。その翌日(令和元年6月14日)、県担当者が事業者から事情を聞いたところ、事業者は誤りを認め、防災工事以外の行為中止と防災工事を早期完成させると確約しましたので、是正計画書を提出させ、その確実な履行について文書による行政指導を行いました。
現在、提出された是正計画に基づき調整池の施行中であり、県としましては、防災施設が早期に完成するよう引き続き指導を行ってまいります。
高瀬菜穂子 委員
これは、明らかに許可条件違反ですね。お答えください。
成末則之 農山漁村振興課長
県では、合同会社ノーバル・ソーラーに対して、「防災施設は、本工事に先行して施行すること」との条件を附して許可しております。今回の行為については、その許可条件にそぐわない不適当な行為であると認識しております。そのため、防災工事以外の行為の中止及び防災工事の早期完成について文書による行政指導を行ったところです。
高瀬菜穂子 委員
許可条件違反ですか。違反ではないんですか。はっきりお答えください。
成末則之 農山漁村振興課長
許可条件違反です。
高瀬菜穂子 委員
私は、9月2日に、この問題について林野庁と交渉してまいりました。林野庁は、許可条件違反であれば、法令違反と明確に答えています。その上で、森林法10条の3において無許可の場合や許可条件に違反した場合は、監督処分を課すことになっていると言っています。今回の事例は、監督処分にならないのですか。
成末則之 農山漁村振興課長
国の方針では、行政指導による違反行為の是正を求めることを積極的に活用することが望ましいとされております。このため県では、開発行為に関して、許可条件に違反するなどの違反行為があった場合、直ちに森林法10条の3に基づく監督処分を行うのではなく、先ず、国の方が示しております行政指導を積極的に活用するようにしております。
しかしながら、行政指導を継続しても効果が少ないと見込まれる悪質な違反行為に対しては、違反行為が継続することにより、森林の有する水源のかん養、災害の防止などの公益的機能に支障を来たし、更には社会的不安の増大を招くといった事態に陥る可能性があることから、早急に監督処分を行うこととしております。
現時点では県の指導に従っている状況であり、工事の中止、許可取り消しなどの新たな処分の必要はないと考えております。
高瀬菜穂子 委員
指導に従っているということですけれども、森林法10条3の監督処分についてご説明ください。(措置内容、処分の対象)
成末則之 農山漁村振興課長
森林法第10条の3における監督処分とは、無許可開発をした者、許可条件違反をした者、虚偽、その他不正な手段で許可を得た者に対して、その開発行為の中止を命じ、又は期間を定めて復旧に必要な行為を命じることです。
高瀬菜穂子 委員
許可条件違反と明記されています。明らかに監督処分の対象になるではないですか。
飯塚市における白旗山34ヘクタールの林地開発計画は、8700人の住民が住むすぐそばで行われています。しかもその周辺は、土砂災害警戒区域と特別警戒区域に指定されています。そもそも、このようなところを開発すべきではない、規制をかけるべきだと、私は本議会で何度も取り上げてきました。
許可条件に義務付けられた調整池を造らずに開発を行ったんですよ。住民が開発による危険を感じて不安と怒りを抱えている、そういう場所でのことなんです。私も6月30日に現地を見ましたが、信じられない光景でした。雨が降ったらどうなるのかと、本当に恐ろしいと思いました。伐採された下の家の方は、「引っ越したいけど、こんなところ誰も買ってくれないでしょう」と言われました。
その後、雨水のほかボタ山の湧水は止まらず、かつて埋め立てられた思われる土砂が崩れ落ち、大変危険な状態が続いていると聞いています。開発区域外の子どもたちの通学路でもある市道への災害の拡大も繰り返されていると聞きます。こういう状況を深刻に受け止めるべきです。大災害が起こり甚大な被害が生じた場合、開発を許可した県の責任が問われることになります。どのように受け止めますか。
成末則之 農山漁村振興課長
災害が発生した場合は、その復旧、補償等の責任は一義的には、開発行為を行っている事業者が負うものと考えております。
