● 21年09月24日 県議会報告
2021年9月24日 2021年9月定例会 立川由美県議 「核兵器禁止条約について 熱中症対策について 高齢者の補聴器購入費を助成する制度について ヘイトスピーチを規制する条約の制定について」(大要)
2021年9月24日 9月定例会・立川由美議員一般質問 答弁(大要)
<核兵器禁止条約について>
立川由美 議員
日本共産党の立川由美です。通告に従い、一般質問を行います。
まず初めに核兵器禁止条約について伺います。今年1月に発効した核兵器禁止条約は、核兵器の開発、保有、使用を違法とする世界で初めての条約です。昨日、チリが加わり56の国と地域が批准しています。しかし、日本政府は「不参加」の立場をとり続けています。
福岡県内では、14議会で核兵器禁止条約への署名・批准を求める意見書が採択されました。本県は広島県、長崎県についで被爆者の多い自治体です。核兵器による惨禍を繰り返さないために、核兵器禁止条約への署名と批准を国に強く求めるべきだと考えております。知事の見解を伺います。
また、国に対して、来年3月にウィーンで開催される締約国会議へのオブザーバー参加を求めるべきだと思いますが、知事はどのようにお考えですか。お答えください。
服部誠太郎 知事
核兵器禁止条約への署名・批准や締約国会議へのオブザーバー参加を国へ求めることについて
ご答弁を申し上げます。まず核兵器禁止条約への署名・批准や締約国会議へのオブザーバー参加を国へ求めることでございます。
核兵器禁止条約は、「核兵器のない世界」を目指し、核兵器の使用や開発等を禁止するものでございまして、今年1月、同条約が発効されたところでございます。
我が国は、世界で唯一の被爆国でございます。私自身も核兵器のない平和な世界が実現することを望んでおります。
他方、条約の締結や締約国会議へのオブザーバー参加につきましては、外交政策に関する国の専管事項に属するものでございまして、日本政府におきましても、核兵器のない世界の実現に向け、国際社会において現実的な観点から取り組まれているものと考えているところでございます。
<熱中症対策について>
立川由美 議員
次に、熱中症対策について伺います。消防庁の報道資料によると、本年6月の熱中症による緊急搬送は、全国で4,945人、本県では全国で2番目の327人に上ります。東京都では、昨年夏に熱中症で死亡した人が23区で200人に上り、うち187人が屋内で死亡し、そのうち66人はエアコンを設置しておらず、102人はエアコンがありながら使用していなかったことが、都監察医務院の調査で明らかになりました。本県でも、東京都と同様に、エアコンを設置していない、または、あっても使用していない状況があると推察されます。
新型コロナウイルス対策で外出自粛が求められている中、家庭内での熱中症予防がいっそう重要になっています。低所得者に対して、エアコン購入・設置、使用に伴う電気代を助成する制度が必要ではないでしょうか。生活保護世帯には、保護開始時に特別の事情がある場合、支給制度がありますが、それ以外の低所得者、生活保護者は生活福祉資金を借りる制度しかありません。保護世帯が月々の生活扶助費からエアコン設置費をためることは容易ではありません。
また、夏の電気代の加算もありません。省エネタイプのエアコン設置は、電気代の節約、環境対策にもなります。
そこで、知事に伺います。本県としては、どのような熱中症対策を行っていますか。エアコン設置及び使用に伴う助成制度を創設することについて、知事の見解を伺います。
服部誠太郎 知事
本県の熱中症対策について
本県の熱中症対策についてでございます。
近年、家庭で発生する高齢者の熱中症が増えております。熱中症予防につきましては、熱中症がどのようにして起こるのかを理解をしていただきまして、こまめな水分の補給やエアコン、扇風機の適切な利用などを行っていただく必要がございます。
県では、これら熱中症の予防につきまして、県のホームページや広報紙に掲載いたしますとともに、市町村、医療機関に対しリーフレット、ポスター等を送付しておりまして、市町村の各種説明会やイベント等の機会を通して、注意喚起を行っていただいているとこでございます。
低所得世帯へのエアコンの設置等について
低所得世帯へのエアコンの設置等についてお尋ねがございました。
生活保護制度の取扱いについてみますと、エアコンの設置費や電気代は、月々の生活保護費に含まれております。ただし、高齢者や障がいのある方など、熱中症の予防が特に必要であって、保護の開始時に設置費の持ち合わせがない等の特別な事情がある世帯に対しましては、一時扶助として設置費を支給をしておるとこでございます。
それ以外の低所得世帯につきましては、生活福祉資金貸付制度の利用が可能となってございます。このような既存の制度がございますことから、新たな助成制度を設けることは考えておりません。
<高齢者の補聴器購入費を助成する制度について>
立川由美 議員
