● 20年10月06日 県議会報告
2020年10月6日 2020年決算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁 「河川整備について」(大要)
<2020年決算特別委員会>
2020年10月6日
河川整備について(大要)
高瀬菜穂子 委員
日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、河川整備について伺います。
私はこれまで、県管理の52水系のうち河川整備計画がつくられた河川が15水系と少ないこと、豪雨災害の防災減災のために、早期の河川整備計画策定とその実施を行うようたびたび求めてまいりました。巨大なダム建設には反対をしてきましたが、すでに完成したダムについて、ダムの事前放流を行うこと、ダム放流時の流量に耐える河川整備をすすめることを強く求めてまいりました。事前放流については国の動きに合わせ、協議会が設置されるなど一定取り組みが進んでいます。
それでも、今年また、4年連続の豪雨に見舞われました。内水氾濫など河川整備の遅れが被害を大きくしたと考えます。被災地で必ず聞かれるのが、「浚渫の要望をしてもしてくれない」「浚渫していれば被害を少なくできたのでは」という声です。被災をしていないところでも、私の地元の紫川や貫川も含め、浚渫の要望は大変切実でございます。
そこでまず浚渫についてお聞きします。浚渫は県単独の河川改修予算で行われていると思います。その当初予算と直近5か年の予算額の推移についてお答えください。
植木昭光 河川管理課長
本県では今年度、河川改修費として県単独公共事業費を約41億円計上しております。
直近5ヵ年でいいますと、平成28年度が約45億円、29年度が約44億円、30年度が約43億円、31年度が約42億円計上をしております。
高瀬菜穂子 委員
お答えがありましたけれども、概ね40億円を超える程度ですが、今年が41億円で5年前の45億円からですね、少しずつ1億円ずつぐらい減ってるということなんですよね。それは、県民の願いに逆行してるんじゃないでしょうか。今年度から国は「緊急浚渫推進事業」を創設しました。これは自治体が単独事業として実施する河川等の浚渫などを支援するもので、2005年の三位一体改革以来認めてこなかった交付税措置のある地方債の起債を認めるものです。3月の予算特別委員会で、私はこの制度を活用して、大幅に予算の拡充を行うべきだと求めました。河川管理課長は、「詳細がわからないため今後示される内容を踏まえて、本事業の有効的な活用を検討してまいります」と答えられました。どのような検討がされ、どのように活用されたのか。改めて、本制度についての説明とその活用状況をお答えください。
植木昭光 河川管理課長
本事業は、河川や砂防などの施設の適切な維持管理を図るため、地方公共団体が単独事業として浚渫や樹木伐採などを緊急に実施できるよう、国が令和2年度から6年度まで、その費用全額の起債を認め、そのうち70パーセントを地方交付税で措置することとしたものでございます。
本県では、維持管理のために実施します浚渫と伐木について、本事業を約3億2千2百万円活用しております。
高瀬菜穂子 委員
本事業の国における本年度予算の総額は900億円なんですね。本県における予算計上は只今お答えがありましたように3億2200万円ということです。北海道は53億円、広島県・兵庫県は40億円、埼玉県・長野県・静岡県20億円などと比べまして、本県の予算はわずかと言っていいんじゃないでしょうか。全都道府県の合計も492億円で、市町村と合わせても予算を大幅に残していると思われます。国は当初900億円で足りない場合は追加予算を組むとまで説明をされていたんですよ。災害が起こったところの対応はもちろんですけれども、どこがいつ豪雨に見舞われるかわからない状況の中で、県内各地で必要とされている浚渫事業をすすめるために、この制度の十分な活用を図るべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
植木昭光 河川管理課長
堆積土砂の浚渫につきましては、所管の県土整備事務所長が河川巡視や地元要望などをもとに、治水上の安全度を判断しまして、実施をしております。
また、今年7月の豪雨により堆積した土砂につきましても、撤去に必要な予算は本議会において、補正予算の議決をいただきました。
