● 16年03月08日 県議会報告

2016年3月7日 2月定例会 山口律子議員一般質問(大要)「下関北九州道路は、費用対効果を示し事業の是非を県民に問え」「寒波による水道被害の対策と、被害住民の負担軽減を」



 日本共産党の山口律子です。通告に従い質問します。

 

下関北九州道路は、費用対効果を示し事業の是非を県民に問え

 まず、下関・北九州道路についてです。知事は12月議会で、下関・北九州道路は、必要不可欠な道路としてその調査を国に求めると答弁しました。その理由として橋もトンネルも老朽化し脆弱であること、関門地域における交流・連携を支えていくため、大規模災害時に備えて「第三の道」が必要と三点あげられました。そこで知事に質問いたします。

 第一に、需要予測についてです。北九州市、下関市ともすでに人口が毎年減少しており、国立社会保障人口問題研究所の将来推計人口によると、2,035年には北九州市の人口は82万6千人に、下関市は21万人に減少すると推計しています。また、北九州市の高齢化率は2025年には33%と推計しています。高齢化率は県平均の10年先をいっています。県は、関門海峡を通過する自動車交通量について需要予測を行なっていますが、その結果を伺います。

 第二に、脆弱の根拠についてです。老朽化についてわが党の北九州市議団が橋とトンネルを管理しているネクスコ西日本に聞いたところ「トンネルも橋も定期的に点検・補修を行っていて健全で安全に使える」と答えています。「脆弱」の根拠について、県独自で調査されたのかどうか伺います。

 第三に、交通手段についてです。関門地域は海峡を挟んで一つの生活圏として通勤、通学などに1日約1万人が往来しているとおっしゃっていますが、その1万人の方々の交通手段について調査されたのかどうか伺います。

 国土交通省の調査だと1日、約23,100人がJRで福岡県と山口県を往来しています。在来線の場合、小倉駅と下関駅間の要する時間は14 で1時間に3本程度運行しています。

 新幹線だと要する時間は新下関駅までわずか7分で、平日だと172 本が運行していますが、新下関駅に停まる列車は3割程度で、大半は通過駅となっています。

 両都市の中心市街地を最も短時間で移動できる列車による交流、連携を強めるべきではありませんか。国と一体となって在来線の本数や新幹線、新下関駅に停まる列車を増やすようJR九州やJR西日本に働きかけていただきたいと思いますが知事のご所見を伺います。

 第四に、代替道路の必要性についてです。知事は大規模災害時に備えて、3つ目の道路の必要性を強調されました。ところが本県防災会議策定の地震・津波対策編では、下関・北九州道路予定地のすぐ側を小倉東活断層が走っています。新道路を活断層のそばに作るのはあまりに危険です。

 最も地震に強いと言われているトンネルが破損する時は、橋も含めて交通はすべて遮断されます。新道路は必要ありません。本県の防災計画の中でも海上輸送の重要性が強調されています。新門司から毎日5~6本運行している大型フェリー等による海上輸送の実効性ある対策こそ必要と思います。知事のご所見を伺います。

 最後に、凍結した国の調査では、第2関門橋は、総事業費を1,557億円と見積もっていました。資材費や人件費も調査当時と比べると相当高くなっていると思いますが、下関・北九州道路の総事業費はどのくらいになると推定されているのか伺います。

 費用対効果を県民に示すことが何よりも求められていると思います。知事のご所見を伺います。

 

【小川知事答弁】

 

 お答え申し上げます。

 関門海峡を通過する自動車交通量の需要予測についてでございます。

 平成26年度の自動車交通量は、一日あたり平均で約7万台でございます。県の需要予測では、人口減少の影響もあり平成42年時点で、約6万6千台と見込んでいるとのことです。

 関門橋と関門トンネルの脆弱性の根拠についてでございます。

 両施設は、県の管理ではございませんことから、施設の老朽化に関する調査は、県独自では実施しておりませんが、関門トンネルは開通から57年、関門橋は42年が経過しており、まさにネクスコ西日本が言われているとおり、施設の健全性・安全性を保つためには、定期的な点検・補修工事が欠かせない状況となってございます。

 実際、関門トンネルでは補修工事のため、平成26年には60年間もの通行止め生じております。これに加え、台風・大雪などの悪天候、事故による通行制限も多く、周辺道路の渋滞が頻発している状況でございます。