しかしながら、このような事態を招くことがないよう、県として開発行為が完了するまで、随時現地調査を行うなど、森林法が遵守され、開発行為が許可どおり行われるよう事業者を指導してまいります。
高瀬菜穂子 委員
補償等を行うのは、一義的には事業者とおっしゃいましたが、保険会社に事業者がきちんと許可条件を守っていない場合、保険は出さないという一筆を取っていますよ。悪質な業者の場合には、まともな補償は出ないということになりますよ。
それから、行政指導と言いますがこのノーバル・ソーラーは大変悪質ですよ。7月9日にウエブサイトを更新し、飯塚市の埋蔵文化財調査に対応して樹木伐採を行ったと、この調査にともなって調整池の施工が遅れたと、飯塚市に責任を転嫁するような、自らの正当性を主張するようなことを書いています。調整池をつくらずに県の指導を受けて、顛末書を出すに至った経緯の説明とか、反省とか、謝罪の弁は見当たりません。
3月25日の住民説明会では、許可条件に基づいて林地開発を申請し許可されたにもかかわらず、森林伐採と防災工事を並行して進める工程表を示しています。鼻から防災工事を優先するつもりがなかった、確信犯だということではないですか。ノーバル・ソーラーは、説明会に参加していた住民から許可条件違反を指摘され、県に対して口頭で修正を申し入れてきたそうですが、そうなると県もその工程表を知っていたということではないでしょうか。
悪質だとは思いませんか。また、その工程表を県も知っていたのですか、お答えください。
成末則之 農山漁村振興課長
平成30年4月20日に提出され、平成31年1月30日に許可した申請書類に添付された工程表につきましては、防災施設の施工を先行する工程表が提出されています。
委員ご指摘の本年3月25日の住民説明会で配布された工程表は、先月9日に飯塚市から情報提供を受けるまで、県では把握しておりませんでした。
いずれにしても、県として、本年6月14日に誤った伐採について確認して以降、事業者は県の指導に従って、防災工事を先行して実施している状況であります。
高瀬菜穂子 委員
県に上げたものとは違う工程表を住民には示して、違反行為を行っている。県も騙されているんじゃないですか。それでも悪質だと言われない。全く理解できません。
先ほど、許可条件違反を行ったノーバル・ソーラーに顛末書を書かせ、是正計画書を
出させたと言われましたが、9月14日に調整池のオリフィス、排出する水の調節をする穴ですね、それがまだできていない、つまり調整池が完成していないのに本工事が継続されているのを飯塚市が確認しています。全く約束を守るつもりがないのではありませんか。監督処分を行うのが当然だと考えます。どうですか。
成末則之 農山漁村振興課長
9月17日に飯塚市から、新たな工事が実施されている旨の情報提供がありました。連絡を受け調べた結果、この工事は、調整池をつくる過程で発生した土砂の仮置場用地として整地していたものであり、造成工事が継続されていたものではありませんでした。
現在、事業者は県の指導に従って防災工事を先行して実施している状況でありますが、今後、このような誤解を招かないよう、事業者から地域住民の方々への、工事内容などの丁寧な説明を行うよう、県として事業者に対する指導をより一層徹底してまいります。
高瀬菜穂子 委員
造成工事が継続されているものではないと言われますが、当日目撃した方の証言によりますと、重機2台で樹木の伐根をしており、法面に土砂を盛って段をつくっていたということです。これは造成工事ですよね。もしやっていたら造成工事です。目撃者によく話を聞いて現地を確認するなど、もっとしっかり調査するべきではありませんか。
白旗山だけではありません。飯塚市の馬敷金毘羅山の開発についても同様のことが行っています。県が指導して防災工事の完成までは他の工事を中止させる是正計画を出させています。
