● 16年03月08日 県議会報告

2016年3月8日 厚労環境委員会・高瀬菜穂子議員質問答弁「国民健康保険の財政安定化基金設置条例について(大要)」



≪2016年厚生労働環境常任委員会≫

2016年3月8日

 

国民健康保険の財政安定化基金設置条例について(大要)

 

高瀬菜穂子委員 

 財政安定化基金について お尋ねします。2018年以降、国保財政の安定化のため、給付増や保険料収納不足により財源不足となった場合に一般会計からの財政補填等を行なう必要がないように基金を設置するというものです。昨年の決算特別委員会でのわが党の質問に県当局は「市町村が基金より貸付、交付を受けた場合、その返済等の財源については保険料により賄うことが基本」とはっきり答弁されましたが、これについては、考え方は変わっていないでしょうか。

 

飯田 医療保険課長

 市町村が基金の貸付・交付を受けた場合の償還財源など、当該基金の制度の詳細は明らかになっておらず、「国と地方の協議の場」である「国保基盤強化協議会」における協議を経て、今後、国が制度設計を行います。

 当該基金は、市町村が保険料収納不足等により財源不足となった場合に、一般財源からの財政補填に頼らない財政運営を行えるよう設置されるものであることから、市町村の償還等の財源については、保険料により賄うことが基本ではないかと考えております。

 

高瀬菜穂子委員 

 そうしますと、保険料はどんどん上がっていくということになりますね。介護保険の財政安定化基金も同じ仕組みです。1、2期は比較的安い保険料でスタートし、第2期に基金から借り入れをした自治体が多く、当然第3期の保険料は返済分を含み跳ね上がりました。その経験から、第4期は基金は積み上げられたまま、自治体は借りないという状況になったため、会計検査院は2008年に「基金がつみあがりすぎているから返すべきだ」を意見を出したほどです。同じように保険料が上がる仕組みになることを危惧しています。この点についてどうお考えですか。

 

飯田 医療保険課長

 基金から借りた場合は、返済分は上乗せになりますが、国は、保険料抑制のために、3,400億円を交付することとしており、保険料が上がらない仕組みも作っております。

 

高瀬菜穂子委員 

 保険料が高すぎることは、国も認識しており、低所得者対策の保険者支援制度を作り、

 すでに1,700億円の財政支援を行っています。一人5,000円の引き下げになると国はいっているのですが、これを利用して引き下げたのは県内では北九州市のみです。しかも、今年、北九州市は、県の広域化支援基金から借り入れを行い、来年度はもとに戻ります。田川市は、30%引き上げで、4人家族250万世帯の保険料48万円にもなるそうです。

 他の市町村でも保険料の値上げが行われるようです。このことはどうお考えですか。

 

飯田 医療保険課長

 それぞれの市町村で保険財政が厳しくなっております。

 

高瀬菜穂子委員 

 だいたい、国が措置する3,400億円では、国保の厳しい状況を変えることはできないわけです。全国知事会も1兆円の国庫負担の増額を要求したとおりです。保険財政が苦しくなる中で、国保広域化となるわけです。県に対する納付金は100%納めなければならなくなります。市町村は広域化に備えて、保険料の引き下げができない。財源不足に対応するには、一般会計からの繰り入れをしないならば、 ①市町村国保基金の積み上げ、②県基金から借りる、③収納率が下がっても100%納付できるように保険料を上げる、などが考えられますが、いずれも保険料は上がります。私は、広域化の仕組み自体が間違っていると思います。そこで、最後の質問ですが、後期高齢者医療制度の財政安定化基金は、全国で保険料の抑制に使われています。国保の財政安定化基金についても同様の運用が可能でしょうか。

 

飯田 医療保険課長

 今回設置する国保財政安定化基金の使途については、改正後の国民健康保険法において、

 平成30年度以降、予期せぬ給付増により財源不足となった都道府県への貸付及び、予期せぬ保険料収納不足により財源不足となった市町村への交付・貸付と定められております。

 このように、市町村は財源が不足した場合に活用できるものであり、保険料の上昇の抑制を目的として、あらかじめ貸し付けを受けることは、できないものと考えております。

 

高瀬菜穂子委員 

 保険料を上げる仕組みとなりかねないこの制度については、賛成することはできません。

 しかし、運用に当たっては、今申し上げた危惧を払拭するよう努力していただきたいということを強く要望します。以上です。

 

 

 

 

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