● 22年03月15日 県議会報告

2022年3月15日 2022年予算特別委員会 立川由美委員 質疑・答弁 「生活困窮者対策について」(大要)



 

2022年3月15日   2月定例会(予算特別委員会)立川由美委員質疑(大要)

 

 

 

<生活困窮者対策について>

 

 

立川由美 委員

 

 日本共産党の立川由美です。通告に従い、生活困窮者対策について質問いたします。新型コロナウイルス感染拡大により、突然の失業や休業・時短などで、生活困難に陥った方が多数おられます。国は生活福祉資金特例貸付などで、生活困窮者を支えました。

 新型コロナウイルス感染症対策としての「生活福祉資金特例貸付」と「生活困窮者自立支援金」の制度概要と予算・実績についての資料を執行部にお願いしておりますので、委員長、お取りはからいをお願いいたします。

 

〈※資料要求〉

生活福祉資金の特例貸付及び新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金についてのサムネイル

【資料】生活福祉資金の特例貸付及び新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金について

 

 簡潔に資料の説明をお願いいたします。

 

 

横溝豊 保護・援護課長

 

 資料の1(1)、生活福祉資金の特例貸付の制度概要ですが、新型コロナの影響による失業や休業等により収入が減少した世帯に対し、令和2年3月から、生活費として、上限20万円の緊急小口資金、上限が現在60万円の総合支援資金、この2種類の貸付を行っております。いずれも無利子で、貸付種別ごとの償還期限及び償還免除の要件は、資料記載のとおりでございます。これらの貸付により、昨年6月までは総合支援金の延長貸付と再貸付を合わせて、最大200万円までの借り入れが可能でした。

 特例貸付の累計予算額は、資料の1(2)のとおり、令和元年度2月補正から今年度2月補正の議決済み予算の合計は、約979億3,400万円、(3)の今年1月末までの貸付実績は、両貸付合わせて186,148件、約776億1,100万円となっております。

 次に資料の2(1)の生活困窮者自立支援金の制度概要でございますが、特例貸付を利用できなくなった世帯のうち、収入や資産の要件と、求職活動又は生活保護申請をするという要件を満たす世帯に対しまして令和3年7月から支給を開始し、現在では最大60万円を支給するものでございます。

 本県が支給実施いたします町村部にお住まいの方に対する支援金の予算額は、資料の2(2)のとおり約3億2,900万円、今年1月末までの支給実績は、(3)のとおり、373件、約6,300万円となっております。

 

 

立川由美 委員

 

 生活福祉資金特例貸付は、989億円の予算に対し、776億円の貸付実績になっているとのことです。小口資金、総合支援資金ともに、9万件を超える利用があり、急場をしのぐ役割を果たしたと思います。しかしながら、総合支援資金の延長に対しては、本県の対応は他県と比べても大変厳しく、要件を満たしている方も延長できない事例が相次ぎました。また、自立支援金は、県は町村分だけということですが、それにしても、7ヵ月間で343件は少なすぎるのではないでしょうか。予算的にも3億3,000万円の2割程度となっています。県全体でも8,300件余ですから、困窮者に手の届く制度にはなっていません。国に対し要件の緩和を求めていただきたいと思います。

 今後、償還が始まりますが、長引くコロナ禍の中で、困窮者の生活は不安定なままです。厚労省は当初、「償還開始時、非課税の場合、償還を免除する」と説明していました。「非課税」の定義は明確にしないまま、制度開始から1年後に「住民税非課税」と規定しました。しかし、住民税非課税は、単身で年収100万円程度であり、これを少しでも超える場合に償還を求めるということは、生活破壊につながるのではないでしょうか。わが党は、直接厚労省にも、償還免除の規定を「住民税非課税(均等割なし)」から、せめて「所得割なし」に要件緩和すべきと求めてきました。免除基準について、県はどのようにお考えでしょうか。

 

 

横溝豊 保護・援護課長

 

 貸付金の返済が生活の立て直しの妨げとなってはならないと考えております。

 このため、本県では、全国知事会を通じて、国に対し、償還免除の要件緩和や償還猶予制度の弾力的な運用を行うよう要望しております。なお先ほど委員からご発言ありました自立支援金の要件緩和についても国に対して要望をしているところでございます。

 一方、償還開始後においても生活にお困りの方には、県及び市が設置いたします自立相談支援機関が、ご本人の状況に応じて、家計改善に対する助言や就労に向けた支援を行い、お困りの状況が改善されるよう、サポートしてまいります。

 

 

立川由美 委員

 

 国に対して、強力に要件緩和を求めていただくようお願いします。

 次に、最後のセーフティネットである生活保護について伺います。コロナ禍において生活保護世帯数及び申請件数はどのように変化しているのか、お答えください。

 

 

横溝豊 保護・援護課長

 

 新型コロナウイルスが国内で初めて確認された令和2年1月時点の生活保護世帯は94,572世帯であり、コロナ禍においても対前年同月比で減少傾向にありましたが、コロナの第5波の中である令和3年8月以降は、対前年同月比でほぼ横ばいで推移をしております、令和3年12月時点では94,313世帯となっております。

 なお、生活保護の申請件数については、令和2年で11,652件に対し令和3年は12,265件と5.3%増加している状況にあります。

 

 

立川由美 委員

 

 申請は増えているが、世帯数はやや減っているということですね。

 生活保護の捕捉率は、そもそも2割から3割と言われています。困窮者が増えているにも関わらず、保護世帯がそれほど増加していないのは、生活福祉資金が一定の防波堤になったことと、「保護だけは受けたくない」という意識がやはり強いことが考えられます。厚労省は、コロナ禍、保護決定の要件緩和を行い、車の保有などの資産活用、稼働能力活用の判断等について弾力的な運用を認め、県はこれに沿って周知徹底と指導を行ってきたと承知をしております。国も保護基準以下の世帯が増えるとの見通しから、このような要件緩和を行ったと思いますが、実際の窓口では、運用見直しが行われていない可能性も考えられます。市町村において、弾力的運用が徹底されているのでしょうか、お尋ねいたします。