今後も本事業を活用し、本事業を有効に活用し、適切に浚渫を実施してまいります。
高瀬菜穂子 委員
補正予算で議決された災害による堆積土砂の撤去に加えて、本事業を「有効に活用し、適切に浚渫を実施してまいる」とのお答えでした。力強い答弁だったと思います。被災地以外の県内河川の維持管理の充実を図るため、緊急浚渫推進事業費の活用による事業の推進、来年度以降の当初予算の拡充を強く求めたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、令和2年7月豪雨で甚大な浸水被害となった久留米・大牟田の災害対策について伺います。
まず、久留米についてですが、平成30年7月豪雨以来、毎年浸水被害に見舞われています。私も毎年現地に行っているんですけれども、被災者の悲痛な声を多数聞きまして、大変胸が痛む思いです。久留米市内の筑後川の支川では、平成30年7月豪雨を受け、関係機関が連携しての「総合内水対策計画」が策定されております。その概要をお聞かせください。
喜多島礼和 河川整備課長
平成30年7月豪雨により筑後川の支川で住宅等が浸水する被害が多く発生いたしました。このことから、金丸川、池町川と下弓削川において、国、県、市が連携し、浸水被害を軽減するためのハード対策、ソフト対策を一体とした計画を策定したものでございます。
高瀬菜穂子 委員
大変簡潔な説明でございましたけれども、私も久留米の県土事務所で内容を詳しくお聞きしました。排水機場の整備とかポンプの増設、放水路の整備などですね総合的な計画になっていると思います。調整池の整備など地元久留米市の負担も大きいというふうに感じました。治水対策を迅速に進めるために国県の支援が欠かせないと強めていただきたいと思っております。また、豪雨の規模も年々激しくなっており、今年も過去最高を記録しています。そんな中で、パラペットによる流量確保で対応できるのかと心配になる箇所もありました。せっかく工事を行うのですから、十分な整備計画にしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
喜多島礼和 河川整備課長
この計画のハード対策であります地下調整池や排水機場の整備、既設排水機場のポンプの増設などを国、県、市で行うこととしております。
併せまして、ソフト対策であります河川の監視カメラや水門の開閉状況の情報提供など、できる施策から実施し、流域の浸水被害の軽減に努めてまいりたいと思います。
高瀬菜穂子 委員
国、県の強力な支援をお願いしたいと思います。またこの計画とは別に、山ノ井川も浸水がひどかったわけですけれども、当面パラペットの対応というふうにお聞きしました。山ノ井川についても早期に総合的な計画を進めていただきたいと思います。要望しておきます。
次に、大牟田についてです。三川ポンプ場の水没による甚大な被害となった大牟田です。諏訪川の容量があっただけにポンプが動いていれば、被害は抑えられたとの思いを強くしました。お聞きしますと、ポンプの老朽化については市も認識しており、改修の計画もあったとのことです。ポンプの管理は市町村にゆだねられているようですが、県も市町村と連携し、老朽化しているポンプなどについては、助成をするなどの措置が必要ではないかと思います。市町村また県の下水道課とも連携して検討していただきたいこのことは要請しておきます。このような浸水被害が生じた場合の早期解消のためには、今回、県が導入しました排水ポンプ車の活用、当面の対策として大変効果的だと考えます。
今後の浸水対応について見解を伺います。
喜多島礼和 河川整備課長
現在、県では排水ポンプ車を久留米地域に1台所有しております。本年の6月に導入し、7月の豪雨では久留米市の陣屋川において、排水作業を行い、浸水被害の軽減に寄与することができました。
これを踏まえ、本議会提出の補正予算にて議決いただきました追加導入する排水ポンプ車5台と併せまして全県域をカバーしていきたいと考えております。
高瀬菜穂子 委員
ポンプ車は大いに役立っているというふうに思います。役立つというふうに思います。更なる安全確保のためには、県内のポンプの状況を把握するとともに、必要な改善改修について市町村とともに検討をしていただくということを重ねて要望しておきたいと思います。
