● 15年10月02日 県議会報告

2015年10月2日  9月定例会 山口律子議員一般質問・答弁(大要)「玄海原発再稼働はやめよ」「中小企業振興条例について」「 設計労務単価による賃上げと建退共について」



≪2015年9月定例会・本会議一般質問≫

2015年10月2日

 

山口律子議員

 日本共産党の山口律子です。通告に基づき一般質問を行います。
 まず、玄海原発の再稼働についてです。東京電力福島第一原発の事故から四年半、いまだ十万人を超える被災者が地元に帰ることができず、生活や将来の見通しすら立っていません。多くの国民は、一たび原発事故が起こればコントロールできない、取り返しがつかなくなると考え、どの世論調査でも、再稼働反対が六割前後で推移しています。にもかかわらず、政府と九電は、八月十四日、川内原発の再稼働を強行しました。絶対に許すことはできません。
 九州電力は九月三日、佐賀県議会原子力安全対策等特別委員会で、玄海原子力発電所の再稼働についての説明を行いました。再稼働の時期は明らかではないが、できるだけ早く再稼働をさせたいと、県議会に理解を求めました。このとき、我が党の井上祐輔県議が、川内原発再稼働の際に、五市五町から住民説明会の開催要求があったが、なぜ開催しなかったのか、玄海原発についても住民説明会を開催すべきだとただしました。九電側は、説明会開催は考えていないの一点張りで、住民とはフェース・ツー・フェースでやっていくという理解しがたい答弁に終始しました。これだけ国民的関心、国民的批判が強い原発の再稼働について、説明会すら行わず、再稼働に突き進むというのは、やはり常軌を逸しています。我が党はもちろん玄海原発の再稼働に反対ですが、何が何でも再稼働を強行するというのであれば、少なくとも説明責任を果たすべきであり、住民説明会は開催すべきです。三十キロ圏に糸島市、五十キロ圏に県都福岡市を抱える本県知事の御所見を伺います。
 次に、中小企業振興条例について質問します。中小企業振興条例を制定すると表明されたとき、県下の中小企業の厳しい状況を理解し、経済回復にしっかり取り組まれるのだと、知事に拍手を送る思いでした。ところが、本議会に上程された中小企業振興条例案は、残念ながら、期待にほど遠いと言わざるを得ません。国の中小企業憲章は、中小企業は経済を牽引する力であり、社会の主役であると位置づけ、政府が中核となり、国の総力を挙げて中小企業を存分に伸ばし、励まし、支え、そしてどんな問題も中小企業の立場で考えていくと宣言しています。ところが、県条例案前文は、中小企業の自主的な取り組みを基本とし、基本的施策でも創業の促進を第一、経営基盤の強化を第二とするなど、中小企業に対する県の姿勢は弱いと言わざるを得ません。また、経営の確保が困難であることが多い小規模企業を条例案に内包し、生産性の向上を求める県の姿勢は、国が定めた小規模企業振興基本法の理念に沿っていません。新たに小規模企業振興条例が必要と考えます。企業の九九・八%、雇用の八割を担っている中小企業こそ、県経済の根幹と位置づけ、県がその支援に総力を挙げるべきです。中小企業振興を進めるには基本計画の策定が重要です。
 そこでまず、中小企業の実態や要望を知るために、県、市町村の総力を挙げて中小企業の悉皆調査を行い、計画策定や公表にはパブリックコメントを実施し、中小企業と地域社会がともに支え合っていることを、学校教育などを通して地域の共通認識にするのが大切です。今後、地域経済の循環を創出する中小企業の振興をどう進められるのか、知事の御所見を伺います。
 次に、設計労務単価による賃上げと建退共について質問いたします。全国の建設業就業者は、二〇一〇年に九五年比で二百十六万人も減少し四百四十七万人になりました。二十九歳以下と五十五歳以上の就業者の割合は、九七年はほぼ同じでしたが、一三年には二十九歳以下が約一〇%まで減りました。二五年には半減し二百四十一万人になるとも言われています。それは福岡県の建設業就業者が十年後に半分の九万人台になり、ほとんどが五十歳以上になるということです。これほど就業者が減れば、災害復旧はもちろん、日常の建設工事も大変な支障を来すことになります。建設業に若年者を呼び込むことが喫緊の課題と思いますが、知事の認識を伺います。
 日本共産党県議団は、県発注の建築現場を調査いたしました。予想どおり現場には若年者はほとんどいません。ある元請業者は、暮らしはどうか、保険や建退共に入っているかなど、昼休みなど雑談の中で気をつけているが、下請の賃金はわからないと心配しています。政府は、二十年間下がり続けた設計労務単価を、三年間で二八・八%引き上げ、大工職で四千二百円値上げの一万九千三百円になりました。しかし、実際には現場では百円、二百円上がった程度です。県は、適切な賃金水準の通達を出しているだけで、賃金は民民の関係で関与できないと繰り返していますが、発注者としての責任で、実態の把握が必要ではないでしょうか。また、国土交通省が作成した新労務単価を現場に周知するポスター張り出しの徹底を急ぐべきではありませんか、知事の御所見を伺います。
 公共工事を発注する際に、賃金引き上げと品質確保を行い、ダンピング受注を排除するため広がり始めた公契約条例を導入する時期に来ているのではないでしょうか、知事の認識を伺います。
 調査した三つの現場のうち、建退共制度を申請した下請企業は二カ所が四割、一カ所は三十八社のうち二社という状況でした。建退共へは中退共の加入者以外誰でも加入できます。退職金になる制度ですから、下請企業の加入、証紙貼付を促進することが必要です。建退共を普及するために、県発注工事の元請業者を指導するなど、実効ある政策を求めまして、質問を終わります。

 