 北部九州と山口県には、フランスやイギリスに匹敵する年間200万台を超える生産能力を有する自動車産業拠点が集積するなど、関門地域は密接につながり、様々な面で交流・連携してきております。また、4月24日には北九州から宮崎まで東九州自動車道が全通することもございまして、交流と連携は今後とも増大していくことが予想されるところでございます。

 しかしながら、本州と九州を結ぶ大動脈であるこの2つのルートは、先ほど述べたように頻繁な通行止めなどにより、物流・人流に大きな支障をきたしており、また災害時には、緊急支援活動の対応も必要となります。こうしたことから、ネットワークとして脆弱であると申し上げたわけでございます。このため、3本目のルートとして下関北九州道路は必要不可欠であると考えております。

 関門地域を通勤・通学で往来している方の交通手段についてでございます。

 両都市間の通勤・通学で、往来の1万人の根拠については、平成22年の国勢調査結果の往来人数を集計したものでございます。この調査結果においては、交通手段の内訳は、約5割が自家用車利用、約4割が鉄道利用となっております。

 下関北九州道路を利用する人は、関門地域を「通勤・通学」で往来している方だけではございません。平成25年度に下関市及び北九州市民を対象に実施した住民アンケート調査では、両都市間を往来する「通勤・通学」以外の「買い物」、「レジャー」を含めたすべての旅行目的の交通手段の内訳は、約8割が自家用車利用という結果も出ているところでございます。

 次にJRの在来線や新幹線の増便等についてでございます。

 県では、地域における交通体系の整備を促進し、住民の利便性に配慮した、地域密着型の公共交通体系確保のため、県内市町の首長さん、商工会・商工会議所等で構成する「地域交通体系整備促進協議会」において議論のうえ、毎年、JRなどの鉄道事業者に対して、必要な要望活動を行っているところでございます。

 ご質問の、北九州、下関間の在来線増便、新下関駅に停車する新幹線の増については、今のところ、地元からの要望もなく、この協議会での議論もありませんことから、JR九州、JR西日本に対し要請を行うことは考えてございません。

 大規模災害時における海上輸送対策についてご質問がございました。

 大規模災害時に備え、できるだけ多様な代替交通手段を確保しておくことは、被害を最小限に食い止めるとともに防災上、大変重要なことであると考えております。こうしたことから、県地域防災計画において、「県及び市町村は、物資等や被災者の緊急輸送が円滑に実施されるよう、あらかじめ輸送機関との協定の締結等により、輸送体制の整備に努めること」としております。ご質問の災害時における海上輸送の確保についても、地域防災計画に基づき、大型フェリー等の船舶所有事業者との間で、大規模災害時における住民避難のための船舶の提供など、連携協力体制を敷いているところでございます。

 その次に 下関北九州道路の総事業費と費用対効果についてでございます。

 公共事業については、客観性、透明性の確保が大切である。費用対効果を含め総合的な観点から評価することが重要であると認識しております。下関北九州道路の総事業費や費用対効果の算出に際しては、ルートや構造の検討など、より具体的な調査が必要となってまいります。一方、関門海峡は潮流が速く、狭い航路を多数の船舶が往来しているなど、規模的、技術的にも国の関与が不可欠であると考えております。このため、国に対して、必要な調査を実施し、総合的な評価をしていただくよう、2県2市の首長や地元経済団体で連携し、働きかけているところでございまして、今後も進めていきたいと考えております。

 

寒波による水道被害の対策と、被害住民の負担軽減を

 

 次に、水道の断水問題について質問します。1月24、25の両日、氷点下8.3度の朝倉市、7.4度の大牟田市など記録的な寒波が本県を襲いました。県内全域で水道管が凍結破裂し、一週間近く断水が続くなど、県民生活に多大な被害を及ぼしました。

 5万4千世帯に断水が拡大した大牟田市で、高齢者や障がい者世帯など生活弱者の方々は給水地点に行くのも大変で、地域を知る民生委員や自治会を先頭に、多くの人が配給支援に奔走しました。市長は対策本部設置が遅れ多大の迷惑をかけたと謝罪しています。なぜこのように被害が広がったのでしょうか、今後被害を防止するために県としてどのような対策を採るべきかお尋ねいたします。

