● 15年11月04日 県議会報告
2015年11月4日 2015年決算特別委員会・総括質疑 高瀬菜穂子委員質疑・答弁 (大要) 「メガソーラーの乱開発規制について」
≪2015年決算特別委員会≫
2015年11月4日
高瀬菜穂子委員
日本共産党の高瀬菜穂子でございます。
本日の総括質疑は、九月議会の一般質問に続きまして、太陽光発電にかかわる乱開発規制について伺います。
我が党は、これまで一貫して再生可能エネルギーの推進を主張してまいりました。住民本位の市民共同発電所などで太陽光発電事業が始まるなど、各地の動きを歓迎するものです。ところが、全国一、太陽光発電が進んでいる本県で、各地から、危険な立地ではないか、環境破壊ではないかとの声が上がり、私も現地視察を行う中で住民の不安を肌で感じております。
そこで、再度質問をいたします。
まず、飯塚市白旗山のメガソーラー開発についてです。三十四ヘクタールも林地を開発し、メガソーラーにするという計画は、八千人の住民が住む住宅地のすぐそばで進められており、環境が一変する、山が丸裸になって災害の危険はないのかと心配されています。白旗山の周辺は、土砂災害警戒区域と特別警戒区域に指定されています。
砂防課にお尋ねしますが、この区域指定は土砂災害の危険があることを示すものですね。お答えください。
須貝砂防課長
土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等は、白旗山周辺の一部に指定されております。この区域指定は、土砂災害のおそれがある区域を明らかにし、当該区域において警戒、避難体制の整備を図るとともに、住宅、宅地分譲などの特定開発行為を制限し、居住を有する建築物の構造の規制を行うなど、ソフト対策の推進を図ることにより、国民の生命及び身体を保護するためのものです。
高瀬菜穂子委員
危険であるから、災害の際は避難するようにと区域指定を行ったと、そういう区域が含まれているということだと思います。一万六千カ所に上る区域指定を行ったことについては、大変な努力があったことを承知しております。そのうちの一つということを確認いたします。
飯塚市のメガソーラー開発を行う業者が先月十月三日、飯塚市で住民説明会を行っています。この席上、業者の代表は、メガソーラーの開発に当たって、砂防指定地、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域については存在しないことを砂防課で確認し、その上で土砂災害ハザードマップを考慮した災害対策を計画、提案したと住民に報告しました。この開発予定地全体について地元住民を災害から救う対策を一企業にしていただくことはありがたいと県が言っている、県から感謝されているとまで言い切っております。
そこで、砂防課長に伺います。このようなことを県として本当に言ったのでしょうか。まず、事実関係について伺います。
須貝砂防課長
今回のメガソーラー開発に携わっている株式会社CDFの関係者が今年九月に、開発計画地の一部に土砂災害警戒区域等があるため、土砂災害防止法上、問題がないか、相談に来られました。委員御指摘のことについて、地元住民を災害から救う対策を一企業にしていただくことはありがたいとか、感謝しているということは申しておりません。
高瀬菜穂子委員
言っていないということを確認いたします。
地元住民は、真剣に災害を心配し、景観が一変するメガソーラー計画に強く反対しています。市長も、メガソーラーの開発行為が非常に危険性が高いということであれば、やめていただきたいと言っていかなければならないと議会で答弁されています。
県として、住民の声をしっかりと受けとめていただきたいと思うわけです。九月議会における県の回答は、開発後も森林の公益的機能が維持されるというものでしたが、本当にそうでしょうか。飯塚市のメガソーラー開発計画では、森林の残存率がわずか二六%となっています。ゴルフ場で五〇%以上、スキー場は六〇%以上、森林を残さなければならないのに、住宅地のそばの危険区域を含む開発が二六%というのは、環境保全基準がソーラー発電を想定していないからだと考えます。住民説明会でも、こんな宅地にメガソーラーをつくらなくても、適した土地はあるでしょうにと言われていました。