私は、総合的な河川整備を進めれば、浸水被害は大きく減らせるということを県内の経験からも確信しています。1999年と2003年に御笠川下流域で二度水害が発生しました。博多駅周辺の中心市街地が浸水しました。県は国の激甚災害指定を受け、国の補助金を活用。県と福岡市が事業を分担し、県は事業費400億円をかけて御笠川の拡幅・護岸整備等を行い、福岡市は総額350億円をかけて都心部の雨水対策事業や山王公園地下に巨大な遊水池を設置しました。その結果、その後の豪雨でも福岡市内の御笠川流域では水害は発生していないと思います。また2003年の飯塚市の大水害では中心市街地の嘉穂劇場が浸水したことで注目されましたが、内水氾濫を度々起こしてきた県管理河川の明星寺川では遊水池を3ヶ所造り、一級河川である遠賀川支流の穂波川に流れ込んでいた曲線箇所を直線に改修し、国が強力なポンプ場を設置しまして明星寺川の整備費22億円と合わせ66億円の総事業費で必要な対策が講じられました。その後の豪雨でも飯塚市内の中心市街地では水害を起こしていません。私の地元の小倉南区の紫川も、2回の水害の後、国、県、市で河川整備に取り組み河川の拡幅や、固定堰の撤去などが行われた結果、その後は大きな水害にはなっていないわけなんですね。これは必要な対策が講じられれば水害は未然に防げ、あるいは減災できるということの貴重な経験だというふうに思っています。ですからすべての河川で河川整備計画を早期に策定し総合的な河川整備を進めていただくこと改めて要望をしたいと思います。
最後に、流域治水について伺います。豪雨災害が多発する中国でも「流域治水」の取り組みを本格的に始めました。先程もお話しがありましたけれども、改めて「流域治水」がどのようなものか、お答えください。
喜多島礼和 河川整備課長
国では気候変動による水害リスクの増大に対応するため、河川流域のあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる治水対策、「流域治水」への転換を進めており、全国109水系の一級水系において、流域全体の早急に実施すべき治水対策の全体像を「流域治水プロジェクト」として今年度末までに策定することとしております。
高瀬菜穂子 委員
今年度末までに策定ということですね。あらゆる関係者が協働しての治水対策、大変重要だと考えます。私は昨日、農水の部局で、ため池を治水に活用することについて要望いたしました。都市部では農業の利用がなくなったため池が存在し、それらを調整池として活用することは、流域治水にも有効だと思います。農水部としても推進するとの答弁を得ました。福岡市の樋井川では河川整備基本方針の中で、農業用ため池の流出抑制効果が見込まれています。ため池の調整池としての活用も含めて本県では「流域治水」をどのように取り組んでいくのか見解を伺います。
喜多島礼和 河川整備課長
県内におきましては、国が国、県、市町村からなる「流域治水協議会」を遠賀川及び山国川においては8月に、筑後川及び矢部川においては、9月下旬に設立しております。
県からは、それぞれの協議会に関係各課が参加して、流域全体での総合的な治水対策にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
高瀬菜穂子 委員
1級河川について流域治水の協議が進んでいるということだと思います。これを県が管理する2級河川についても広げていただき、河川整備・治水対策を一層進めていただきたいと思いますが、最後に部長の決意をお聞きします。
見坂茂範 県土整備部長
福岡県では4年連続して、豪雨災害が発生いたしております。また近年、全国各地での豪雨災害が頻発しておる状況でございます。こうした中、近年の水害リスクの増大、これに対応するために流域全体として、水害を軽減させる治水対策、このいわゆる流域治水と、この考え方に国の方も考え方を転換しておりまして、例えばでございますけれども河川改修などのこれまでの取り組みに加えまして、先ほど委員ご指摘のあったため池などを生かすようなそういう総合的な治水対策なども国から事業メニューとして例示されております。県におきましても、こういった流域全体の総合的な治水対策これにしっかりと取り組みまして、より安全安心の福岡県を目指してまいりたいとこのように考えております。
高瀬菜穂子 委員
はい、力強い決意をお聞かせいただきました。あの最初に取り上げました浚渫についてもぜひ進めていただくように要望しまして質問を終わります。