調整池をつくらずに伐採をおこなったこの業者は、日本エネルギー総合システムと言いますが、「太陽光発電のガイドラインは全部読んでいない」とか、「ガイドラインが全部正しいと思うのはまちがい」「飯塚市の環境保全条例は産廃のためのもので、太陽光は対象外」と言い放つ、コンプライアンス意識が非常に希薄な問題のある企業です。こうした発言を繰り返すだけでも、法令遵守を定めた改正FIT法違反ですよ。この地域のほとんどが土砂災害警戒区域、または特別警戒区域のなかにあるわけです。
9月27日の農林水産委員会で、我が会派の立川議場の質問に課長は、「いま現在は、提出された是正計画に基づいて調整池の施工中である」とお答えになっています。しかし、地元住民からは、調整池の施行中に伐採も行っていると訴えがあっています。この写真を見ていただきたいんですが・・
― 写真説明 ―
県が指導を行った直後の7月27日に撮影されたものです。〇のところは目印になる小屋があります。もう一枚は昨日撮ったものですが、これがなにも無くなっています。同じアングルから撮られたものです。小屋の上の二本の木は無くなっている。切株もきれいに無くなっている。明らかに伐採、伐根しているじゃないですか。県の指導に従って
いないんじゃないですか、課長は何度も、業者は県の指導に従っているというふうに言ってますけれども。これに対してどのようにお答えになりますか。
成末則之 農山漁村振興課長
ご指摘の許可地におきましても、調整池の完成を待たず造成区域全体に及ぶ伐採が行われた事実が判明しております。事業者は誤った伐採を確認して以降、県の指導に従って、防災工事を先行して実施している状況であり、新たな伐採は行っておりません。
7月27日撮影の写真につきましては、事業者が造成区域内に散在している不安定な伐採木が降雨により下流に流出するのを防ぐため、大型集材機械により整理している状況であります。10月3日撮影の写真につきましては、伐採木の整理が完了した状況であります。写真の中央に写っているものは、伐採した木をチップ化して事業区域外へ搬出処理するために、一時的に集積しているものです。
高瀬菜穂子 委員
この写真で、いまの説明が本当に成り立ちますか。この上の方には沢山根っこがありますよ。今も工事は止まっている、本来だったら調整池の工事しかできない。それなのに、これだけ禿山になっている。工事が進んだんじゃないですか。これでも認められないんですか。
成末則之 農山漁村振興課長
答弁不能
高瀬菜穂子 委員
お認めにならない。
お聞きしますが、調整池をつくらずに、県に出した申請書に従わずに伐採したその規模はどれだけですか。
成末則之 農山漁村振興課長
許可エリアの8割から9割の伐採をしたと、いうふうになっています。
高瀬菜穂子 委員
繰り返しますが、ここは土砂災害警戒区域、特別警戒区域。だからここに造るのはやめてくれと、何度も住民から声があがっているところです。そして調整池をつくらずに8~9割も伐採してしまっていたんですよ。そのあと、県も指導して止めた。調整池をつくるのが優先で、あとは切ってはいけません、造成してはいけませんという指導をした。そうして、こういうふうになっている。
元々9割も、もう切ってしまってたんですよ。それは県の指導に従っていると言うんですか。県はなめられているんじゃないんですか。業者寄りと言われても、仕方がない言わざるを得ません。こんなことを言わないとならないことは、情けないですよ。
こんな状況が、あちこちで起こっています。県の林地開発行政が問われているのではないでしょうか。県の甘い対応がこうした事態を助長しているのではありませんか。県が指導・監督を行い出させた是正計画にも従わない、こういう事例は明らかに許可取り消しの対象です。
2017年に改正FIT法が施行され、固定価格買取制度の認定について、条例を含む関係法令の遵守が基準になっています。「林地開発が関係法令違反であったら、林野庁とも連携しながら認定取り消しも視野に入れて対応させていただく」と資源エネルギー庁もはっきりと言われました。だいたい、林野庁も「森林法違反があった場合は、各都道府県に対して所管の経産局に報告するよう通知を出している」とも言われましたが、報告はきちんとされているのでしょうか。
成末則之 農山漁村振興課長
具体的な内容がよく分からないですが・・・、申し訳ありませんがもう一度よろしいですか。