山全体をパネルで覆い尽くす今の計画で、周辺の住環境は守れないのではないでしょうか。改めて担当課長に伺います。
半田農山漁村振興課長
森林の開発許可に当たりましては、森林法に基づき、一定量の森林を確保する環境の保全、この項目に加えまして、災害の防止、水害の防止、水の確保といった観点からも審査しております。また、許可した場合は、開発行為が完了するまで随時、現地調査を行い、森林法が遵守され、開発行為が許可どおり行われますよう開発行為者を指導しております。これにより、開発後も森林の持つ公益的機能は維持されるものと考えております。
高瀬菜穂子委員
公益的機能は本当に維持されるでしょうか。三十四ヘクタールの、この開発のすぐそばで、二ヘクタールを超える開発が既に行われました。林地開発申請が必要な一ヘクタール以下で三回に分けて行われ、あっという間に山がはげ山になりました。これについては県が一ヘクタール以下で三回に分けることは違法だと指摘をし、一ヘクタール以上だから林地開発の申請が必要、調整池もつくるよう指導しました。
しかし、ことしの台風の際には大量の土砂が流れ出し、直下の住民は大変な被害です。調整池のほうが後からできるわけですから、間に合っていないわけです。側溝は埋まり、下流の川には赤水が流れました。法の規制があっても、それをすり抜ける、公益的機能を損なう事態は既に発生しております。
一ヘクタール以下の開発は、もっと深刻です。水巻町の明神ヶ辻山は、木漏れ日の美しい、マイナスイオンを体感できる市民の憩いの山です。この山頂の木が突然伐採され、住民が驚いたというのが、ここの問題の始まりでした。〇・九ヘクタール伐採の届けが町に出されましたが、誤伐も含め、実際には倍の二ヘクタールも伐採されております。そのため、町から植栽の指導がされました。
六ヘクタール以上の場合は行われる県と業者との事前協議は、この業者とは行われていません。この地域は、地すべり防止区域に隣接していますから、住民の不安は極めて大きくなっているわけです。
二ヘクタール伐採された、そのすぐ下で県の地すべり対策工事が行われています。びっくりするほど近いですけれども、その工事内容と工事費についてお答えください。
須貝砂防課長
地すべりとは、地下水位の上昇などにより斜面の一部あるいは全体がすべり出す現象です。
このため対策工事として、平成二十年度より地質調査、地下水位調査を行い、斜面を安定させるために地下水位を下げる排水ボーリンク杭を行っております。これまでの当該箇所の事業費総額は約二億二千万円であります。
高瀬菜穂子委員
二億二千万円という莫大な費用をかけて行われているわけですね。
このような地すべり防止法に基づく防止区域は県内に何カ所指定され、うち工事中の箇所は何カ所で、工事費の総額は幾らか、お示しください。
須貝砂防課長
地すべり防止等法に基づき指定されている地すべり防止区域は現在、県内に六十カ所あります。そのうち対策がおおむね終わっている箇所が四十六カ所、現在工事中の箇所が十四カ所、今年度の総事業費は約五億一千万円であります。
高瀬菜穂子委員
工事中のものが十四カ所、予算は約五億円、そのうち二億二千万円がこの工事で使われているということですが、今、工事中の水巻の地すべり対策工事は緊急性を要するものと理解していいですね。お答えください。
須貝砂防課長
現在、対策工事をしている箇所は緊急性を要するものであります。
高瀬菜穂子委員
緊急性を要するというお答えでした。
周辺の住民は、山の麓に地すべり防止区域や土砂災害警戒区域等があるため、中止を強く求めています。町長は、住民の意向を受けとめ、山頂に続く町道の通行をとめているため、業者は工事ができず、町を相手に訴訟を起こしています。町長の住民の側に立った勇気ある行動に敬意を表するものです。
町は、樹木の伐採による地すべりなどへの影響について県に調査を求めていますが、町からの要請に対し、県としてどのような支援をしているのか、伺います。
須貝砂防課長
水巻町から今年五月二十日に、樹木の伐採による地すべりへの影響調査の要請がありました。