次に高齢者の補聴器購入費を助成する制度について質問します。
国立長寿医療研究センターの調査によると65歳以上の国民の2人に1人が加齢性難聴者であり、約1000万人にのぼると言われています。難聴によって周囲とのコミュニケーションがうまくいかなくなると、家族や社会から孤立しがちになるなど、社会生活に支障をきたしております。
現在、高齢者の補聴器購入への助成は高度・重度の難聴者で、原則として障害者手帳を持つ方が対象です。対象とならない高齢者から「高すぎて買えない」との声を多数お聞きしています。こうしたなか、高齢者の補聴器購入費への助成を行う自治体が増えており、本県でも田川市が独自でおこなっています。2021年3月の時点で助成制度を実施しているのは全国で21自治体です。また、意見書は6県166市町村にのぼります。
本県は「70歳現役応援社会づくり」に取り組んでいます。認知症予防対策の一環としても、必要とする高齢者が補聴器を購入できるよう、助成制度をつくることが求められていると思います。知事の答弁を求めます。
服部誠太郎 知事
高齢者の補聴器購入費を助成する制度について
高齢者の補聴器購入費を助成する制度についてでございます。
難聴と認知症の関係につきましては、平成27年1月に国が策定をいたしました「認知症施策推進総合戦略」におきまして、難聴は認知症の危険因子の1つとされております。
国立長寿医療研究センターを中心といたしましたグループは、昨年の12月、高齢者では、難聴がある場合は難聴がない場合に比べて認知機能の低下が1.6倍多いことが明らかになったとして、難聴は、認知機能の低下に強い関連があることを発表いたしました。しかし一方で、難聴の方が補聴器を使用することによって認知機能の低下、又は認知症を予防できるかどうかということについては明らかになっていないとこでございます。
このため、現在、同センターで、もの忘れと難聴がある方を対象に、補聴器を使用することで認知機能がどのように変化するかについての研究が行われているとこでございますので、まずは、その動向を注視する必要があると考えております。
<ヘイトスピーチを規制する条約の制定について>
立川由美 議員
最後にヘイトスピーチ規制条例の制定について質問します。
2016年に「ヘイトスピーチ解消法」が施行され、5年が経過しました。ヘイトスピーチに対する認識が一定ひろがったことは、大きな変化だといえます。
しかし、同法は理念法であるため規制するには限界があり、そのため全国でもヘイトスピーチに関する条例等を制定する動きが進んでいます。大阪市は5年間で9件を認定、ネット上の動画や投稿を削除させ、団体や個人名を公表しました。東京都でも15件を条例による「不当な差別的言動」と認めて公表。その他、独自にネット上のヘイト監視や公共施設の利用を制限する自治体もあります。
神奈川県川崎市では、2020年度に全国で初めて刑事罰をふくむ条例が全面施行されました。地方自治研究機構の調査によると、現時点で条例を制定しているのは8自治体にのぼります。
私は2014年から差別的言動を行なっている現場に行き、何度も抗議活動に参加してきました。「日本から出ていけ」など外国にルーツを持つ方たちに対して人格を否定するようなひどい暴言を今も続けています。ネット上では、形を変えてより深刻化しています。
本県は、いにしえからアジアとの交流が深く、在日コリアンをはじめ、多くの外国人が住んでいます。アジアの玄関口を標榜する本県として、差別的言動を断じて許さない立場に立って、条例を制定すべきではありませんか。また、国に対しても実効性のあるものに同法の改正を求めるべきだと考えます。知事の見解をお伺いし、質問をおわります。
服部誠太郎 知事
ヘイトスピーチ規制について
次にヘイトスピーチの規制についてでございます。
ヘイトスピーチは、人としての尊厳を傷つけるだけではなく、それを見たり、聞いたりした人々に不安感や嫌悪感を与え、差別意識を助長することにも繋がりかねず、決して許されないものであると考えます。
県では、これまで、外国人の人権につきまして、県民講座や、県、市町村等の相談業務に従事する職員の資質向上を図るための「人権相談従事職員研修」を毎年実施いたします他、啓発のためのラジオ番組を放送をいたしております。
また、平成28年のヘイトスピーチ解消法の施行後、県、両政令市、法務局などで構成いたしますヘイトスピーチ対策連絡会議を設置をいたしまして、連携して様々な啓発に取り組んでおります。今年度は、街頭ビジョンや映画館で啓発動画を放映いたしました。
今後もヘイトスピーチ対策連絡会議において、関係機関としっかり連携を図りながら、ヘイトスピーチを許さない社会の実現に向け、ヘイトスピーチ解消法に基づいて啓発に取り組むいうことといたしておりまして、規制条例を制定することは考えておりません。
国に対しましては、引き続き、ヘイトスピーチの解消に向け、法に基づき、実効性のある対策を講じるよう、求めてまいります。