小川 洋知事

 お答えを申し上げます。
 まず第一に、九州電力による住民説明会でございます。玄海原子力発電所につきましては、現在、原子力規制委員会におきまして、新規制基準への適合性審査が行われているところでございます。玄海原子力発電所の再稼働に当たりましては、その安全性について、まずは国が責任を持ってこれを確認し、国民、住民に対し十分な説明を行って理解を得ることが必要であると考えております。九州電力におきましても、説明方法はさまざまあると思いますけれども、住民に対し十分な説明をしていただくことが重要であると考えております。
 次に、今後の中小企業の振興でございます。中小企業の振興を図っていくためには、中小企業の成長段階に応じて的確に支援を行うことが何よりも重要であります。このため、本条例案におきましてはアンケート調査、ヒアリング調査により把握いたしました県内中小企業の課題やニーズを踏まえ、企業の創業段階から経営基盤の強化、さらには新たな事業展開といった、それぞれの中小企業の成長段階に応じて施策を効果的に講ずることといたしております。また小規模企業につきましては、その提供する商品、サービスが地域の消費に依存をしておりますところから、事業の持続的な発展を図る、その観点から域外への販路拡大など、これらにつきまして事業計画の策定、生産性の向上に係る支援施策を講ずることといたしております。さらに、これらの施策の推進に当たりましては、県内四カ所の中小企業振興事務所を核に、地域ごとに支援体制を整備し、県、中小企業支援団体、金融機関、市町村など関係機関が緊密に連携をし、いわば地域の力を結集して、これを行うことといたしております。また条例の実効性を確保するため、おおむね三年を期間とする基本計画を策定し、毎年、県内中小企業の動向や施策の実施状況を検証し、これを公表することといたしております。この条例に基づき、今後、中小企業者一社一社に対し、それぞれの実態を踏まえ、よりきめ細かく、かつ総合的に御支援を申し上げることによって、中小企業の事業の継続と、その成長発展を図ってまいります。
 次に、建設業の若年人材の確保でございます。建設業就業者に占める若年者の割合の減少が続いていきますと、将来技能労働者が不足をし、これまで建設業を支えてきた熟練技能の維持とその継承が難しくなる、そういった課題があるというふうに認識をいたしております。このため県では、建設業の重要性、仕事のやりがいといった、その魅力というものを紹介するセミナーの開催、建設業の新規採用者の職場定着のための安全管理の研修、スキルアップのための技能講習、そして働きやすい職場環境づくりのための専門家による出張相談、そういった取り組みを総合的に実施することによりまして、建設業における若年者の人材確保に取り組んでいるところであります。
 発注者の責任で賃金実態の把握をしたらどうかという点でございます。技能労働者の賃金実態の把握につきましては、国が、設計労務単価を改定するために、全国の公共工事従事者の賃金の実態というものを調査をいたしております。この調査には、毎年県が発注した工事も含まれておりますことから、私どもの県の賃金実態も反映されているというふうに考えております。
 なお、労働者の賃金は、御承知のとおり、その経験や技量を反映して支払われるものでございます。公共工事従事者の賃金の実態に基づく国の設計労務単価が毎年上昇しておりますことから、実際に支払われている賃金も上昇しているものと考えております。また、厚生労働省の平成二十六年の毎月勤労統計調査におきましても、福岡県の建設業従事者の収入は、対前年比で五・八%の伸びを示しているところでございます。
 次に、新労務単価を工事現場において周知徹底するポスターの掲示についてお尋ねがございました。ことしの九月、国から新労務単価の適用現場であることを示すポスターの掲示について要請を受けたところでございます。県では、これを受け、早速県土整備事務所等に対し、受注業者による工事現場へのポスター掲示というものを徹底するよう指示したところでございます。今後、現場の巡回などによりまして、このポスターの掲示状況について確認することといたしております。
 公契約条例の制定についてでございます。県が発注する公共工事に携わる労働者の適正な労働条件を確保していくことは、公共工事の円滑な執行を図る上でも重要であると考えております。本来、賃金などの労働条件は、労使間で自主決定されるものでございます。こうした原則に加え、労働条件の最低基準を定める最低賃金法や労働基準法など法令との関係の整理、とりわけ最低賃金の遵守を条例で求めることの意義など慎重に検討すべき課題があることから、他の自治体の取り組み事例についての情報収集を行いながら、引き続き研究を進めてまいります。
 建退共制度の普及のための取り組みでございます。建退共制度は、建設業に従事する労働者の福祉の増進と雇用の安定に寄与するものでございます。このため、県では元請業者に対しまして、下請業者分を含む共済証紙を購入して、下請業者に交付するよう求めているところでございます。また、この共済証紙の購入状況を確認するとともに、共済証紙が配付されることを労働者自身が認識できるよう、現場事務所や工事現場の出入り口に、建退共制度適用事業主工事現場標識、これを掲示することといたしております。今後も、引き続きこうした取り組みを進めることによりまして、制度の普及に努めてまいります。

山口律子議員

 要望します。
 ある中小企業経営者は、全国を走り回り、自分の財産をつぎ込むなど、身を削るように働き、それでもいつ倒れるかと苦しんでいます。小規模企業はもっと深刻です。県内中小企業の八割を占める小規模企業の困難な経営への支援や、下請企業の公正な取引の促進、財政上の措置で特段の取り組みを強く要望します。
 建退共標識は、どの現場でもほとんど周知されていません。県は、元請から下請業者へ繰り返しの指導を要望します。
 賃金は上がっていると考えているとのことですが、国の調査では三分の二が上がっていません。建退共と同じく、ポスターの張り出しだけでは不十分です。ポスターの徹底と繰り返しの指導を要望し、質問を終わります。(拍手)

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