県といたしましても、地すべり防止区域に隣接しているため、現地で地表の状況を確認いたしました。調査時点では、斜面の変状は確認されておりません。その結果については、九月三十日に水巻町に報告しております。
高瀬菜穂子委員
確認されていないということは、つまり危険区域と隣り合わせであっても、法律上はクリアということになりますね。住民がやめてほしいと願い、町長もとめようとしているのに規制できない。住民説明会さえ開かずに進められている工事が法律で規制できないわけです。私は、これは明らかに法の不備だと考えます。
水巻町の事例が示すように、一ヘクタール以内であれば農地や地すべり等の防止区域の指定地以外は、どんなに危険なところでも、住宅地でも、急傾斜地でも、かけがえのない自然を壊しても、太陽光発電の設置が可能となっています。私は、このような現状を解決するためには、法の整備と住民と環境を守るための条例が当面必要だと考えております。
最後に、エネルギー政策室長に伺います。福島の原発事故後、平成二十三年に総合政策課の中にエネルギー政策室を設置し、再生可能エネルギーの推進に取り組まれてきています。そして、太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及が進んでいますが、この再生可能エネルギーの推進については、県民の安全や環境などに配慮したものでなくてはならないと思いますが、この点についての見解を伺います。
今泉エネルギー政策室長
メガソーラーなどの発電設備を新たに設置する場合には、例えば、地域森林計画の対象となっております民有林を一ヘクタールを超えて開発する場合におきます森林法による林地開発許可の手続ですとか、地すべり防止区域内で地すべりを誘発させるおそれのある開発を行う場合におきます地すべり等防止法による許可手続、それから電気事業法による設備の強度や施工が一定の技術基準に適合する義務づけですとか、保安規定の国への届け出、電気主任技術者の選任などの義務づけが行われております。
このように、自然環境の保全ですとか周辺の安全確保を図る観点から、各種の法律による手続が定められていると理解しているところであります。
高瀬菜穂子委員
自然環境の保全や周辺の安全確保が図られなければならないとの基本認識は共有できると思います。これは当然のことです。太陽光発電を行うのに、どうして命の危険を感じなければならないでしょう。貴重な自然環境を破壊する必要があるでしょうか。
長年、自然エネルギーの実証実験や利活用に取り組んできた自然エネルギー研究センターの大友詔雄氏は、太陽光は人工構造物への設置が最も適している、大型ビルや宮崎のリニアソーラーなどが望ましいと書いておられます。世界的には、砂漠の周辺など、人への影響の少ないところで大規模な計画が進んでいるとも聞いております。
最後に、部長にも確認を求めたいと思います。再生可能エネルギーの推進に当たっては、県民の安全や環境などに配慮したものでなくてはならないと思います。見解を伺います。
家守企画・地域振興部長
先ほど、エネルギー政策室長がお答えしましたように、メガソーラーなどの発電設備を設置する場合には、自然環境の保全、あるいは周辺の安全確保を図る観点から、森林法、あるいは地すべり防止法、それから電気事業法などの法律による規制がかけられております。
再生可能エネルギーの推進に当たりましては、当然のことながら、こうした法律の規定が遵守されるべきであると考えております。
高瀬菜穂子委員
法律が守られてもなお、安全確保ができていない、そういう事態があるということを申し上げてきたわけですけれども、この県民の安全や環境などに配慮されるべきであるにもかかわらず、深刻な環境破壊が起こっておりまして、この点について県民の安全、環境に配慮されるべきという、この点について知事に直接お伺いしたいと思いますので、保留のお取り計らいを委員長、よろしくお願いいたします。
加地邦雄委員長
ただいま高瀬委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は十一月六日金曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
高瀬菜穂子委員
これで質問を終わります。(拍手)