● 20年09月18日 県議会報告
2020年9月18日 2020年9月定例会 高瀬菜穂子議員 一般質問「日の里西保育園への監視指導について」「 西鉄グループによるバス路線廃止問題について」(大要)
2020年9月18日 9月定例会・高瀬菜穂子議員一般質問 答弁(大要)
<日の里西保育園への監督指導について>
高瀬菜穂子 議員
日本共産党の高瀬菜穂子です。まず、宗像市の「日の里西保育園」に対する監督指導について伺います。
昨年10月21日、日の里西保育園の副園長が傷害容疑で逮捕されました。ブリッジ歩きが遅いと顔をたたき、全治2週間のけがを負わせた園児をはじめ、園児4名、保育士2名に対する傷害の容疑です。
この事件の前にも、宗像市に対して2016年から11件もの体罰・虐待の苦情が寄せられ、保育士60人が退職していることも報じられました。 私自身も9年前に、この保育園の保護者から、「保育士の数が少ないのではないか」「園児に対しての乱暴な対応を何とかしてほしい」との陳情を受け、2011年12月、保護者・元園長、わが党宗像市議団とともに指導監督の強化をお願いした経緯があります。早くから指摘されていたのに、是正されず、今回の事件となったことは極めて遺憾であります。
県と宗像市は、毎年の行政監査で多くの項目で、指導や指摘を繰り返しています。「保育士の配置」に関しては、2014年に「基準を下回っている」と指摘、2016年にも同様の指摘、さらにその後の特別監査においても「配置基準を下回っているため、勤務中の職員配置に余裕がないことがうかがわれます。早急に保育士を配置してください」と重ねて指摘。2017年の行政監査では有資格者が行うべき業務を「保育士の資格を有しない職員が実施していますので、有資格者を配置してください」と指導。今年2月、直近の監査でも「県条例で定める最低基準を下回っている時間帯があります。早急に適正な職員配置をしてください」とあります。保育士が慢性的に不足した状態で運営がされており、改善していないことは明らかです。
また、児童処遇の項目では、2016年「一部の園児だけにおやつを椅子の上において食べさせることは、精神的虐待行為となる恐れがありますので止めてください」と指摘。その後の特別監査では「大きな声や激しい口調で園児を怒っている行為が認められました。児童を威圧する行為は、心理的虐待に当たりますので、やめてください。」とあります。「気が緩んでいることや眠気があることを理由に園児をテラスで走らせるなどの指導が行われていますが、体罰につながる恐れがありますので注意してください」との指摘は、2017年にも同様の記述があります。先日9月8日の特別監査報告では、「子どもに恐怖心を与えている」など不適切な行為についてさらに詳しく指摘がありました。
会計の項目でも、「要件を満たしていない」「経理規定に誤りがある」「目的外使用がある」など数々の指導指摘があります。保育士の配置基準を満たさず、日常的に体罰ともとれる保育が行われ、会計の取り扱いにも問題がある、このような保育園を長期にわたり指導のレベルで運営を続けさせたことに問題はなかったのでしょうか。
そこで知事に伺います。許認可権を持つ県として、このような事態をどう受け止めておられますか。毎回の行政監査で同様の指導がされ、特別監査も2回も実施しているのに、改善されていませんが、なぜ、勧告や命令などもっと厳しい指導を行わなかったのか、お答えください。
最後に、県の監督責任は重大であり、許可権者として毅然とした指導をおこなうべきだと考えますが、本保育園に対して、今後どのように対応していくおつもりか、見解を伺います。
小川洋 知事
日の里西保育園に対する事件以前の指導について
お答えを申し上げます。まずはじめに日の里西保育園に対する事件以前の指導でございます。
同園に対しましては、毎年、毎年度、児童福祉法に基づく一般指導監査を行ってきております。平成23年度以降、保育士の不足会計処理の不備等についての指導を行っており、その都度、園の方から改善を行ったことを確認をしてまいりました。
こうした中、平成27年度に同園で園児に対し厳しい口調での指導があるというそういった通報を受け、緊急に特別指導監査を行いました。その結果確認をされました、園児に対する不適切な対応について、必要な改善指導を行い、園の是正状況を確認するため、改めて4か月後に立入検査を実施しその指摘事項について、改善したことを確認しております。
平成28年度以降も、毎年度、一般指導監査に入りまして、新たな運営上の問題が認められましたけれども、その都度、改善を確認してきております。
県といたしましては、そのときどきで必要な対応を行ってきたものと考えております。
今後の日の里西保育園への監督指導について
今後の監督指導でございます。
県におきまして、昨年の事件を受けまして、今年度にかけて行った、日の里西保育園に対する一連の特別指導監査におきまして、子どもの人権への配慮、園の管理運営体制で不適切な事実が認められましたことから、今月の8日でございます。同園に対し、改善指導を行ったところであります。
その中におきまして、改善の取組みを確実なものにするため、確実なものとするため、公正・中立な立場で事業運営を客観的に評価をする第三者機関による評価これを求めたところであります。その評価結果と内容は今後公表されることになります。
県といたしましては、今後、まず、園からの報告により改善の確認を行った上で、今申し上げました第三者機関による評価を踏まえ、改善がみられないと判断した場合には、児童福祉法に基づく措置をとってまいります。
<西鉄グループによるバス路線廃止問題について>
高瀬菜穂子 議員
次に、西鉄グループによるバス路線廃止問題について伺います。