高瀬菜穂子 委員
許可条件違反は法令違反です。法令違反は報告すべきであります。報告したんですかと聞いたんです。
成末則之 農山漁村振興課長
経産省に対しての報告は、うちの方からは行っておりません。
高瀬菜穂子 委員
6月30日には、「白旗山乱開発ストップ住民大会」が行われ、片峰飯塚市長も参加し220人が集まっています。飯塚市議会も「開発中止を求める決議」をあげ、市長も市議会の質問に答え「住民の同意のない開発は中止を」との態度を表明しています。もはや住民の同意がないことは明白です。
国が取り締まろうとしていても、県は全然それにも応えていないじゃないですか。報告さえしていない。
このような悪質な業者による違法な開発は、きっぱりと許可を取り消すべきだと、森林開発の許可も取り消すべきだと思います。この点については、答弁を求めます。
成末則之 農山漁村振興課長
今現在、許可の取り消しなど、新たな処分は考えておりません。
高瀬菜穂子 委員
これだけ指摘しても問題ないと言われる。県の林野行政が根本から問われる事態
だと思います。
今年6月28日から7月3日にかけて、九州南部では記録的な大雨に見舞われました。
鹿児島県内では、40カ所以上で土砂災害が発生したわけですが、霧島町にある41メガワットの大規模太陽光発電所、霧島サンデー発電所は、大規模な陥没や法面の崩壊が起こっています。敷地内に落ちた土砂は、調整池が受け止めたため事業用地外に流れ出ることはありませんでしたが、下流域の川の水が濁るなど、農業への影響が心配されました。
昨年の西日本豪雨でも1府4県12ヵ所の太陽光発電所で被害が発生し、姫路市の発電所は急傾斜にへばりついていたパネルが、大量に崩れ落ちています。
観測史上最大、経験値をはるかに超えた豪雨や台風が毎年起こっています。杜撰な開発を野放しにしていると、いつ甚大な被害を巻き起こすかわかりません。
申し上げましたように、林野庁は、太陽光発電の開発実態に応じた林地開発許可基準のあり方について検討していると言っています。すでに検討会は6月から3回開かれています。「FIT制度の認定事業者による森林法にかかる違反行為等への対応について」という通知を出し、森林法違反案件について地方経済産業局と林野庁に情報提供するよう指導している、厳正に対応しようとしています。また、環境省は、太陽光発電事業を新たに環境影響評価法の対象とするための政令改正を行いました。国も危険な開発、自然破壊、住民トラブルを防ぐために動き出しています。全国知事会も、「地域住民への事前説明とその結果を国へ報告することを義務づけ、地元自治体の意見を反映させる仕組みの早期構築を行うこと」「地域住民の理解を得ないまま設置することがないよう、国の責任として事業者への指導、関係法令等に係る手続きの完了の適時適切な確認」を本年7月24日に、資源エネルギー庁に要請しています。
私は、飯塚市で起こっている悪質事例、住民合意なき開発について、毅然とした対応を行っていただきたいということを申し上げます。
部長にお尋ねします。許可条件違反は法令違反であります。住民に対しても不誠実な業者に対し、監督処分を行うべきだと思います。見解を伺います。
鐘ヶ江義広 農林水産部長
くり返しのお答えになろうかと思いますが、こうした違反行為があった場合、森林法を所管いたしております林野庁からの通達では、行政指導によりその行為の是正を求めることが効果的であることから、まずは行政指導を積極的に活用することが望ましいとされております。ご指摘の許可地におきまして、県としましては、工事の中止、許可取り消しなどの新たな処分の必要はないと考えております。
先ほどから課長がくり返しておりますけれども、県としましては、開発行為が完了するまで、随時、現地調査を行うなど、開発行為が許可通り行われるように引き続き、事業者の指導をしてまいります。
高瀬菜穂子 委員
部長のお答えも、全くの答弁のくり返しでした。行政指導をしていると、従っているということですが、従っているとは思えません。監督処分が必要だと思います。大変残念な答弁です。今の答弁では、納得できませんので、知事保留をお願いします。
以上