 漏水の料金は各自治体で検針水量の差や工事修了証明書の提出で、半額減免や全額減免としています。大牟田市は前年同月又は前2ヶ月の平均検針水量の差で把握し、水道料金、下水道料金を住民の手続きなしで全額減免します。大牟田市などのように住民の負担が少なくなるような先進的な事例を紹介し、事後の対策に活かせるよう県としての支援をお願いいたします。知事のご所見を伺います。

 県下全域で起こった水道管破裂における工事は本管を除き給水管は自費となっていますが、低所得者にとっては厳しいものです。生活保護受給世帯の場合自然災害等による家屋の補修費に最高17万8千5百円支給されます。また、住民税非課税世帯程度の低所得者にたいし生活福祉資金による貸与制度があります。今後こうした制度を関係機関とも連携して積極的に周知し、命をつなぐ水道を守るべきと思いますが、知事のご所見を伺いまして質問を終わります。

 

【小川知事答弁】

 

 次に断水被害防止対策についてでございます。

 今回の断水は、低温時に備え、給水管に保温材を巻き付けるといった凍結防止策を講じていない世帯が多かったため、多くの箇所で、給水管が凍結・破裂したことが主な原因であると考えられます。このような、給水管破裂による断水を招かないためには、各世帯において、低温時に適切な凍結防止策を講じていただけるよう、水道事業者が各世帯に対し、より効果的な広報に努めることが必要であると考えております。

 今回の断水を踏まえ、県では、これまで水道事業者が実施してきた広報について検証するための調査を行ったところであり、今後、この調査で得られた教訓も踏まえ、効果的な広報について情報提供することによって、水道事業者がより効果的な周知活動を実施できるようしていまいります。

 次に漏水に伴う水道料金の減免事例の水道事業者に対する紹介及び給水管補修に係る低所得者に対する支援の周知についてお尋ねがございました。

 県では、今回の漏水を踏まえ、水道料金の負担軽減措置について県内水道事業者が検討するに当たって参考となるよう、2月上旬時点での各事業者における検討状況をとりまとめ、取り急ぎ、情報提供したところでございます。 現在、今回の給水管の凍結・破裂による漏水に係る水道料金については、県内のほとんどの水道事業者が、水道利用者の経済的負担を軽減する措置を既に講じているところでございます。今後とも、県内水道事業者に対し、他の事業者の先進的・効果的な取組みといった事業運営に有用な情報を幅広く提供していきたいと考えているところでございます。

 なお、生活保護受給世帯の給水管の補修費用については、生活保護費で対応しております。低所得者の方については、生活福祉資金の貸付けで対応が可能でございます。今回のような災害が発生した場合、住民の方々は、最寄りの市町村窓口に相談に来る場合が多いと考えられますので、市町村に対し、生活保護における災害時の特例措置を含め、改めて、通知を行ってまいります。

 

<山口県議 第二質問>

 

 下関、北九州道路に関して要望いたします。

 まず、関門橋と関門トンネルの交通量の需要予測ですが、コンサルタントの調査は県の意をくんで過大な需要予測など行なってきました。北九州市の人口減は今回の国勢調査でも前回に続き全国1位で1万5,031人の減少と報じられています。北九州市の高齢化率も9年後には75 歳以上のお年寄りは5人に1人と推定されている状況で、自動車の交通量がわずか数パーセントの減少ということは絶対にあり得ません。高齢化に伴う影響についても県独自で調査され正確な需要予測を強く求めます。

 第二に鉄道についてですが、朝夕の通勤時間を除けば新下関駅には1時間に1本しか停まりません。鉄道の充実こそ両都市の利便性を高めるものです。アンケート調査などを実施していただき、住民の意向に沿う対策を強く要望いたします。

 本四架橋の三本は国と関係自治体で進められましたが、建設費が当初の3.8倍に膨らみ2兆8千億円と巨額な事業費となりました。通行量も予測を大幅に下回り、通行料では返済出来ないため、地元自治体の負担金は2,013年4 月までに5,622億円にものぼっています。

 下関北九州道路のような何千億円もかかる大型開発事業では需要予測等の調査段階から情報をオープンにし、費用対効果を示して事業の是非を県民に問うことが求められますということを強調し、私の一般質問を終わります。

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