去る7月29日、西鉄バス筑豊株式会社から福岡県バス対策協議会に対し、田川・香春・小倉南区を結ぶ「後藤寺中谷路線」を来年9月30日までで廃止する旨、申し出があったとのことであります。この路線は、赤字が続き、これまでも、国県に加え、関係自治体が多額の費用負担を行い存続させてきました。昨年度の国県の補助額は、429万円余、田川市と香春町は赤字解消のため、残り1301万円余を負担しました。そこまでして、存続させてきたのは、地域的に必要な広域基幹路線であるからにほかならないと思います。
県は、「交通ビジョン2017」において、「地方創生のためのまちづくりと連携した交通網の整備」を基本方針に掲げ、「人口減少が進む過疎地域における路線バスなど地域交通ネットワークの確保」を推進するとしています。 とりわけ、市町村をつなぐ広域路線については、県が重大な責任を負っており、地方創生の観点からも路線確保を行うべきです。自動車免許の申請取り消しは、この4年間で 田川市と北九州市で2倍、香春町で3倍にも上っており、今後、免許を返上された方の移動権・交通権を保障することは重大な課題です。この地域は、通勤・通学・通院、買い物などで一つの経済圏を形成しています。香春町はバス路線に沿って集落が発展していることなどからも、路線廃止はあまりに乱暴だと考えます。「金辺トンネルを歩けというのか」との声も聞いています。田川市では、今9月議会で、わが党議員の質問に答え、「関係自治体と協議し、存続に向けて西鉄バス筑豊と協議を行っていきます」と存続への意欲を示されました。後藤寺中谷路線の存続について、知事の見解を伺います。
本路線を含め、4路線について廃止の申し出があっております。2002年の道路運送法の規制緩和でバス路線が許可制から届け出制になり、県内のバス路線は大幅に削減されました。廃止路線数、その総延長についてお答えください。
2013年制定の「交通政策基本法」には移動権の保障が規定されていません。翌年成立した「地域公共交通活性化再生法」によっても路線削減に歯止めはかかっていません。フランスでは、地域公共交通など交通政策にかける予算は2兆円にも上るそうです。国は、住民の移動手段の確保や地域活性化のために大幅に予算を増やすとともに、今回の路線廃止の理由ともなっている運転手不足解消のため、運行従事者の賃金、労働条件の適正化を図るべきです。国に対し、路線維持のための対策を強力に求めていただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。
公共交通が後退する中で、全国的には公共交通条例を制定し、公共交通の維持強化を図っている自治体があります。交通権の規定、公共交通の利用促進、自動車利用削減規定を盛り込んだところもあります。本県においても、条例の制定で、交通権・移動の権利を明記し、事業者の責務をはっきりさせ、公共交通を守ることが必要ではないか、と考えます。知事の見解を伺い、質問を終わります。
小川洋 知事
西鉄バス「後藤寺~中谷線」の廃止について
次に西鉄バス「後藤寺~中谷線」の廃止についてでございます。
本路線は、平成28年6月、西鉄バス筑豊株式会社から廃止の申し出があり、国、県、沿線市町、西鉄で構成しております「福岡県バス対策協議会」で協議した結果、国・県による補助に加え、田川市・香春町が赤字補填するとともに、区間を短縮・減便して路線を存続させることとなりました。
さらに、平成30年10月から半年間、中谷からモノレールの駅がある守恒駅までを路線を延長した試験運行、住民の方々へのチラシ配布などの利用促進に取り組んできたところであります。
しかしながら、利用者数がなかなか回復しておりません。また、慢性的な運転手不足により、令和2年7月末、再度、廃止の申し出がなされた。県としては、「福岡県バス対策協議会」において、地域の実情や利用実態を踏まえ、今後の対応について、沿線市町と協議してまいる。
本県のバス路線の廃止状況について
次に本県のバス路線の廃止状況についてでございます。
道路運送法が改正された平成14年度から令和2年9月までに、路線の全部または一部が廃止されたのは263路線で、その距離は1,769キロメートルである。
国に対する路線維持のための要望について
次に国に対する路線維持のための要望についてでございます。路線バスをはじめとする「地域公共交通の確保・維持」については、国に対し、毎年の予算要望において、また、全国知事会を通じて、必要な予算の確保、地域の実情に応じた補助制度の見直し、運転手不足の解消に向けた具体的な取組みを行うよう強く要望している。
また、県においては、地方創生臨時交付金を活用し、新型コロナウイルスの影響により働く場を失った方を雇用し、バス運転手として育成する事業者への支援を行っているところである。
公共交通に関する条例について
次に公共交通に関する条例についてでございます。交通に関する施策の推進については、平成25年に制定された「交通政策基本法」において、基本理念及び交通関連事業等の役割が定められた。
本県では、同法の趣旨を踏まえ、2021年度までを計画期間とする「福岡県交通ビジョン2017」を策定したところである。
この「ビジョン」は、今後の地域公共交通の形成など、時代の変化を踏まえた交通施策を総合的・計画的に推進するため、行政機関、県議会、有識者、西鉄などの交通事業者といった様々な関係者が協動して策定したものであり、このビジョンに則り、それぞれが役割を果たしていくことが重要であることから、条例の制定は考えていない。
〈要望〉
高瀬菜穂子 議員
日の里西保育園への指導について要望いたします。知事は、必要な対応を行ってきたとお答えになりましたが、その都度対応しても次の監査でまた同様のことを指摘されるということの繰り返しでした。県の対応は不十分だったのではありませんか。子どもたちの中には、園に通うことを怖がり、小学生になっても園に近づくと震える子どもや、「一生忘れない」と恨みを口にする子どももいるそうです。胸が痛みます。行政として、反省すべき点があることを指摘し、そのうえで、厳正な対応を行うことを強く求め質問を終わります。