 

 

横溝豊 保護・援護課長

 

 新型コロナの影響により、生活保護が必要となった方については、収束後の自立を考慮し、国から、通勤用自動車や生命保険などの資産について、半年から1年程度、処分を保留するといった弾力的運用を行うよう、通知されております。

 また、自動車については、処分期限が経過した場合であっても、経済活動への影響が収束した後に、収入が増加すると考えられる場合は、処分指導を行わないものとして、差し支えないと通知されております。

 国からの通知があった際は、政令市・中核市を除く各福祉事務所に速やかに周知するとともに、今年度、県が実施いたしました福祉事務所に対する施行事務監査においても、通知の趣旨に沿った運用を徹底するよう指導しているところであり、適切に対応していることを確認しております。

 

 

立川由美 委員

 

 はい、引き続き、指導を徹底するとともに、県内で差が生じないよう、政令市・中核市も含めた共通認識に努めていただきたいと思います。

 次に、生活保護の扶養照会についてお伺いします。「扶養照会は義務ではない」との国会答弁を受け、昨年2月、厚労省は「扶養照会」に関する要領を一部改正する通知を出しました。扶養照会は保護申請の大きな障害となっていますが、2017年の調査では、年間約46万件の扶養照会のうち援助につながったのは1.45%とのことです。本県の場合はどの程度の率か把握されていますか。お答えください。

 

 

横溝豊 保護・援護課長

 

 2017年に、国が実施した扶養照会に係る調査については、都道府県ごとの集計結果が公表されておりません。県においては、文書の保存期間が経過しているため、確認することができません。

 

 

立川由美 委員

 

 本県分についてはわからないとのことですが、おそらく国と同じ傾向であろうと推測します。国民の所得が増えない中で、扶養したくてもできないというご家庭がほとんどではないでしょうか。扶養照会は、申請者にとっても、扶養義務者にとっても、精神的に大きな負担です。本県の扶養照会通知には、「扶養が生活保護に優先する」との文言があります。生活保護法第4条に基づくものですが、これは「扶養が義務である」との印象を与えます。文言を改めるべきだと考えますが、見解を伺います。

 

 

横溝豊 保護・援護課長

 

 生活保護は、利用し得る資産、能力、その他あらゆるものを、生活の維持のために活用することを要件として行われますが、扶養については、保護に優先して行われるものとされております。

 保健福祉環境事務所が実施している現在の扶養照会の文書は、扶養が保護に優先されるという法律の趣旨を伝えているものですが、文書を受け取った方によっては、より強い意味に受け止められてしまうことも考えられるため、新年度からは、扶養が義務であるとの誤解を与えない文言とする予定としております。

 

 

立川由美 委員

 

 文言を改めるとのことです。よろしくお願いします。

 最後に、貧困の連鎖を断ち切るための教育の保障についてお伺いします。生活保護基準の引き下げが裁判でも問題になっており、違法との司法判断も出ています。SDGsのゴールの一つでもある貧困の克服を進める上でも、生活保護基準をもとに戻し、貧困の連鎖を断ち切り、自立の道を保障していくことが重要だと考えます。とりわけ、子どもが大学等に進学する際に、世帯分離をすることとなっており、当該世帯に対する保護費が縮減されることから、進学の大きな支障になっています。大学生等の世帯内就学と就学等に必要な費用を認めるなど、進学保障を行うべきだと考えます。見解を伺います。

 

 

横溝豊 保護・援護課長

 

 生活保護は、原則、世帯単位で行われますが、世帯の子どもが大学に就学する場合、世帯内、世帯外に関わらず、世帯から分離する取り扱いとされております。

 ただし、貧困の連鎖を断ち切り、生活保護世帯の子どもの自立を助長するため、大学等へ進学する際の新生活立ち上げ費用として、入学に伴い転居する場合は30万円、それ以外は10万円を一時金として支給し、大学就学中は、世帯分離されている者であっても、住宅扶助を減額しない措置の対象としております。

 なお生活保護以外では、令和2年4月から始まった、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生を対象とした高等教育の修学支援新制度において、各大学の授業料等、免除と減免と、日本学生支援機構が行う生活費としての給付型奨学金をあわせた支援が受けられることから、大学への進学を希望する世帯に対し、同制度の活用を促しております。

 

 

立川由美 委員

 

 教育の保障については少しずつ前進しているとは思います。しかし、生活保護基準は全体として切り下げられてきたために、一般家庭でも負担の大きい大学等への進学は、保護家庭にとっては非常に高いハードルになっていると思います。そして、そのことが貧困の連鎖から抜け出せないことにもつながります。高校進学で世帯分離していた時代もありましたし、学資保険の積立が認められない時代もありました。今後は、大学や専門学校への進学を保障し、自立を促していくことが貧困の連鎖を断ち切る確かな力になると思います。今、課長から紹介のあった制度を周知していただくことや、高校生のアルバイト収入からの進学費用積み立ても認められていることなども知らせて、学ぶことをあきらめない指導をしていただきたいと思います。

 各地で行われている食糧支援に長蛇の列ができるなど、長引くコロナ禍で多くの方が困窮しています。自殺や無謀な行為に及ぶことがないよう行政の支援をお願いいたします。「困っている人は生活保護を活用してほしい」というメッセージも出して、困窮者に寄り添う支援を行うことを求め、質問を終わります。

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